レッスン 1: 操作が複雑な航空機の飛行


「訓練操縦士」、「自家用操縦士」、そして「計器飛行操縦士」のレッスンの修了、おめでとうございます。ここまで来ると、きっと自分で自分をほめてあげたい気分でしょう。私も、あなたのことを誇りに思います。飛行訓練という道のりの中で、また大きく飛躍する時が来ました。「事業用操縦士」の 3 つのレッスンと単独飛行をとおして、より大型の航空機を操縦できるようになります。その航空機とは、双発エンジンのビーチクラフト バロン 58 のことです。

ご存知かどうかわかりませんが、私の描いている訓練計画は壮大なものです。事業用操縦士の訓練用にビーチクラフト バロン 58 を選んだのは、そのためです。いずれ、あなたは “ヘビーメタル” で飛んでいる姿を見せてくれるでしょう。もちろん、ロック バンドのお話ではありません。 あなたの未来にはボーイング 737-800 を操縦している姿が見えます。私が言う “ヘビー メタル (重い金属)” とはそのことです。そのような航空機が自分の星占いに (あるいは空港の格納庫に) 見えているのなら、まずはセスナ 172 SP よりは難しく、ボーイング 737 よりはやさしい航空機の操縦方法を学ぶのが一番です。だから、事業用操縦士の訓練でいきなりボーイング 737 を操縦させたりはしません。もしそんなことをさせたら、訓練中ずっと、「ヒャー! いい子だからちょっと待って、うわぁぁ、誰か止めてー!」などと叫び続けることでしょう。わかりましたね? それでは、大きな進歩は小さな一歩から、中級の訓練を始めましょう。

ただし、バロン 58 での事業用操縦士の訓練に含まれないものが 1 つあります。難しい内容が多く含まれるため、この双発機で片方のエンジンが故障した場合の練習は行いません。 エンジン 1 基だけでの飛行を練習したい場合は、いつでもセスナ 172SP を使ってください。ただし、多発機の操縦方法を学ぶうえで、片方のエンジンを失った場合にどう対処するかが、最も重要なことであるのは確かです (失うといっても、車のキーを落とすようにエンジンがどこかにいってしまうのではなく、大事なときに一方のエンジンが停止してしまうということです)。実際の多発機を操縦するパイロットは全員、片方のエンジンでの飛行を必ず練習します。ここでは、訓練の性質上、バロン 58 のエンジンは常に両方とも動作するものとします。実際、バロン 58 のエンジンはその飛行時間のうち 99.999999% はそのように動作しているのですが。そのため、片方のエンジンの場合の Vmc (最小操縦速度) や Vsse (片発安全速度)、Vyse (片発最大上昇率度速) などについては説明しません。このレッスンで学習するすべての内容は、操作が複雑な単発機にもそのまま応用することができます。双発機でのエンジン停止時の手順の詳細については、ラーニング センターの「双発エンジン航空機の操縦法」を参照してください。

Flight Simulator ではなく、実際にバロン 58 を操縦する人のために、もう 1 つ言っておかなければならないことがあります。レッスンをうまく運ぶために、私は操縦手順を少し変更しなければなりませんでした。したがって、操縦する航空機に適用される実際の手順については、機種別マニュアルを必ず確認してください。わかりましたね。 

それでは始めましょう。

操作が複雑な飛行機: 概要

ビーチクラフト バロン 58 は操作が複雑な航空機です。初めて操縦する人にとっては、バロン 58 はかなり難しく感じるかもしれません。これまでにセスナ 172SP しか操縦したことがなければ、なおさらです。

複雑な航空機には、必ず共通するものが 3 つあります。フラップ、格納式着陸装置、そして可変ピッチ プロペラです。フラップについては、セスナ 172SP でも使ったので、どのようなものかはわかりますね。バロン 58 について詳しく見ていく前に、ちょっとバロン 58 の計器パネルを見て、どこに何があるかを確認しておきましょう。

図 1-1 は、バロン 58 の計器パネルです。主要な計器には印を付けてあります。 これをよく見て、どのような計器があるかを覚えてください。その後で、レッスンを開始しましょう。

図 1-1: A – プロペラ コントロール B – 燃料タンク セレクタ C – カウル フラップ レバー D – 吸気圧力計
E – プロペラ回転計 F – 着陸装置レバー G – フラップ スイッチ

格納式着陸装置

ずっと前に、航空機の着陸装置を格納すると抗力が減少し、航空機がより速く飛べるだろうと考えた人がいました。これは理論的に正しいだけでなく、実際もそのとおりです。着陸装置を格納した状態の方が、航空機は速く飛行、上昇、および降下できます。また、同じ航空機が着陸装置を下げると、より速く減速できます。空港の近くまで来て着陸準備に入り、航空機を迅速に降下させたいときに、パイロットは着陸装置による抗力を利用します。着陸装置の操作について覚えておくべき重要な点はいくつかありますが、何よりも大事なのは、着陸する前に着陸装置を下げるのを忘れないようにすることです。着陸装置を上げたままで航空機を着陸させたくはないでしょう。 そうしてしまった場合は、出力を全開にしなければタキシングできないので、すぐに気が付くはずです。これは冗談ですが、言いたいことはわかってもらえましたね?

図 1-2

図 1-2 は、バロン 58 の着陸装置レバーと、その横の 3 つの緑色のライトです。このライトは、着陸装置の 3 本の支柱にそれぞれ対応しています。中央のライトはノーズ ギアを表し、その下の 2 つのライトはそれぞれ左右のメイン ギアを表します。離陸後、VSI がプラスの上昇率を示したら、このレバーを上げて着陸装置を格納します。そして、3 つの緑色のライトがすべて消えていることを確認します。これは、すべての着陸装置が格納されたことを意味します (図 1-3)。

図 1-3

ハンドルを上げ、着陸装置が正しく格納されたことを 3 つのライトで確認したら、”ギア アップ アンド ロックト (着陸装置を格納し固定)” と声に出して言うことをお勧めします。着陸装置が格納されなかった場合、つまり下がったままになっていると、IN TRANS のライト (着陸装置位置表示灯) が点灯したままになります。 このような状態になるのはまれですが、実際に起こりうることです。機械装置は高い信頼性がありますが、完全に信頼できるわけではありません。1 つ、あるいはそれ以上の着陸装置が格納されなかったときは、着陸装置操作レバーを下げ、引き返して着陸し、整備士に点検してもらう必要があります。

さいわい、着陸装置は非常に信頼性の高い機械です。実際、着陸装置に起きる問題のほとんどは、パイロットが引き起こしたものです。たとえば、飛行速度が 152 ノットを超えているときに着陸装置を下げてはいけません。着陸装置の扉に非常に大きな圧力がかかり、おそらくは航空機から脱落してしまいます。ですから、着陸装置を下げる前に、必ず 152 ノット以下に減速してください。

指示対気速度 170 ノットで巡航飛行しているとき、減速するには出力を下げる必要があります。実際の航空機では、そのためにスロットルを急に引いてアイドルに戻すようなことはしません。航空機では、スロットルを急に引くことは決して良いことではありません。多くの専門家によれば、スロットルを急に引くとエンジンが過冷却状態に陥る可能性があります。エンジンの動作温度がピークのときに、エンジン カウリングの下に大きな氷の塊を置くようなものだと考えてください。このような操作を習慣にしていると、長期的にはエンジンの損傷につながるおそれがあります。それは、まったく結構なことではありません。カウル フラップと呼ばれるものを使ってエンジンの過冷却や過熱を防ぐ方法をこのすぐ後に説明するのも、同じ理由からです。エンジンを自在に扱えるようになりたいのなら、お聞き逃しのないように。

というわけで、着陸装置を下げる前に航空機を減速するときは、計画的に、徐々に出力を下げるようにします。まだ疑っている方のためにお教えしますが、プロのパイロットは吸気圧が毎分 1 インチ以上下がらないようにしています (吸気圧については後で説明します)。

着陸装置の操作について最後にもう 1 つ。前にも言いましたが、着陸する前に、忘れずに着陸装置を下げてください。そうしないと、夜、着陸灯もないのに滑走路がはっきり見えるようになりますよ。金属製の機体底部から飛び散る火花が、滑走路を照らしてくれるのですから。

ほとんどの航空機には、着陸装置を下げずに着陸しようとすると鳴る警報装置 (あるいは教官) が備え付けられていますが、私は適切な計画を立てて目的を達成する方がよいと思います。そこで、着陸の前に必ず “GUMP (ガンプ)” という略語を使って確認するのです。

GUMP を使ってチェックする

Gas (燃料): 最も残量の多い燃料タンクが選択されていることを確認します。

Undercarriage (着陸装置): 着陸装置操作レバーが下がっていて、3 つのギアを示す緑色のライトが点灯していることを確認します。

Mixture (混合気): 混合気コントロールがいっぱいに押し込まれていることを確認します。

Prop (プロペラ): プロペラ コントロールがいっぱいに押し込まれていることを確認します (後で詳しく説明します)。

私はいつも、格納式着陸装置を備えた航空機で着陸する前は、”GUMP” と最低 4 回は唱えて、着陸装置を下げることを忘れないようにしています。あなたもそうしてください。ただし、発音を間違えないように。”JUMP (ジャンプ)” によく似ていますが、乗客に航空機から飛び降りろと合図するわけではありませんから。

私が “GUMP” と言うのは、ダウンウィンド レグ (着陸装置はそれまでに下げておきます)、ベース レグ、ファイナルのそれぞれを飛行するとき、そして進入端を通過するときです。

着陸装置の操作については理解できたでしょうから、次はエンジンの過冷却や過熱を避けるためにできることについてお話ししましょう。

カウル フラップで冷静さを保つ

ここまでの話で、航空機の出力を生み出すエンジンが、熱も生み出していることにお気付きだと思います。エンジンのあらゆる部分で、その動作によって膨大な熱量が生じ、その熱のすべてが行き場を探しています。複雑な航空機において常に意識しなければならないことの 1 つは、出力を高く設定したときにエンジンの過熱を防ぐことです。残念ながら、エンジンの冷却効果が最も悪くなるのは、出力設定が高くて対気速度が低いとき、つまりエンジン カウリングに入ってくる空気の量が少ないときです。これは、まさに上昇中の航空機の状態ですね。

過熱が損傷の原因となる一方で、すでに触れたように、過冷却もまたエンジンの寿命を縮める場合があります。 低出力状態で、長い時間にわたって、または急な降下率で降下を行うと、エンジンの過冷却を引き起こすことがあります。このとき、シリンダを構成する各種の金属が急激に、それぞれ異なる速度で冷やされます。これによって、一部分が曲がって変形する可能性があります。その結果、実際の航空機の場合は、高価な新しいエンジン部品を買うはめになります。ですから、パイロットは通常、そのような事態は絶対に避けなければなりません。

上昇中にエンジンが過熱状態になったり、巡航中や降下中に過冷却状態になったりするのを防ぐために、正しい降下計画を立てることに加えて、パイロットにできることがもう 1 つあります。それは、カウル フラップと呼ばれるものを使うことです (図 1-4)。

図 1-4

カウル フラップは、エンジン カウルの下にある (だから “カウル” フラップと呼ばれます) 金属の可動部分で、コックピットから手動で開閉できます。開閉するには、小さなレバーを動かします (図 1-5)。

図 1-5

カウル フラップを閉じたままにしておくと (図 1-6)、エンジンを流れてカウルに通り抜ける空気が制限されます。これにより、巡航飛行中および降下中に、エンジン温度が高いまま保たれます。離陸前および上昇中はカウル フラップを開いて、エンジンを流れてカウルに通り抜ける空気の量を増やして、エンジンの過熱を防ぎます。

図 1-6

もちろん、すべての航空機にカウル フラップがあるわけではありません。装備されているのは、一般に、バロン 58 のような、200 馬力以上の大型エンジンを持つ航空機です。

あなたがしなければならないのは、離陸と上昇のときは常にカウル フラップを開き、巡航と降下のときは常に閉じておくことです。実際のパイロットは、シリンダ ヘッド温度 (CHT) と油温を注意深く監視して、これらの温度を安全な範囲に保っています。

ここまでで、着陸装置レバーとカウル フラップ レバーの操作で手いっぱいでしょうが、そのどちらもエンジンの動作にはそれほど関係ありません。では、ちょっと話題を変えて、プロペラについて説明しましょう。その後で、スロットル コントロールについて説明します。この 2 つは、セスナ 172SP の操縦で使用したものと少々異なりますが、興味深いものであることがすぐにわかるでしょう。

プロペラの大回転

プロペラは、サイズや色はそれぞれ違いますが、基本的には “固定ピッチ” と “定速” の 2 種類に分けられます。 以前のレッスンで操縦したセスナ 172SP のような固定ピッチ プロペラの航空機では、1 つのレバー、つまりスロットルによって出力とプロペラ回転数の両方を制御します。 一方、バロン 58 のような “定速プロペラ” の航空機では、エンジン出力とプロペラ回転数を別々に制御します。

セスナ 172SP の固定ピッチ プロペラのピッチ (迎え角) は、製造段階で固定されています。角度は、石のごとく完全に固定されているのです (実際にはアルミニウム製ですが)。このピッチを変更するにはプロペラそのものを交換するしかないので、フライト中にプロペラのピッチを変えるのはまず無理でしょう。 ある特定の状況では、固定ピッチ プロペラは理想的ではありませんが、多くの点で、あらゆるものに最適だとはいえます。固定ピッチ プロペラは、上昇時に最適なプロペラ ブレードの迎え角と、巡航時に最適な迎え角の中間を取った形をしています。操作が単純で、保守が容易 (したがって安価) です。

すでに説明したように、セスナ 172SP のような固定ピッチ プロペラの航空機では、エンジン出力とエンジン回転数の両方をスロットルで制御します。1 つのレバーですべて操作するので、出力イコール回転数、というわけです。一方、複雑な航空機には、”定速” (または可変ピッチ) プロペラと呼ばれるものが使われています。

図 1-7

このようなプロペラを持つ航空機には、通常、スロットルとプロペラ コントロールの両方があり、図 1-7 に示すようにエンジン出力とプロペラ回転数を別々に制御できます (レッスンで操縦するのはバロン 58 ですが、将来複雑な単発機を操縦したいかもしれませんので、この図では複雑な単発機の例を示しています。したがって、バロン 58 に当てはめる場合は、私の言うことをすべて 2 倍にして (ジョークは除きます) 考えてください)。

定速プロペラの航空機では、スロットルを動かす量によって、シリンダに流入する燃料と空気の量が決まります。簡単に言えば、スロットルによって、エンジンの出力の大きさが決定します。プロペラ コントロールを動かすと、プロペラのピッチ (迎え角) が変わります。これにより、図 1-8 のように、プロペラが回転する速さ (rpm) を直接制御します。

図 1-8

スロットルがエンジンの出力を決定する一方で、プロペラのピッチはその出力をどれくらい効率よく使うかを決定します。 では、可変ピッチ プロペラのしくみを見てみましょう。 その後で、バロン 58 のプロペラのピッチを変えることがなぜ有効なのかを考えましょう。

プロペラ コントロールの目的

プロペラ コントロールを押し込むと、図 1-9 に示すように、プロペラの各ブレードがそれぞれの軸を中心に回転し、風に当たる角度が小さくなります。つまり、空気を切る量が減ります。

図 1-9

航空力学についての以前の説明から、迎え角が小さくなると抗力が減り、前進に対する抵抗が少なくなることはおわかりですね。したがって、プロペラ コントロールを前に押し込むとプロペラの回転数が上がります。 プロペラ コントロールを手前に引くと、プロペラが風に当たる迎え角が大きくなります。つまり、空気を切る量が増えます。図 1-10 に示すように、プロペラの抗力が増して、エンジン回転数は低下します。

図 1-10

エンジン回転計がプロペラの回転する速さ (rpm) を示すのと同様に、吸気圧力計はスロットルがどれだけ押し込まれているかを示します。この吸気圧力計によって、おおよそのエンジン出力がわかります (図 1-11)。

図 1-11

吸気圧とは何かを理解してもらうために、航空機の 4 サイクル エンジンの最初のサイクルについて、少し説明しなければなりませんね。

行程 (ストローク) について

航空機のエンジンには、吸気、圧縮、爆発、排気の 4 つのサイクルがあります。

図 1-12

ここで重要なのは、”吸気サイクル” です (図 1-12 の A)。このサイクルでは、ピストンが下に向かって動き、吸気弁が開きます。このサイクルが始まるときは、シリンダにはピストンがあるため、ピストンが下に動くと真空状態が発生します。 自然は真空を嫌います (“真空 (vacuum)” であって “バキューム クリーナー(掃除機)” のことではないので、家の掃除をしない理由にはなりませんよ)。ピストンが下に向かって動く間に、燃料と空気の混合物がシリンダに飛び込んできます (図 1-12 の A)。この吸い込むような動作が、”吸気圧” という言葉の由来です。下に動くピストンの吸い込み動作によって、吸気システム内に真空状態が発生します (図 1-13)。

図 1-13

スロットルを閉じた状態では、吸気システム内のスロットル弁によって、シリンダに流れ込む空気 (燃料も) がさえぎられるので、エンジンの出力もさまたげられます。しかし、そもそも吸気システムに空気を送り込むものは何でしょうか? そうです。周囲の大気の圧力です。大気圧が吸気システム内の圧力よりも高いため、空気がシリンダに流れ込みます。簡単に言えば、大気は吸気システムに向かって (ピストンの下降によって吸引される方向へ) 空気を押し込みたがっているのです。この押し込む力を、吸気圧力計によって測定します。この計器は単なる気圧測定装置であり、圧力を水銀柱の高さ (インチ単位) で表すように較正されています。高度計に似ていますね。

圧力がかかる

吸気圧の測定位置は、図 1-13 に示すように、スロットル弁よりも下流です。スロットルが閉じていると、スロットル弁のエンジン側が真空状態であっても、高い大気圧を受けているエンジンの外側の空気が吸気システムに流れ込むことはできません。図 1-14 では、スロットルが閉じた状態で吸気圧が 14 インチになっています。エンジンは懸命に空気を吸い込もうとしますが、閉じているスロットル弁を外からの空気が通り抜けることはできません。

図 1-14

スロットルを少し開くと、図 1-15 に示すように、吸気圧が高くなります。

図 1-15

するとエンジンに流れ込む空気と燃料の量が増え、出力が大きくなります。最終的に、パイロットがスロットルを全開にすると (図 1-16)、スロットル弁の下流の圧力が大気圧と等しくなります。つまり、空気は、大気が押し込むことのできる最大の圧力で吸気システムに流れ込みます。

図 1-16

通常の状態であれば、エンジンの吸気圧が大気圧よりも大きくなることはありません。大気が押し出すことのできる量は、大気自身の重さの分だけだからです。海面高度では、大気圧は真空のガラス管に水銀柱を 30 インチ分押し込むだけの力を持っています (図 1-17)。

図 1-17

大気の重さを計るときには、「外気圧が 30 水銀柱インチである」という言い方をします。 したがって、スロットル全開時のエンジンの吸気圧は、30 インチを少し下回ります (なぜなら、空気の摩擦と吸気システム内の吸気制限があるからです)。ということは、吸気圧が水銀柱 30 インチに近い値であれば、エンジンの出力がより大きくなることは明らかですね。一方で、吸気圧が低い、たとえば 15 インチの場合は、シリンダに流れ込む燃料と空気の量が少ないため、出力も小さいということになります。

航空機で上昇するとき、スロットルを全開にしていても吸気圧が下がることに気付くでしょう。その理由は、上昇するにつれて大気圧が低くなるからです。図 1-18 に示すように、高度が 1,000 フィート上がると、水銀柱は約 1 インチ下がります。高度が 1,000 フィート下がると、水銀柱は約 1 インチ上がります。

図 1-18

平均海面高度では、スロットルを全開にして、約 30 インチまで吸気圧を上げることができます。しかし、海抜 5,000 フィートでは、スロットル全開時の吸気圧は約 25 インチです (図 1-19)。

図 1-19

繰り返しますが、通常の状態では、大気はそれ自身の圧力 (それ自体の重さ) を超えて、空気を吸気システムに押し込むことはできません。

エンジンの出力はスロットルで制御すると説明しました。基本的にはそのとおりなのですが、エンジン出力は、パイロットが選択した回転数によっても少し変化します。言い換えれば、エンジンから発生する出力の総量は、実際には吸気圧とエンジン回転数の組み合わせによって決まります。次のように考えてみてください。今、2,000 カロリーのダイエットを行っています。朝食で 1,500 カロリー、昼食で 500 カロリーを摂取して夕食を抜いてもいいですし、朝食で 1,000 カロリーを摂取して昼食と夕食で 500 カロリーずつ摂取してもかまいません。1 日の合計を 2,000 カロリーにするための組み合わせはたくさんあります。

定速プロペラ機でも同じことが言えます。 特定の出力設定を実現することのできる吸気圧とエンジン (プロペラ ブレード) 回転数の組み合わせは、1 つではありません。図 1-20 は、このことを示すバロン 58 の例です。

図 1-20

この一覧にある吸気圧とエンジン回転数のどの組み合わせでも、巡航飛行時に目的のエンジン出力を得ることができます。スロットルで吸気圧を選択し、プロペラ コントロールでエンジン回転数を選択します。

吸気圧と回転数の組み合わせは、なぜこんなにたくさんあるのでしょうか? その理由は、燃料消費量、対気速度、および発生する出力は、いずれも吸気圧と回転数の組み合わせによって変化するからです。騒音の大きさとエンジン動作の円滑さも、回転数に応じて変化します。さらには、航空機の電子機器の中にも、エンジン速度の影響を受けるものがあります。ともかく、選択する出力に対応したさまざまな組み合わせの中から、自由に選択できるようになっているのです。

大きな疑問は、「そもそも、なぜ飛行中にピッチを変えられるプロペラを使うのか」ということです。結局のところ、これもまた操作方法を覚えなければならない、航空機のスイッチの 1 つにすぎないのでしょうか? そのとおりです。しかし、苦労する価値はあります。

定速プロペラを装備している航空機は、固定ピッチ プロペラの航空機に比べ、その操縦においてはるかに柔軟性に富んでいます。たとえば、セスナ 172SP のような固定ピッチ プロペラの航空機では、高速の巡航時であろうが、高速で上昇するときであろうが、その中間であろうが、プロペラの構造 (ピッチ) は固定されています。飛行中にピッチを変えることはできません。しかし、可変ピッチ プロペラの航空機では、プロペラのピッチを変えることで、コックピットからプロペラの形状を変化させることができます。これは、上昇または巡航に最適な迎え角が得られることを意味しています。ピッチを変えることで、どのように性能が向上するかを見てみましょう。このレッスンでは 1 基のエンジンの動作についてしか説明していませんが、当然、バロン 58 の両方のエンジンの動作に当てはまります。念のため。

ピッチを小さくして回転数を上げる

自動車で急な坂を登るときは、自動車のエンジン出力が最大出力のほぼ 100% になってほしいと思いますよね。ロー ギアで発進するのはそのためです。ロー ギアではエンジンの回転数が高くなるため、エンジンからより多くの出力が車輪に伝えられます (図 1-21 の A)。その結果、自動車が坂の途中で立ち往生する可能性は低くなります。今度急な坂を歩いて登るときに、注意してみてください。平地を歩くときのような大またではなく、小さい歩幅で歩数を多くして (回転数を上げて) 歩いていることに気が付くでしょう。

図 1-21

同じ原理が航空機にも当てはまります。上昇時は、パイロットは航空機のエンジン出力を最大にしたいと考えます。そうすれば、得られる推力も最大になるからです (航空機を上昇させるのは余分な推力であることを思い出してください)。

エンジン出力は、その回転数によって決まります。エンジンの出力を最大にするには、許容される最高の回転数で動作させる必要があります。それ以下の回転数では、エンジン出力は最大馬力にはとうてい及びません。 それが、離陸時 (またはゴー アラウンド時) にプロペラのピッチを最小 (回転数を最大) に設定する (プロペラ レバーをいっぱいに押し込む) 理由です。この設定では、プロペラが受ける風の抵抗が小さくなり、抗力が減少するのでエンジン回転数が上がります (図 1-21 の B)。このような条件の下で、エンジン出力は最大になり、したがって上昇時や加速時に最大推力が得られます。

「プロペラが空気を切る量が少ないのに、どうやって推力が最大になるのだろう」と思っているかもしれませんね。次のように考えてみてください。プロペラが切る空気の量が多い (迎え角が大きい) 場合は、確かに推力が大きくなります。ただしそれは、プロペラが高速で回転し続ける場合に限ります。そこが問題なのです! 空気を切る量があまりに大きいと、プロペラの抗力が増大します (翼の迎え角が大きい場合と同じです)。そのためプロペラの速度が低下し、エンジン出力は最大にはならなくなります (坂道の自動車と同じく立ち往生してしまいます)。結果的には、プロペラから得られる推力は、本来得られる推力よりも小さくなってしまいます。

この考え方を理解するための最終手段として、ジュースを作るミキサーを考えてみてください。ミキサーの刃の回転速度が上がる前に繊維の固い野菜を入れると、ミキサーは動かなくなってしまいます (回転速度は低いままです)。低速ではモーターの回転力が弱いため、何も切り刻むことはできません。ただし、ミキサーの刃がいったん高速で回転を始めれば、刃の回転力には何物も抵抗できません。モーターの回転速度が高いということは、最大のパワーが生み出されていて、ミキサーの刃が固い野菜の繊維に当たっても速度が落ちないことを意味します。航空機のエンジン回転数を上げた場合は、最終的な結果として、ブレードのピッチが小さくても、プロペラの回転が高速であればエンジン推力は最大になります。

ピッチを大きくして回転数を下げる

最大のエンジン出力を必要としないときがあるでしょうか? はい、あります。たとえば、高速道路を走行しているときは、自動車が適正な速度で前進し続けるだけの出力があればよく、おそらく最大出力の 55 ~ 65% で十分です。高速道路で速度を維持するには、ギアをハイに切り替えてエンジン回転数を下げます (図 1-22 の A)。ハイ ギアにするということは、エンジンの回転数が低くなることを意味しており、適正な速度で自動車を進ませ続けるだけの馬力しか発生しません。これにより、全速力で走行した場合に比べて燃料消費を少なくすることができます。

図 1-22

巡航飛行中の航空機の操縦もこれと似ています (図 1-22 の B)。巡航飛行中は、馬力を最大にする必要はありません。必要なのは、燃料消費を抑えながら適正な対気速度を実現することです。バロン 58 をフル スロットルで巡航飛行させることも可能ですが、そんな必要があるでしょうか? 速度を上げると抗力が増し、膨大な燃料を消費するうえ、結局はそれほど速くは飛べないのです (全抗力は対気速度が高くなるにつれて劇的に増加することを思い出してください)。したがって、巡航飛行では高い対気速度と低い燃料消費との間で妥協点を見つける必要があります。

吸気圧とエンジン回転数の組み合わせが適切であれば、特定の燃料消費率における適正な対気速度を得ることができます (これらの組み合わせの例は図 1-20 を参照してください)。巡航飛行では、スロットルで目的の吸気圧を選択し、プロペラ コントロールでエンジン回転数を選択します。これで、プロペラは特定の (低い) 燃料消費に応じた揚力 (推力) を発生するようになります。

なぜ定速プロペラなのか

複雑な航空機の可変ピッチ プロペラは、”定速” と呼ばれるものの一種です。その回転数に達すると、スロットルを動かして吸気圧を変えても、エンジン速度は変化しません。つまり、スロットルを開いたり (図 1-23) 閉じたり (図 1-24) しても (または航空機の姿勢を変化させても)、エンジンの回転数は変化しないのです。これが、可変ピッチ プロペラを定速プロペラと呼ぶ理由です (もちろん、スロットルをいっぱいに引いた場合は、プロペラの回転を続けさせるだけの出力は得られなくなります。エンジンの回転数は下がるしかありません)。

図 1-23

図 1-24

航空機に定速プロペラを装備する理由は、パイロットの作業負荷の軽減です。出力を変えるたびに回転数を再調整する必要はなく、いったん回転数を設定すれば、その設定で回転し続けます。家庭のエアコンが温度を一定に保ってくれるようなものです。

一定の速度を維持するプロペラを使う意義は何でしょうか? 出力を管理しながら再調整しなければならない要素が 1 つ減ります。 たとえば、機種別マニュアルによれば、上昇時にエンジン出力の効率が最も高くなるのは吸気圧 25 インチで回転数 2,500 rpm のときである、とします。上昇時は、吸気圧は 1,000 フィートごとに約 1 インチの割合で減少します (高度が 1,000 フィート上がるたびに外気圧が 1 インチ下がるためです)。しかし、定速プロペラでは、吸気圧 (スロットルの位置) が変化しても、回転数は設定値の 2,500 rpm で自動的に維持されます。上昇時にパイロットがするべきことは、必要な吸気圧を維持するためにスロットルを押し続けることだけで、回転数を調整する必要はありません。

バロン 58 では、離陸はすべて、フル スロットル (吸気圧約 29 インチ) で、プロペラ コントロールをいっぱいに押し込んだ状態 (約 2,700 rpm) で行います。これは “離陸出力” と呼ばれ、この状態ならば確実に最大推力が得られます。ただし、航空機が安全飛行高度に達したら、出力を下げて、上昇時の出力設定である吸気圧 25 インチ、回転数 2,500 rpm に設定します。こうして、エンジンを酷使して過熱したり損傷したりするのを防ぎます。安全飛行高度とは 500 フィート AGL と考えてください (レッスンで私がもっと高い高度を指示したときは別です)。なぜ 500 フィートなのでしょう? 離陸後に最初に出力を下げたときにエンジンの負荷レベルが変化し、エンジンの既存の問題が悪化して、故障につながる可能性があるという説があります。したがって、航空機の操縦が容易で着陸に戻ることができる高度に達するまでは、出力を調整しないのは理にかなっていると言えるでしょう。

巡航飛行では、レッスンの具体的な内容に応じて、吸気圧は約 19 ~ 23 インチ、回転数は 2,300 前後に設定します。

出力を変化させる

プロペラのピッチを変える機能に関連して、出力の管理におけるいくつかの非常に重要な原理を理解する必要があります。出力を変化させるときに、スロットルとプロペラ コントロールを使用する順序が正しくないと、エンジンに過剰な負荷がかかりやすくなります。

たとえば、吸気圧を 23 インチ、回転数を 2,300 rpm に設定しているとしましょう (図 1-25)。

図 1-25

ここで、吸気圧を 25 インチ、回転数を 2,500 rpm に上げるとします。先に吸気圧を 25 インチに上げると、シリンダに流れ込む燃焼混合気の量が増えます。通常であれば、これによってプロペラの回転が速くなります。しかし、ここではそうはなりません。設定された回転数を維持するために、プロペラは切る空気の量を増やして出力の増加分を吸収するからです。 プロペラが回転数を増やさないようにしようとすると、シリンダにかかる負荷が大きくなります (なぜなら、膨張する気体の圧力が高まっているのに、ピストンを動かす速度を上げることができないからです)。 シリンダに一定以上の負荷がかかると、エンジンを損傷する場合があります。

吸気圧と回転数の両方を上げたいときは、先に回転数を上げて、次に吸気圧を上げてください。つまり、プロペラ コントロールを押し込んでから、スロットルを押し込みます。

吸気圧と回転数を下げるときも、同じ原則に従ってください。図 1-26 に示すように、スロットルを引いてから、プロペラ コントロールを引きます。別の考え方をすれば、吸気圧と回転数を変化させるときは常に、プロペラ コントロールのレバーが、スロットルよりも物理的に向こう側にあるように注意するということです。 “いつもプロペラが上” (または “いつもスロットルより前”) と覚えてください。

図 1-26

プロペラに関するヒントとその他もろもろ

プロペラのガバナー (調速機) が機能し始めるのは、エンジンが特定の回転数を超えて動作しているときだけで、それより低いときは機能しないことに注意してください。つまり、スロットルを動かして回転数が変化するのは、プロペラがその最低調速回転数に達するまでです。

これで、先ほどお話しした GUMP の “P” の部分について理解できるでしょう。GUMP は何の略だか覚えていますか? Gas (燃料ポンプをオン)、Undercarriage (着陸装置を下げる)、Mixture (混合気コントロールをいっぱいに押し込む)、Prop (プロペラ コントロールをいっぱいに押し込む) ですね。 なぜ着陸直前にプロペラ コントロールをいっぱいに押し込む (ピッチを小さくして回転数を上げる) のでしょうか。それは、ゴー アラウンドが必要になるような、不測の事態に備えるためです。”ゴー アラウンド” とは、着陸を中止し、それに続いて出力を全開にして上昇し、旋回してもう一度着陸を試みることです。そのような状況では、離陸時と同様に、エンジンの出力を全開にすることが重要です。これが、着陸前にプロペラ コントロールを離陸時と同じくいっぱいに押し込む理由です。

航空機のエンジンの基本はわかりましたね。もちろん、良いパイロットになるために整備士になる必要はありません。少なくとも自分のシートベルトの下にあるものについては、理解してください。それらは、安全で経済的にフライトを遂行するのに役立つはずのものです。

次に、バロンやこれに似た他の航空機を操縦するときに必要となるヒントを、さらにいくつか挙げておきます。

速い航空機は速く飛行する

バロン 58 は、操縦が複雑な航空機の多くがそうであるように、高速の航空機です。そのスピードを最大限に発揮するために、事情が許す限りできるだけ高速で飛行することをお勧めします。 たとえば、空港に着陸するために降下しているときは、着陸前のファイナル アプローチと同じ速度で飛行しても意味がありません。 必要であれば、223 ノットに近い速度で降下できます。これはバロンの “運用限界速度” であり、対気速度計の高速側の赤い線によってもわかります。もちろん、私は赤い線に近いところで飛行するのが大好きというわけではありませんが、そのようにしても違法ではありません (ただし、お勧めはしません)。

バロン 58 の対気速度計にある黄色の円弧は、195 ノットから始まり、223 ノットの赤い線まで続いています。これは “注意範囲” と呼ばれ、この範囲の対気速度で飛行するのは、乱気流がないときに限られます。つまりは、注意が必要だということです。 ただし、乱気流がなければ、この速度範囲内で自由に飛行できます。それで悪いことは何もありません。空港への着陸に向けて降下するために、巡航高度から高度を下げなければならないときは、これは確実に有利に働きます。高速で降下すると大きな抗力が発生するので、航空機を短時間で降下させることができるのです。

一方、220 ノットで空港周辺に突入しようものなら、トラフィック パターン内の他のすべての航空機を、ボウリングのピンのように蹴散らすことは間違いありません。トラフィック パターンに入るとき、必ず着陸装置を下げるようにするのはそのためです。着陸装置を下げることができる最大速度は 152 ノットなので、トラフィック パターンに入る前に、少なくともこの速度までは減速する必要があります。ただし、いったん着陸装置を下げた後に、速度を再び 220 ノットまで上げることはできません。 152 ノットは、着陸装置を下げた状態での最大速度でもあるからです。つまり、着陸装置の構造または着陸装置の扉の構造のいずれかが理由で、着陸装置を下げたままでは 152 ノットを超える速度で飛行できないのです。このレッスンで実際に飛行してみると、着陸装置を下げることで、どれだけ降下にかかる時間を短縮できるかがわかるでしょう。 したがって、着陸装置を下げた後、短時間に大きく高度を下げたい場合は、152 ノットを超えないように速度を上げます。

最後のアドバイス

最後に、バロン 58 で飛行するときに考慮してもらいたいいくつかの事項を示します。バロン 58 は多発機であり、同じ種類の他の航空機と同様に、単一エンジンでの最小操縦速度 (Vmc) というものが定義されています。これは、対気速度計の低速側の赤い線で示されるもので (図 1-27)、85 ノットに設定されています。Vmc の詳細についてはこのレッスンでは触れませんが、多発機では Vmc 未満の速度で機首を上げてはならないということを覚えておいてください。この速度を下回る状態で片方のエンジンの出力が止まると (または止まりかけても)、航空機が制御不能になる可能性が高いからです。

対気速度計の 101 ノットのところに青い線がありますが、これは、バロン 58 のエンジンが片方しか動作していない場合の最良上昇率速度です。レッスンではエンジンが停止することはないので、この速度を使うことはありません。

バロン 58 では、両方のエンジンが動作している状態での最良上昇率速度は 105 ノットです。この速度は離陸直後の上昇時に使用し、約 500 フィート AGL (レッスンでの安全飛行高度) に達するまでこの速度を維持します。その後で、適切な巡航上昇速度である 136 ノットまで上げます。 この速度が適切な理由はいくつかありますが、特に言うなら、ここまで速度を上げればカウリング越しに他の航空機がよく見え、また、エンジン温度上昇を抑えることができるからです。

一般的なルールとして、アプローチはすべて 105 ノットで行います。ただし、特別に短い滑走路に着陸する場合を除きます。そのような場合はさらに速度を下げます。事業用操縦士技能証明のレッスン 2 で学習しましょう。

152 ノット (着陸装置を下げた状態で飛行可能な最大速度) まで速度を上げた場合は、フラップを 15 度まで下げることができます。フラップを 15 度以上下げる場合は、フラップの損傷を避けるために、速度が 122 ノット (白い円弧の上端) を超えないようにする必要があります。 バロン 58のフラップ スイッチには、図 1-28 に示すように TRANS (作動中、フラップが上または下に動いている途中)、APR (アプローチ フラップ、15 度)、DN (ダウン、フル フラップ) の 3 つの設定があります。

これで準備完了です。

このレッスンでここまで学習すれば、事業用操縦士の訓練を開始する資格があると私は考えます。では、試してみましょう。ただし、事業用操縦士技能証明を取得するには、地上での講義はもちろんですが、多くの場合は数百時間もの飛行練習を要します。ですから、辛抱強く少しずつ行いましょう。Flight Simulator の事業用操縦士のレッスンは、少々難易度が高くなっています。もし簡単だったら、誰もがやっていますからね。

では、コックピットでお会いしましょう。今学習したことを練習するには、[このレッスンを開始する] をクリックしてください。

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