フライト ディレクタの使用法
コース設定を簡単に
コックピット計器の進化は、操縦をより単純で容易なものにしたいと言う要求に端を発しています。飛行中のパイロットの過酷な作業が減ればそれだけフライトも安全になるからです。ここでは、フライト ディレクタと呼ばれる計器がどのようなもので、どうやってパイロットの負担を軽減するのかについて説明します。
フライト ディレクタを使う理由
フライト ディレクタの基本的役割は、パイロットに視覚的な操縦指示を示すことです。パイロットは、この視覚的な手掛かりに従って自動操縦装置に設定されている目的地まで飛行します。自動操縦を使わないとき、パイロットはフライト ディレクタを使って手動で機体を操縦します。自動操縦時には、自動操縦装置が何を行っているかがフライト ディレクタに表示されます。自動操縦装置を使用するかどうかにかかわらず、フライト ディレクタは自動操縦装置が用いるのと同じ飛行諸元を用いて作動します。
フライト ディレクタは、水平儀上に水平位置指示器 (HSI) からの指示を表示することでパイロットの負担を軽減します。HSI により、パイロットはコース、グライド スロープおよび機体姿勢に関する情報を単一の計器から得ることができます。フライト ディレクタがない場合、通常の計器スキャンのときに水平儀と航法計器も読み取る必要があります。航法計器からはコースとグライド スロープに関する情報がわかり、水平儀からはロールとピッチの変化がわかります。
フライト ディレクタは、パイロットが設定したコースを維持するのに、どれだけのバンクとピッチが必要なのかを算出します。また、HSI から得られたデータを基に、航空機のコースに対する左右のずれと、グライド スロープに対する上下のずれを算出します。この計算データは AI (水平儀) に反映され、航空機が設定されたコースを維持するための適切なピッチとバンクが表示されます。
フライト ディレクタの種類
フライト ディレクタにはさまざまな種類がありますが、どれも水平儀上に何らかの表示を行うようになっています (下の例では、逆 V の字です)。下の 3 つの画像は、フライト ディレクタが作動した状態の水平儀です。フライト ディレクタを作動させると、プログラムした飛行ルートを飛ぶための適切なピッチとバンクが、黄色またはピンク色のコマンド バーとして示されます。
フライト ディレクタを作動させる
フライト ディレクタを作動させるには、パネルまたは無線機器の [フライト ディレクタ] ボタンを押します (Flight Simulator では、マウスでボタンをクリックします)。
[フライト ディレクタ] ボタンを押すと、コマンド バーが水平儀上に現れます。
上のボンバルディア リアジェット 45 のフライト ディレクタは、作動中で針路バグは 318°にセットされています。また、垂直速度が 2,000 フィート/分 (fpm) にセットされています。水平儀上の飛行機のアイコンは、航空機が少し右に旋回していることを示しています。フライト ディレクタのピンク色のコマンド バーは、左に旋回して正しい針路をインターセプトするようにパイロットに指示しています。また、コマンド バーは、設定された垂直速度を得るのにピッチが適切であることも示しています。ピッチとバンクを適切に調整すると、フライト ディレクタは下の図のように航空機がコース上を飛行していることを示します。
自動操縦装置とフライト ディレクタ
自動操縦装置とフライト ディレクタが共に作動しているとき、フライト ディレクタには自動操縦装置が何を行っているかが表示されます。自動操縦装置が新しいコースをインターセプトしようとしているときや、風による偏位を修正しようとしている場合は、フライト ディレクタの表示がずれることがあります。
こうした点を考慮すると、フライト ディレクタが最も役に立つのは航空機を手動で操縦しているときであることがわかります。しかし、自動操縦の場合でも、フライト ディレクタは自動操縦装置によって正確にコースを飛行しているかどうかをクロスチェックする良い基準となります。
フライト ディレクタを搭載した Flight Simulator の航空機
- エアバス A321
- ビーチクラフト バロン 58
- ビーチクラフト キング エア 350
- ボーイング 737-800
- ボーイング 747-400
- ボンバルディア CRJ700
- ボンバルディア リアジェット 45
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