レッスン 2: ショート フィールド テイクオフとショート フィールド ランディング
何年か前にうわさになった、あまり腕の良くないパイロットの話です。おそらく、空港へのアプローチ中に混乱したのでしょう、彼は滑走路のセンターラインと直角に着陸したのです。何度も目いっぱいブレーキをかけた後で、そのうろたえたパイロットはどうにか航空機を停止させました。そしてあたりを見回し「おや! 見ろよ。何て短い滑走路だ」と言いました。同乗者は左右に目をやってこう言ったそうです。「ああ、それにやたら幅が広いじゃないか」
パイロットが 1 人 1 人違うように、空港もまた 1 つとして同じものはありません。滑走路の長さが 10,000 フィートを超える空港もあれば、1,000 フィートちょっとしかない空港もあります。滑走路は舗装されている場合もあれば、芝の場合もあり、幅の狭いものも広いものもあります。あなたはパイロットとして、短い滑走路での離陸と着陸の方法を理解する必要があります。なぜなら、滑走路が長いために問題が起きることはまずないからです。
それでは、このレッスンの内容をご説明しましょう。ここでは、”ショート フィールド テイクオフ” および “ショート フィールド ランディング” と呼ばれる操縦方法を説明します。これは、ワシントン州にある、カシミアという名の小さな空港で行います。カシミア空港には、約 1,800 フィートの短い滑走路があります。なぜそんなに短いのかは知りませんが、多分、伸ばそうにも土地がなかったのでしょう。
このレッスンの全体像をつかめるように、概要を簡単に示します。レッスンは、カシミア空港の滑走路 7 の開始端から始まります。あなたは、ビーチクラフト バロン 58 に乗り、所定の位置で待機しています。滑走路の反対側の終端の先には、何本もの高い樹木と山が見えます (図 2-1)。
それらが見えないように両手で目を覆ってもいいですが、両手を使わずに離陸するのは難しいということを、一応申し上げておきます。ショート フィールド テイクオフのテクニックを使って離陸し、レフト トラフィック パターンを飛行してから、滑走路 7 に戻ってショート フィールド ランディングを行います。 なぜショート フィールド ランディングのテクニックを使うかは、ファイナル アプローチを飛行するときに、周囲の切り立った地形を見てみるとわかるはずです (図 2-2)。
以上がおおよその内容です。では始めましょう。
ショート フィールド テイクオフと上昇
ショート フィールド テイクオフを行うのは、一般に、滑走路の離陸端の先に障害物がある場合です。これは、まさにカシミア空港の状況です。滑走路の長さは 1,800 フィートしかなく、滑走路 7 の離陸経路に沿って、大きな木がかなりたくさん植えられているようです。したがって、利用可能な滑走路を目いっぱい使って離陸します。つまり、滑走路の一番端から出発するわけです。このように離陸するために、レッスンは、滑走路末端のすぐ近くから開始します。
もちろん、離陸前に必ず航空機が選択した滑走路で実際に離陸が可能であることを確認します。今回は、私がすでにこれを済ませました。15 ノットの向かい風の中を離陸するので、私の計算では、バロン 58 が加速して離陸し、50 フィートまで上昇するには、約 1,600 フィートの水平距離が必要です。今日の気温がほぼ標準に近ければ、カシミアから十分に離陸可能な性能です。今日はそれほど寒くはないので、離陸にあたって、”カシミア” のセーターを着なくてもよいでしょう。
離陸前チェックリストの項目をすべて確認して、離陸の準備ができたら、離陸を開始するために、ブレーキをかけたまま出力を全開にします。いえ、実際にこのまま離陸するのではありません。これは、離陸滑走を開始する前に静止時最大回転数まで上げるためです。こうすれると、大きく加速でき、滑走する長さが短くなります。回転数が最大になったら、ブレーキを解除して、航空機を滑走路のセンターライン上に維持するようにします。
最良上昇角速度
次に考えることは、速度です。バロン 58 は、ショート フィールド テイクオフを行うときは Vx、つまり最良 “上昇角” 速度と呼ばれる速度で上昇する必要があります。Vx は、特定の地上距離を移動する場合に、航空機が最も高く上昇できる速度です。いやな思い出を甦らせるのでなければ、幾何学の授業を思い出してください。与えられた水平距離に対する垂直方向の高度の増分の最大値が最大上昇角です。バロン 58 の最良上昇角速度は 92 ノットです (図 2-3)。
92 ノットになるまで待ってから機首を上げるのでは、貴重な滑走路の距離を無駄遣いすることになります。ですから、Vx まで約 5 ノットの速度になったら機首を上げます。引き起こしの間も航空機は加速を続けているので、Vx を数ノット下回る速度で引き起こせば、引き起こしが完了したときに Vx に達します。このようにすれば、ショート フィールド テイクオフの効率が最大になります。したがって、87 ノットで引き起こしを行い (図 2-4)、92 ノットで上昇するようなピッチ姿勢をとるように (図 2-5) 計画します。 私には超能力があるので、この姿勢は 18 度の機首上げとなることを予言します。私がこの機首上げを何億回もやってきたという事実も、超能力を強めるのに役立っているんですよ。
余談ですが、これは多発機なので、単一エンジンでの最小操縦速度 (84 ノット、低速側の赤い線) より低い速度での引き起こしはできる限り避けましょう。レッスン 1 で説明したように、この速度以下でエンジンが故障した場合は、航空機を制御できなくなります。
92 ノットでの上昇姿勢を確立したら、着陸装置を上げてください (ここでは上昇率がプラスであるものとします)。これにより、上昇性能が最大になります。
実は、ショート フィールド テイクオフ時に着陸装置を上げるタイミングについては、2 つの方法があります。1 つは、障害物を越えるまでは着陸装置を出したままにする方法です。離陸時に複数の作業 (上昇と着陸装置の格納) をこなすのに苦労するパイロットにとっては、着陸装置操作レバーを操作するのは難しいだろうと心配しているわけですね。もう 1 つは、パイロットの負担は増えますが、着陸装置を上げて上昇性能を最大化する方法です。これは事業用操縦士の訓練なので、当然あなたは、離陸直後に着陸装置を冷静に上げる技能をお持ちですよね。
最良上昇率速度
滑走路を離れて、目の前の離陸経路に障害物がなければ、Vx (最良上昇角速度) で上昇を続ける理由はありません。なんといっても、この姿勢では航空機の機首の先がほとんど見えません (図 2-6)。
滑走路の先に見えたあの木々がどれだけ大変であったかを考えると、もう木なんて見たくないと思うかもしれませんが、現実はそうはいきません。だから、機首を下げて、Vy、つまり “最良上昇率” 速度と呼ばれる、別の速度で上昇していただきたいのです。
Vy は、特定の時間で最も高く上昇できる速度です。つまり、図 2-7 に示すように、昇降計の針が上に最も大きく振れる速度ということです。
バロン 58 の Vy は 105 ノットです (図 2-8)。
この速度で上昇すれば、トラフィック パターン高度に達するまでの時間が最も短くなります。図 2-9 に、Vx と Vy の違いを示します。
ダウンウィンド レグへの操縦
上昇速度 105 ノットを確立したら、安全飛行高度である海抜 2,000 フィートまで上昇を続けます。これはカシミアの対地高度 (AGL) では 1,000 フィート強です (事業用操縦士のレッスン 1 では安全飛行高度として 500 フィート AGL を使用しましたが、このあたりは山の多い土地なので、 その 2 倍の 1,000 フィート AGL を安全飛行高度とします)。海抜 2,000 フィートに達したら、吸気圧と回転数を、上昇設定である 25 インチと 2,500 rpm までそれぞれ下げます。先に吸気圧を下げてから回転数を下げるということを、忘れずにいてください。
カシミアでのトラフィック パターン高度 (TPA) は、実際には海抜 1,650 フィートです。残念ながら、訓練ではこの高度を使用することはできません。計器パネルと外の景色との両方に注意を向けるのは難しいので、訓練ではトラフィック パターン高度としてさらに高い 3,500 フィートを使用していただきます。このようにしても、問題となることはありません。大型で高速の航空機では、トラフィック パターン高度を高くすることはよくあります。というわけで、高度 2,500 フィートでクロスウィンド レグに旋回し、3,500 フィートで水平飛行に移るように計画を立てます。
クロスウィンド レグに旋回するには、針路 340 度まで左旋回する必要があります (図 2-10)。旋回するときは、バンク角が 20 度を超えないようにしてください。やり方はわかっていますね。
おそらく、クロスウィンド レグで TPA に達するでしょう。TPA に達したら、機首を下げ、出力を下げて吸気圧を 19 インチにしてください (図 2-11)。 このようにすれば、対気速度はそれ以上上がらないので、トラフィック パターン内を飛行している他の遅い航空機を驚かせることもなくなるでしょう。
山の多い土地を飛行しているので、空港から離れすぎる前にダウンウィンド レグに旋回してもらいます。そこで、このレッスンでは、ダウンウィンド レグに旋回するタイミングで私が声をかけます。私が合図したら、左に旋回して針路を 250 度にしてください。さらに、山で滑走路が見えなくなることがないように、滑走路に十分近い距離でダウンウィンド レグを飛行する必要があります。
前にも言いましたが、ダウンウィンド レグに入るまでに着陸装置を下げておくのが常に最善の方法です。こうすれば、トラフィック パターンを飛行している遅い航空機を追い越すこともなく、また着陸装置を確実に下げて着陸できます。ですから、ダウンウィンド レグに入ったらすぐに、着陸装置を下げてください。
このレッスン中はいつでも、テンキーの 1、4、または 7 キーを押して滑走路を探す (見る) ことができます (NumLock がオンになっていることを確認してください)。
滑走路に対する自分の位置を確認するために、GPS を自由に使用してかまいません。滑走路がどこにあるかは、常に把握しておいてください。
ここまでで、障害物を越えるショート フィールド テイクオフがどのようなものか、おわかりになったでしょう。ここからは、障害物を越えるショート フィールド ランディングの準備です。私の指示に従って、カシミアの滑走路 7 に着陸してもらいます。
ショート フィールド ランディング
ショート フィールドのアプローチとランディングは、空港の着陸エリアが比較的短い場合や、ファイナル アプローチ経路に障害物がある場合に使用します。 ここで操縦している双発機は、ほとんどの単発機よりも長い滑走路を必要とするので、カシミア空港がショート フィールド ランディング手順の練習に適していることはおわかりですね。ファイナル アプローチ経路の周囲の地形が少々険しいことからも、ファイナル アプローチでの障害物回避手順が必要なことがわかります。
着陸時は必ず、着陸性能チャートを見て、安全な着陸が可能であることを確認する必要があります。15 ノットの向かい風で、カシミアの滑走路の長さは 1,800 フィートなので、私の計算によれば、滑走路 7 に安全に着陸するのは難しくないはずです。
ここでの疑問は、短い滑走路への着陸はどのように行うか、そして、この種の着陸が通常の長さの滑走路への着陸よりも重要な理由があるとしたらそれは何か、ということです。良い質問です。それではお答えしましょう。
ショート フィールド ランディングを行うには、その航空機に適切な最低のアプローチ速度まで減速します。これはもちろん、その航空機が、そのような低速で飛行して、この空港に実際に安全に着陸できることが前提です。すべての航空機でそれが可能とは限りません。だから、ジェット機でカシミアに着陸してはならないのです。ジェット機は、どんなに減速しても、おそらくまだ速すぎてこのような空港に安全に着陸することはできません。何とかカシミアに着陸したとしても、離陸できる見込みはありません。バロン 58 ではこのような問題はありません。というのは、比較的遅い対気速度でアプローチを飛行できるからです。バロン 58 のマニュアル (POH) では、ショート フィールド アプローチは速度 97 ノット、フラップ 30°で行うよう推奨されています。
97 ノットということは、バロン 58 の片方のエンジンでの最小操縦速度より速い速度を保つことができます (エンジンのどちらかが休暇を申し出た場合に備えてのことです)。また、97 ノットであれば、適切なタイミングでブレーキをかけることで、滑走路がなくなる前に完全に停止できます。唯一の懸念は、97 ノットはこの航空機の失速速度を 30% しか上回っていないことです。ファイナルにおいて正しい着陸テクニックを使う必要があるのは、そのためです。速度を維持してグライド パスを制御するには、どのようなテクニックを使うのでしょうか。まさか「えーと、操縦を教官にお任せするというテクニックです」などとは言わないでくださいね。私がお勧めするのは、次のような方法です。
海軍パイロットの着陸テクニック
米国海軍のパイロットは、ショート フィールド ランディングが得意でなければなりません。彼らが着陸する場所は、全長が 1,000 フィートもないからです。その場所とは、”航空母艦” です。海軍パイロットが高い技能を身に付けているのは、着陸しようとする滑走路がじっとしていないことが多いからです。いえ、航空母艦の艦長がパイロットたちから逃げようとしているわけではありません。母艦は向かい風で着陸できるように移動するので、パイロットはより短い距離で着陸できるのです。 よく考えられていますね。
海軍のパイロットは、エレベータを使ってピッチ姿勢を細かく制御し、それにより対気速度を制御します。 また、スロットルを使って降下率を制御します。ILS で飛行するときと同じように、これらのコントロールの使い方を入れ替えることも確かに可能ですが、ここでは海軍のテクニックを使いましょう。なんといっても、このテクニックで船の上に降りられるのなら、あなたは航空機のどこも傷つけることなくカシミアに降りられるはずですから。
では、ダウンウィンド レグから始まるショート フィールド アプローチを飛行する方法を説明しましょう。
アプローチを飛行する
ダウンウィンド レグでは、着陸装置が下がっており、出力が吸気圧 19 インチまで下がっている状態にします。ここで、航空機をさらに 110 ノットまで減速してください。それには、まず吸気圧を 15 インチまで下げます。減速するとき、目的の TPA である 3,500 フィートを必ず維持してください。つまり、やや機首を上げるようにトリムを調節する必要があるので、どんどんトリム スイッチを動かしてください。
速度が 152 ノットを下回っていれば、フラップの最初の 15 度を下げることができます。この角度を、APR (アプローチ フラップ) 設定と呼びます。アプローチ フラップの設定は、対気速度が 110 ノットで、滑走路の進入端が翼の左側から 45 度の位置に見える時点までに行う必要があります。一般に、滑走路がこのように見えたときに、ベース レグへの旋回を始めます (もちろん他の航空機の飛行状況によります)。 テンキー、ジョイスティックのハット スイッチ、または GPS を自由に使って、進入端が翼の左側から 45°の位置に来るのを確認してください。そのように見える地点に達したら、左に旋回して針路を 160 度にとり、ベース レグを飛行します (図 2-12a および 2-12b)。
ベース レグに入ったら、降下を始める位置に来ているはずです。まず吸気圧を下げ、フラップをさらにいっぱいまで下げて、着陸体勢を整えます。ここでフル フラップにする理由は 2 つあります。1 つは、障害物があってもその上を比較的急な角度で降下できることです。もう 1 つは、低速で安全に飛行できるため、結果として低速で着地できることです。つまり、滑走路上で停止するまでの時間を短くできるのですが、これがまさにこのレッスンの目的です。
体勢が整ったら、旋回して滑走路 7 へのファイナルに向かいます (図 2-13 のように、この旋回を行うタイミングを計るには、テンキー、ハット スイッチ、または GPS を自由に使ってください)。
ファイナル アプローチに入ったら、97 ノットに減速し、安定して降下できるようにトリムを調整します。これで、ショート フィールド ランディングの最も重要な部分を開始する準備ができました。それは、障害物がある場合はそれを避けて、可能な限り進入端に近い位置に航空機が着地するように、アプローチ経路を変更する部分です。
いよいよファイナル
航空機を着陸体勢にしてファイナルへ旋回するときの高度は、着地地点より 500 フィート以上高くなければなりません (空港の標高を基準とすれば問題ありません)。航空機の現在のグライド パスを確認して修正し、ショート フィールド ランディングを正しく行えるかどうかを見極めるには、少なくとも 500 フィート必要です。それを判断し、飛行しているアプローチが不利なようであれば、ゴー アラウンドしてやり直します。
ここで大切なのは、降下が速すぎたり (図 2-14)、遅すぎたり (図 2-15) しないようにすることです。
降下が速すぎると、ファイナルにある障害物を回避できず、ましてや滑走路への着地も不可能です。また、降下にかかる時間が長すぎると、着陸までの距離が長くなります。これが、着地エリアから 500 フィート以上上空でファイナルへの旋回を行う理由です。ショート フィールドのファイナル アプローチでは、通常は出力をごく小さくして飛行するため、進入端にできるだけ近い位置に着陸するために必要なグライド パスを調整するなら、この時点で行うのが最適です。
次に、正しく降下しているかどうかを見極める方法を説明します。ファイナル アプローチで、ピッチが安定して 97 ノットで飛行できる状態になったら (航空機のトリムを適切に調整できたことを意味します)、目的のグライド パスを飛行できるように出力を調整します。ファイナルで、障害物を避けるために高度を高く維持する必要があり、その結果着陸距離が長くなり、停止するのに十分な距離がないと判断した場合は、出力を下げ、機首を少し下げます。 このような組み合わせで操縦装置を操作すると、97 ノットを維持しながら、降下率を大きくすることができます。降下が速すぎてファイナルにある障害物を回避できないようであれば、出力を上げ、機首を少し上げます。このように操作すると、97 ノットを維持しながら、降下率を下げることができます。高度が低すぎるときは、機首を上げ、出力を上げなければなりませんが、その間に対気速度が低下して、失速速度に近づく危険があることに注意してください。このような状態にしてはなりません。実際に、高度が下がって速度も下がりすぎると、そこから出力を上げて安全なゴー アラウンドを行えるような状況まで回復することは、不可能ではないとしても困難な場合があります。速度が下がりすぎるということは、出力曲線のバックサイド領域 (低速になればなるほど必要な推力が大きくなる速度域) に入ることを意味します。私の言うことを信じてください。着陸フレアの直前までは、対気速度を 97 ノット以下に落としてはなりません。
正しい降下経路を飛行していることは、どうすればわかるのでしょうか? 以前の着陸のレッスンで学習したのと同じ原理がここでも当てはまります。滑走路の見え方、周囲に見える手掛かり (コンピュータのシミュレーションでは判断しにくいですが)、そして滑走路の VASI (進入角指示灯) を使うのでしたね。おっと、VASI の話はまだしていませんでしたっけ? まあ、そういうものがあるので、それを利用して正しいグライド パスを飛べるようにするのです。ここで使用できる VASI は、精密進入経路指示灯 (PAPI) と呼ばれる種類のものです (図 2)。
ここで行うのはショート フィールド アプローチですから、PAPI の指示灯の見え方が “やや高い” になるようにアプローチを飛行するとよいでしょう。そうすれば、ファイナル アプローチにある障害物にぶつからないように降下できるはずです。
操縦が複雑な航空機を操縦しているので、ファイナルでは必ず “GUMP” を口に出してチェックし、正しい着陸体勢を確実にとることを忘れないでください。着陸装置を上げたままで着陸すると、可能な限り短い距離で着陸するという点では、目的を達することができるでしょう。けれども、航空機を飛行可能な状態に維持するという目的は達することができません。
もう 1 つ重要な点として、ファイナル アプローチを、急角度で、航空機の失速速度に近い速度で行うことを忘れないでください。したがって、障害物を回避し、着陸フレア直前になったら、航空機の機首を地面に向けたり、滑走路上で失速したりしないように注意する必要があります。失速速度に近い速度で飛行しているので、出力を下げると多くの場合はさらに速度が低下し、続いて降下率が大きくなります。したがって、フレアの直前になったら、出力を少しずつ下げて、エレベータ コントロールをさらに大きく手前に引く準備をしておく必要があります。出力を下げるのが早すぎてはいけません。また、フレアをかける高度が高すぎないようにしてください。そうしないと、急激に降下してしまい、滑走路の上に着地するだけでなく “中まで” 行ってしまう可能性もあります。出力を下げてフレアをかけた結果、航空機がほとんど、あるいはまったく浮き上がらなければ、あなたのアプローチと対気速度の制御は優秀だということです。 着陸中に浮き上がってしまったら、ファイナルでの対気速度が速すぎるということです。
正しく着地できたならば、フレアの間に浮き上がることはほとんど、あるいはまったくなかったはずです。航空機の失速速度に近い速度で着地しますが、このときのピッチ姿勢は、典型的な出力オフでの失速の姿勢に似ています。着地時は、ゆっくり機首を下げてブレーキをかけ、その間ずっとエレベータを手前に引く力を強めていき、ノーズ ギアの支柱に過度の圧力がかかるのを防ぎます。目標は、航空機に損傷を与えることなく、可能な限り短い距離で停止することです。
以上が、ショート フィールド ランディングの基本的な考え方です。 もちろん、ファイナル アプローチに障害物がまったくなければ、使用可能な着陸面の最も手前に航空機を着地させることだけが目標になります。そのような着陸では、通常は障害物を回避するために急角度で降下する必要はありません。障害物がないのですから。 飛行経験を積むにつれて、障害物があるために滑走路を長くできないことも多いことがわかるでしょう。カシミアがその良い例です。したがって、滑走路が短い場合は、ファイナルに障害物があって着陸がいっそう難しくなる可能性も高いのです。
さて、このレッスンのフライトの準備ができました。楽しんできてくださいね。今学習したことを練習するには、[このレッスンを開始する] をクリックしてください。