無線磁方位指示器 (RMI)


あいまいさを解消する

自動方向探知機 (ADF: Automatic Direction Finder) は長年にわたり多くの民間機に装備されていますが、直線飛行を続ける場合の航法の助けにはなりません。

ADF の指針は低周波無指向性無線標識施設 (NDB: Non-Directional Beacon) を直接指しますが、そこへ向かう磁方位を示してはいません。局の磁方位を知るためには、コンパス カードが固定されている ADF の場合、まず局へ向かう、あるいは局から遠ざかっていく相対方位 (機体の前後軸と NDB 局が作る角度) を確認し、次に相対方位と現在の磁方位を足します。その答えが局の磁方位です。

カードが回転する ADF であれば、カードを定針儀の機首方位の表示と一致するように回すことで、問題はある程度解消されます。これで局への磁方位はわかりますが、10 分ほど水平飛行を行うごとに、パイロットが手動で定針儀を磁気コンパスに合わせる必要があります。

RMI とは

無線磁方位指示器 (RMI: Radio Magnetic Indicator) は、ADF の欠点に対する 1 つの解決策です。RMI は、フラックス ゲート、定針儀、相対方位器指示器の 3 つから構成されています。

RMI には、このページの写真にあるように 2 本の指針を持つものと、1 本しか持たないものがあります。RMI は、VOR 航法にも、ADF 航法にも使うことができます。指針が 1 つの RMI のほとんどには、ADF 局と VOR 局のどちらに指針を向けるかを選択するためのスイッチがあります。

Flight Simulator では、すべての RMI が 2 針式で、ADF と VOR2 の情報のみを示します。針が示す無線局の種類を変更することはできません。ADF の指針は黄色、VOR の指針は緑色です。VOR 針の先は VOR 局の方位を、尾部は現在のラジアルを指します。

緑色の指針 : VOR
黄色の指針 : ADF

フラックス ゲート

フラックス ゲートは磁気北位を高感度に示す検出器です。磁気の影響を最小限にするため、機体の比較的磁気の少ない場所に取り付けられています。フラックス ゲートが常時自動的に RMI の定針儀を更新するので、コンパス カードを回したり、RMI の定針儀を磁気コンパスに合わせ直したりする必要はありません。

磁方位指示器が NDB を指しているので、現在の機首方位が局に向いているのか、離れているのかは一目瞭然です。VOR 指針の先端は局へ向かう磁針路を示し、尾端は局から離れる磁針路を指します。局に向かって飛ぶ場合も、逆に離れる場合にも、パイロットは ADF の指針が示す針路に機体を旋回させるだけでよいのです。

NDB アプローチと RMI

RMI があれば IFR にかかる負担から磁針路の計算が除かれ、NDB アプローチが簡単になります。局に向かう場合でも離れる場合でも、航空機と局の相対位置は常に明快になります。

たとえば、針路を反転するためにアウトバウンド コースを飛行しているとします。ADF の指針の尾端が RMI の真上を向いているなら、機首磁方位がファイナル アプローチの針路と逆方向だということです。ファイナル アプローチ コースは 157°、アウトバウンドの機首方位は 337°です。右へのプロシージャ ターンを行い、機首方位が 022°になると、RMI 指針の尾端は 337°を指すはずです。

プロシージャ ターンで反転を始めると、機首方位が 202°のとき RMI の指針の先端は 157°を示します。指針が左翼端に近づいたら、ファイナル アプローチ コースへ機体を旋回させます。このとき、RMI の指針がファイナル アプローチ針路の 157°を指すようにします。RMI のポインタは常に局の方位を指し、コンパス カードは現在の機首磁方位を示すという点を覚えておいてください。指針が翼より前を示している場合、局は航空機の前方にあります。同様に、指針が翼より後ろを示しているなら、局は航空機の後方にあります。

RMI と DME アーク

DME アークで飛ぶときにも、RMI は役に立ちます。ファイナル アプローチ コースを示すラジアルに到達するまで、VOR/DME 局から一定距離を維持して飛ぶことで、航空機は局を中心に弧を描くコースを進みます。

図の例は、VOR から 7 海里 (7 DME) 離れた弧で、ファイナル アプローチ コースは 109°となっています。パイロットは、常に RMI の指針が左翼端を指すようにして一連の短い直進区間を進むことで、この弧を飛行します。

DME アークの幅は 8 マイルありますが、この弧から 1 海里以内を飛ぶことを目標としましょう。

弧に接する直線コースを飛行していくと、DME 距離が増し、針が翼端の後ろへ動きます。針が翼端より 10°後ろを指したら、弧の方向に 20°旋回します。これで RMI の指針が翼端より 10°前に移動します。再び針が翼端より後ろに来るまで機首方位を維持します。この手順をファイナル アプローチ コースからインバウンドに旋回するまで繰り返します。なお、これまでに取り上げた例はすべて無風状態を想定したものです。

シンプルで簡単に扱えることから、現代の高度な航空機の多くには RMI が取り付けられています。

RMI を搭載した Flight Simulator の航空機

  • ビーチクラフト バロン
  • ビーチクラフト キング エア
  • ボーイング 747-400

関連リンク

無線機器の使用法
ADF 計器 (自動方向探知機)
VOR に関する重要点