Mooney M20M “Bravo”
フライト ノート― Mooney Bravo の操縦方法
ムーニー社の航空機は速く飛ぶように造られています。スピードの重視は、一時期ポルシェ製のエンジンを搭載した航空機を製造していたことからもわかります。ポルシェ社との提携は長くは続きませんでしたが、ムーニー社のスピードへの傾倒は続きました。常に速さの追求を念頭に置きながら、ムーニー社は数多くの “大型エンジン” モデルを試作してきました。 ブラボーは、ムーニー社の製造する最速の航空機で、25,000 フィートに上昇するまで、継続して 270 馬力を維持できます。また、最高速度は 220 KTAS に達し、これは現在生産されている単発機では最速を誇っています。
1989 年、M-20M TLS (ターボチャージャー付きライカミング セイバー) の販売が開始されました。これは、かつてポルシェ製エンジンを載せていたムーニー PFM の機体に、ターボチャージャーとインタークーラーが付いたテクストロン ライカミング TIO-540-AF1A 6 気筒エンジンを搭載した航空機でした。最大 350 馬力を発生させることができましたが、キャビンの静粛性と、エンジンのオーバーホール サイクルを考慮して、ムーニー社では M-20 の最高出力を 270 馬力に抑えました。 同機は、3 枚羽根のプロペラを備え、それによってグラウンド クリアランス (プロペラと地面の間の間隔) が増しました。ちなみに、この 3 枚羽根のプロペラは、パイロット達の間でも大好評でした。
Precise Flight 社の電動式のスピード ブレーキが標準装備となりました。高い巡航速度と高高度での性能を考えると、スピード ブレーキは有用な追加機能でした。高度を下げる場合、パイロットはエンジンの過冷却を避けるために出力を高い設定にしたまま、スピード ブレーキを使って希望の対気速度を維持できます。大型エンジンの高いトルク力を補正するために、電動ラダー トリムも追加されました。1989 年から 1996 年にかけてこのモデルに加えられた技術的変更はごく小さなものしかなく、初期設計の完成度がいかに高かったかを物語っています。
1996 年半ば、ムーニー社は新型の TLS を市場に導入しました。このモデルでの最大の変更点は、エンジンの改良でした。エンジニアたちは追加の冷却液システムが必要だと判断したため、この機にはライカミング TIO-540-AF1B が搭載されました。このエンジンの名称に含まれる “B” から、新しいムーニー機に名前が付けられました。そう、ブラボーです。
エンジンにターボチャージャーを付けるとコストが上がり、より複雑になりますが、交通手段としての航空機の柔軟性は高まります。ターボチャージャーを使用して、高高度でも周囲より濃い空気をエンジンに供給すれば、より高く、より速く飛行できます。そして、これがブラボーのすばらしさなのです。ブラボーは悪天候の上空を飛び越すことができ、その場合でも 220 ノットの巡航速度を達成します。低高度から中高度でブラボーを上回る速度を実現できるのは、同じムーニー社のオベーションだけです。10,000 フィート (3,048 m) を超える高度では、ブラボーはあらゆる新型のピストン式の既製単発機や双発機よりも速く飛ぶでしょう。この速度は、かつてのバロン 58P やエアロマスター 601P などのような、いわゆる高速双発機にさえ匹敵します。
この高速飛行こそがブラボーの魅力なのです。つまり、目的地に速く到着するということです。この点で、ブラボーに並ぶものはありません。
諸元表
ヤード ポンド法 | メートル法 | |
最大速度 | 220 kt、253 mph | 407 km/h |
巡航速度 | 195 kt、224 mph | 361 km/h |
エンジン | Textron Lycoming TIO-540-AF1B (270 hp) | |
プロペラ | McCauley 3 翅定速 | |
航続距離 | 1,050 nm、1,204 miles | 1,945 km |
実用上昇限度 | 25,000 ft | 7,620 m |
燃料積載量 | 89 U.S. gal | 337 ℓ |
自重 | 2,189 lb | 993 kg |
総重量 | 3,368 lb | 1,528 kg |
全長 | 26.75 ft | 8.15 m |
全幅 | 36 ft | 11 m |
全高 | 8.33 ft | 2.5 m |
座席数 | 最大 4 席 | |
有効搭載量 | 1,179 lb | 535 kg |