テイルドラッガーの操縦法


機首を上げて尾部を下げる

かつては、飛行機といえばすべてテイルドラッガーでした。飛行機にはテイル スキッドか尾輪が必ず付いていたものです。首輪のある三輪式航空機よりも、テイルドラッガーの方が地上でのコントロールが難しいことは間違いありません。しかし、飛行中はほとんど違いがないので、恐れる必要はありません。ただ、テイルドラッガーの操縦は、小さなミスさえ致命的な事態になりかねないため、パイロットには磨き上げたスキルと数多くの特別なテクニックが要求されるのです。テイルドラッガーはあなたにもきっと操縦できます。さまざまな風の状況に対応できる自信を付けたり、全般的な飛行技術をレベルアップしたりしながら、旧式飛行機の乗り心地を楽しんでください。

テイルドラッガーとは

テイルドラッガーとは、主脚が重心より前にあり、操作可能な尾輪またはテイル スキッドが機体の後部を支えるタイプの飛行機です。地面に尾部を引きずっているように見えることから、”テイルドラッガー” という名前が付けられました。第二次世界大戦まではテイルドラッガーの天下でした。初期の飛行機にはこのような形態の着陸装置が圧倒的に普及したため、着陸装置付きの航空機と言えばテイルドラッガー (尾輪式航空機とも呼ばれます) を指していました。

テイルドラッガーと三輪式航空機の比較

パイパー J-3 カブ (テイルドラッガー)
セスナ スカイホーク 172SP (三輪式航空機)

テイルドラッガーと三輪式航空機の最も大きな違いは重心の位置です。テイルドラッガーの重心は主着陸装置より後ろにあるのに対し、三輪式航空機の重心は主着陸装置より前にあります。この違いは、飛行中はそれほど影響がありませんが、地上では話が変わってきます。

タキシング、離陸、および着陸時のコントロールは、テイルドラッガーよりも三輪式航空機の方が簡単です。テイルドラッガーの場合、たとえば尾輪より先に主着陸装置が勢いよく接地すると、機体がバウンドして再び浮き上がろうとする特性があります。これは、尾部が下がることで迎え角が大きくなるため、失速速度よりも速い場合には揚力が発生するためです。三輪式航空機では、これと逆のことが起こります。重心が主着陸装置の前にあるので、主着陸装置が接地すると、首輪も接地しようとします。これによって翼の迎え角が小さくなり、揚力を失います。このため、テイルドラッガーの着陸には細心の注意が必要なのです。

また、テイルドラッガーは、重量の大半が主着陸装置より後ろにあるので、地上でのコントロールや方向転換がより困難です。テイルドラッガーで急に方向転換を行うと、機体の重量の大半がかかっている尾部が機首を追い越そうとするため、制御不能に陥ることがあります。このような現象をグラウンド ループと呼びます。グラウンド ループは、パイロットに恐怖を与えるだけでなく、飛行機にも損傷を与え、最悪の場合には破損してしまうこともあります。グラウンド ループの中でも最悪のケースは、横荷重の影響で着陸装置が折れてしまったときで、その場合はプロペラや翼、胴体が地面に叩きつけられてしまいます。

また、テイルドラッガーは、機体の表面の大部分が主着陸装置より後ろにあるため、風の影響を大きく受けます。機体が風上方向に回転してしまい、タキシングが困難になりがちです。さらに、一部のテイルドラッガーではタキシング時にサイド ウィンドウを使った目視が必要となります。機首が空に向かって伸びているために視界が遮られるからです。

このようにいくつかの危険要因はありますが、それでもなおテイルドラッガーの操縦は挑戦しがいのある楽しいものです。このセクションでは、テイルドラッガーを操縦するための、そして安全に地上に戻ってくるための、ヒントやテクニックについて解説していきます。

テイルドラッガーの操縦テクニック

テイルドラッガーの操縦に特に必要なスキルのほとんどは、地上および地上付近でのものです。飛行中の操縦は三輪式航空機とほぼ同様ですが、いざ地上が絡むと、つまりタキシングや離着陸に関しては、飛行中と同等か、それ以上の機敏さとスキルを駆使して機体をコントロールできるように訓練しなければなりません。

タキシング

テイルドラッガーは、機首が空中に向かって伸びているため、前方の誘導路や滑走路の目視が困難です。そのため、パイロットはしばしばサイド ウィンドウから前方を確認することがあります。そのためには、機体の向きを変えるか、または誘導路から少しそれる必要があります。さらに、横風も常に考慮しなければなりません。

テイルドラッガーのタキシングのヒント

  • スロットルを開いてタキシングする際には、ラダーと尾輪で方向を制御します。尾輪はラダーと同様に操作します。
  • タキシングの際に方向を変えるには、ディファレンシャル ブレーキ (左ブレーキは * キー (テンキー)、右ブレーキは  キー (テンキー)) を使うのもよい方法です。たとえば、右ブレーキだけを軽くかけると、機体は右を向きます。サイド ウィンドウから前方が見えたら、単純に両方のブレーキを使って停止するか、あるいは右ブレーキを離し、スロットルを短く開いて前進してから左ブレーキをかけて、今度は左側の窓から外を見ます。
  • 双発機の場合は、エンジンの出力差を使って誘導路から少し外れる方法もあります。これは、エンジン出力に差を付けることによって機体の向きを変え、経路を少し外れて前方の誘導路を確認する方法です。
  • これらのテクニックを必要に応じて組み合わせて使いましょう。特に、横風が吹いている場合は、複数の手法を同時に使うことが必要となる場合もあります。
  • ダグラス DC-3 など一部の飛行機では、尾輪が 360°に自由に回転します。方向を制御するには、左または右のブレーキをかけます。また、DC-3 には尾輪ロックも装備されており、尾輪を直進方向に固定することができます。離陸および着陸は、尾輪をロックした状態で行います。また、地上でも、まっすぐ前方にタキシングする場合は尾輪をロックします。尾輪のロックまたはロックの解除を行うには、Shift + G キーを押します。

離陸

機体をまっすぐに保つことが最も重要な仕事です。着陸や横風対策のテクニックの多くは、離陸でも活用できます。一般的には、速度を上げていく際に、ジョイスティックをわずかに手前に引きます。これにより、尾部を下げておくことができ、風見効果を抑えたり、段差を越えるときに尾部が上がるのを防いだりできます。離陸速度に近づいたら、ジョイスティックを引く力を緩めます。尾部が上がっても、完全に地面を離れるまではラダーで方向を制御します。ジョイスティックを少し手前に引くと、飛行機は浮き上がります。最初は三点姿勢よりもわずかに低い高度まで上昇させます。それから、状況に合わせて必要な速度で上昇させます。すでに述べたように、いったん滑走路を離れれば、それ以降の操縦は三輪式航空機と同じです。

着陸

テイルドラッガーを安全に着陸させるには、スキルと判断力が必要です。鍵になるのは、着陸速度を遅くすることと、適切なピッチ姿勢を保つことです。尾輪が接地したら、ジョイスティックを引いたままにして尾部を下げ、その状態を保ちます。こうすることで、段差を越える場合に尾部が上がるのを防ぐことができます。ただし、接地時の対気速度が速すぎると、翼が揚力を生み出してしまうため、機体がバウンドして再び浮き上がろうとすることがあります。

三点着陸とは、3 つの車輪 (主着陸装置の 2 つと尾輪 1 つ) がまったく同時に滑走路に接地する美しい着陸方法です。しかし、これを実際に行うためには、練習が必要です。この着陸法では、接地時に機首上げ姿勢を取る必要があります。三輪式航空機の操縦しか経験がない人は、この姿勢に慣れる必要があります。

テイルドラッガーで三点着陸を行うときの機首上げ姿勢は、誘導路や滑走路で静止しているときの姿勢とまったく同じです。この姿勢のイメージをしっかり頭に入れてください。着陸フレアの際にこの姿勢を明確にイメージすれば、完璧な三点着陸を行うことができるはずです。

テイルドラッガーを無事に着陸させるうえで鍵となるのは、速度をできるだけ抑えることです。これは、テイルドラッガーの着陸で最も苦労する点の 1 つかもしれません。対気速度が速すぎる状態で三点着陸を行おうとしたり、接地の衝撃が強すぎたりすると、機首上げ姿勢のために迎え角が大きくなり、翼が生み出す揚力も大きくなるため、機体がバウンドして再び浮き上がろうとすることがあります。失速速度に近い場合、このバウンドは危険です。バウンドした場合は、フル スロットルにしてから、機体をゆるやかに降下させ、再び滑走路に近づけます。

三点着陸を行うには

  1. 滑走路上を水平飛行し、正しい着陸姿勢を取ります。
  2. ジョイスティックをそっと手前に引き、接地の直前にフレアをかけます。
  3. 尾部を下げた状態を保つように、ジョイスティックを引いたままにします。
  4. バウンドした場合は、フル スロットルにしてゴー アラウンドし、もう一度やり直した方がよいかもしれません (詳細については、「テイルドラッガーのバウンドからの回復」を参照してください)。

主脚着陸の場合は、水平またはそれに近い姿勢でまず主着陸装置が接地します。つまり、着陸滑走が始まったばかりの最も高速な段階では、尾部はまだ空中にあるということです。速度が下がるにつれ、尾部が下がって尾輪が接地します。主脚着陸は最初は簡単そうに聞こえるかもしれません。水平姿勢をとり、そのまま着陸して、速度を下げればよい、と思うからです。しかし実際には、それほど簡単なものではありません。

主脚着陸を行うには

  1. 主脚着陸では、対気速度よりも垂直速度に注意を払い、主着陸装置を穏やかに接地させる必要があります。軽量のテイルドラッガーでは、フレアのための引き起こしを行った後にスロットルを 100 RPM ほど開くと、垂直速度が抑えられてスムーズに着陸できます。
  2. 接地の直後に、操縦桿をわずかに向こうに押します。迎え角を小さくして機体のバウンドを防ぐためです。この操作を、主着陸装置を “滑走路に貼り付ける” と呼びます。操縦桿を少し向こうに押すことを恐れる必要はありません。大半の飛行機では、よほど大きな力を加えない限り、プロペラが滑走路と接触することはありません。
  3. 横風がある場合は、機体後部が風に押される影響で、機首が風上を向こうとします。ラダーとエルロンを使ってこれに対処します。
  4. 操縦桿を向こうに押す力を強めていき、尾部が自然に下がるのを待ちます。
  5. 尾部が接地したら、その状態を保つために、操縦桿を手前いっぱいに引きます。

注意 : 大型のテイルドラッガーの場合は、主脚着陸が無難でしょう。機体がバウンドして再度浮き上がるのは、どの飛行機にとっても危険な状況ですが、大型機では特に危険が増大します。主脚着陸なら、水平姿勢に近い状態で接地するため、迎え角が小さくなり、バウンドの可能性は低くなります。接地時には、主着陸装置のブレーキをかけることもできます。ただし、強くかけすぎて機体が転覆しないようにするテクニックが必要です。ブレーキはやさしくかけるようにしてください。テイルドラッガーの操縦経験が豊富なパイロットにとっては、飛行機を減速する有効な方法です。

主脚着陸のメリット : 水平姿勢で着陸するため、パイロットが機首前方や滑走路を見やすくなります。また、三点着陸に比べて、主脚着陸は着陸速度にあまり神経を使う必要がありません。十分に速度が下がって尾輪が接地し、方向制御が確実に行いやすくなるまでは、機体の尾部を空中に保ち、ラダーやエレベータで方向を制御します。夜間や視程が短い状況で、滑走路を見分けるのが難しい場合は、主脚着陸の方がより安全です。突風や横風の吹く状況でも、主脚着陸の方が適しています。

主脚着陸のデメリット : 主脚着陸は三点着陸に比べて速度が速いため、十分な長さの滑走路が必要です。また、尾部が空中にある状態で飛行機を操縦するスキルも必要です。着陸時のブレーキング中に操縦桿を向こうに倒しすぎると、尾部が高く上がってしまい、プロペラが地面に接触するおそれがあります。

完全失速三点着陸

三点着陸姿勢のまま出力をオフにし、かつエレベータを完全に上に向けると、ほとんどのテイルドラッガーは失速します。機体をバウンドさせないための特殊なテクニックの 1 つとして、三点着陸姿勢のまま飛行機を滑走路のすぐ上で故意に失速させる方法があります。これを完全失速三点着陸と呼びます。

完全失速三点着陸を行うには

  1. 上記の手順に沿って三点着陸の準備をします。ただし、低速を保ちます。
  2. 三点着陸姿勢のまま滑走路の真上に差しかかったら、徐々にスロットルを絞って失速に入ります。失速すると飛行機は飛ぶことを止めて、機体は滑走路に向かってわずかに (最大 1 ~ 2 フィート) 落下します。
    接地時には、低い速度と正しい着陸姿勢が保たれているので、機体がバウンドして再び浮き上がることはありません。

尾輪先行完全失速三点着陸

尾輪先行完全失速三点着陸は、上記の完全失速三点着陸のバリエーションで、あまり一般的ではありませんが、着陸時に機首を下げる動きが生じます。この着陸法はテイルドラッガーの操縦経験が豊富なパイロットだけが行うもので、通常は、頑丈なブッシュ プレーンでのみ、そして着陸滑走距離を極端に短縮しなければならない場合にのみ用いられます。この着陸法は、正しい方法で行わないと機体に損傷を与える可能性が高くなります。

尾輪先行完全失速三点着陸を行うには

  1. 機体が滑走路の上に差しかかったら、三点着陸よりわずかに機首上げ姿勢で尾輪を接地させ、それと同時に失速させます。
    失速させる前に、出力をわずかに上げて三点着陸よりもピッチ角を大きくする必要があるかもしれません。
  2. 尾輪が接地すると、飛行機は失速し、主着陸装置がわずかに落下して滑走路に接地します。バウンドして再び浮き上がるだけの速度はないので、機体は滑走路に接地したままになります。

注意 : この着陸法では、完全失速三点着陸よりも大きな迎え角が必要なので、着陸速度はさらに遅くなります。そのため、短い滑走路でよく使われます。ただし、接地の衝撃が大きすぎると、尾輪に損傷を与えるおそれがあります。また、大きな衝撃で接地すると、尾輪から主着陸装置へ、そして再び尾輪へと機体が前後にはねる可能性もあり、地上での機体制御が難しくなります。

テイルドラッガーのバウンドからの回復

ほとんどの飛行と同様、バウンドから回復する方法は条件によって異なります。条件とは、高度、対気速度、およびパイロットの決断力です。

テイルドラッガーのバウンドから回復するには

  1. 基本的には、飛行機を降下させ、着陸に向けたフレア姿勢をとり、再度着陸を試みます。
    そのためには十分な対気速度が必要です。すでに十分な対気速度がある場合は、最初に着陸を試みた際、おそらく速度が速すぎたのでしょう。
  2. バウンド時の速度が失速に近く危険な場合は、まずフル スロットルにして失速を回避します。そして、滑走路の長さが十分に残っている場合には、降下、フレア、および着陸を再び試みます。
  3. 滑走路の長さが十分に残っていない場合は、”ゴー アラウンド” (機首を上げ、出力を全開にし、フラップをゆっくりと上げる) を直ちに行い、改めて着陸をやり直します。
  4. 何より大切なのは、すばやい行動です。着陸の成否は、ほんの一瞬の判断にかかっています。

着陸法の選び方

状況に合わせて、適切な着陸法を選ぶようにします。判断の際には、飛行機の種類、滑走路の長さと表面の種類、風向、風速などの要素を考慮します。テイルドラッガーのパイロットで、常に同じ着陸法を使う人はほとんどいません。

小型のテイルドラッガーでは、主脚着陸か三点着陸のどちらかで着陸します。三点着陸では、主脚着陸よりも着陸速度が遅くなります。機種によっては、三点着陸の方が横風に対処しやすいものもあります。尾部が接地しているため、パイロットは着陸後の機体のコントロールを保つことに専念できるからです。パイロットによっては、突風や横風などの条件下では主脚着陸を好む人もいます。尾部が空中にある間、ラダーを使って風力に対抗できるからです。

大型のテイルドラッガーの場合には、主脚着陸の方が好まれます。機体が重いため、尾輪が損傷を受けたり、折れたりするおそれがあるからです。特に、接地時に機体の前後軸と進行方向がわずかにずれている場合はその危険性が高くなります。ずれから生じる横荷重のせいで、主着陸装置と尾輪を損傷する可能性があるのです。

不整地や滑走路の短い飛行場に着陸するときには、三点着陸が最適です。不整地での主脚着陸は危険を伴います。主着陸装置が引っかかって、機体が機首から地面に突っ込むおそれがあるからです。また、三点着陸の方が短い距離で着陸できる可能性が高くなります。

横風対策

飛行場には、1930 年代まで現在のような決められた滑走路というものはなく、テイルドラッガーは離着陸の方向を風向に合わせて決めることができました。しかし、現在の飛行場では、一般的に滑走場所が 1 ~ 2 本の滑走路に限定されているため、パイロットは横風着陸をマスターしなければなりません。

横風とは、飛行経路に対して角度を持って吹いている風のことです。横風がある場合は、その影響を考慮に入れて操縦します。機首を風上側に向けることにより適切な飛行コースを維持できます。これを “クラブする” と呼びます。横風状態で着陸に入る場合は、滑走路に向かうために空中でクラブ角度を取る必要があります。つまり、機首方向を滑走路の方向からずらして操縦するのです。対気速度が低いほど、コースを維持するために必要なクラブ飛行角度は大きくなります。これはなかなか難しいポイントです。なぜなら、着陸時には対気速度をできるだけ抑えたいからです。そこでラダーを使います。

滑走路の上では、すばやい方向転換が必要です。接地の準備ができたら、機首方向がまっすぐになるようにラダーを踏み込みます。また、エルロンを使用して風上側の翼が下がるように (ただし下がりすぎには注意しましょう) バンクさせ、ドリフトを防いだうえで、飛行機を滑走路に接地させます。着地後もこのラダー位置を保ちましょう。また、エルロンは風上へのバンクを取るように操作し続けます。これにより、風上側の翼が下がったままになり、機体が回転してしまう危険性を抑えることができます。尾部が接地すれば、ラダーを使わずに方向を制御できるようになります。ある程度の練習は必要ですが、テイルドラッガーの操縦を続けていくうちに、さまざまな風の状態やそれに対応する操作について、これまでよりずっと大きな注意を払うようになるはずです。

横風の中では離陸も容易ではありません。着陸と同様に、方向の制御やラダー操作に細心の注意が必要です。使用するテクニックは、基本的に着陸時と同じです。離陸滑走中は、機体をまっすぐに保つよう、風下側のラダーを使って風に対抗すると共に、反対側にわずかにエルロンを使います。要するに、スリップをしているのと同じことです。離陸の上昇時は、クラブ飛行角度に入るためにラダーを使う必要があります。これにより、まっすぐな飛行経路を描くことができます。

双発機の場合は、横風に対して別のテクニックを使うことができます。エンジンの出力差を使う方法です。これは、各エンジンの出力に差を付けることによって横風の力を打ち消す方法です。風上側のエンジンの出力を上げると、機体後部にかかる風の力を打ち消すことができるため、機体をまっすぐに保つことができます。横風着陸の詳しい情報については、ラーニング センターの [レッスン] タブの「事業用操縦士」セクションにある「単独飛行 : 横風着陸」を参照してください。

ジョイスティックまたはキーボードを使ってスロットルを開閉した場合、標準設定では両方のスロットルを一緒に操作します。混合気コントロールやプロペラ コントロールを変更する場合も同じです。マウスを使うと、エンジンを個別に制御することもできます。

エンジンを個別に制御して推力に差を付けるには

  1. 左エンジンを制御するには、E キーを押してから 1 キーを押します。
  2. 右エンジンを制御するには、E キーを押してから 2 キーを押します。 
    注意 : エンジンを 1 つ選択した場合、スロットル、混合気、およびプロペラのフェザリングのコマンドは、そのエンジンにのみ作用します。
  3. 標準設定に戻し、両方のエンジンを同時に制御するには、E キー、1 キー、2 キーを順に押します。

または、

  1. 計器パネルのスロットル、混合気、またはプロペラ コントロールのアイコンをクリックします。
  2. 任意の位置までノブをドラッグします。
  3. スロットルの両方のレバーを同時に動かすには、両方のレバーを片手でつかむように両スロットルの間の部分をドラッグします。

テイルドラッガーの長所

三輪式航空機よりも操縦が難しいテイルドラッガーで飛行する意味はどこにあるのでしょうか。いくつか挙げてみましょう。まず、着陸場所の表面によっては、三輪式航空機よりテイルドラッガーの方が扱いやすい場合があります。たとえば、不整地、荒れ地、未舗装道路、空き地などの場合で、なぜなら首輪よりも尾輪の方が、強い衝撃を受けた場合に、めり込んだりねじれたりしにくいからです。尾輪は機体後部の端にあるので、通常ここにかかる重力は首輪よりも小さくなります。加えて、車輪が小さく、緩衝装置も付いているので、強い衝撃を受けてもその影響は小さくて済みます。また、地面とプロペラの間の距離も、テイルドラッガーの方が大きくなります。

主着陸装置の強度もテイルドラッガーの方が勝っていることが少なくありません。より重い機体を支えるための強力な首輪を持つ三輪式航空機に比べて、固定脚に車輪が 2 つ付いているだけのテイルドラッガーは、飛行中の風の抵抗が小さくなります。さらに、テイルドラッガーの方が離着陸時の迎え角が大きいことから、三輪式航空機よりも短い滑走路で離着陸できます。最後に、テイルドラッガーの操縦方法を身に付けることで、整備されていない場所との戦いであった歴史的な飛行機や、同じような環境のブッシュ フライングを本当に理解することができるのです。

飛行技術の上達に役立つテイルドラッガー

要するに、テイルドラッガーを乗りこなせるようになれば、すべての航空機に応用できる飛行技術を身に付けることができるわけです。風向きや風速を読む、着陸姿勢を調整する、絶えずラダーを使うといった技術を常に磨くことになるからです。一方で、三輪式航空機に比べて、テイルドラッガーはパイロットのミスに対する許容範囲が非常に小さいことを頭に入れておく必要があります。テイルドラッガーのパイロットは、状況を認識する優れた力を持ち、状況に的確に対処するための技術を身に付けなくてはなりません。したがって、テイルドラッガーの操縦を学ぶということは、飛行機の種類に関係なく、優れたパイロットに近づくということなのです。

推薦図書 (英語)

テイルドラッガーの操縦がお好きな方には、以下の書籍をお薦めします。

『The Compleat Taildragger Pilot』 (Harvey S. Plourde 著、Harvey S. Plourde、1991 年)

『Stick and Rudder』 (Wolfgang Langewiesche 著、McGraw-Hill、1944 年)

テイルドラッガーの操縦で使用する主なキー操作

  • ラダーの使用 : ジョイスティックをひねるか、テンキーの 0 キー (左ラダー) または Enter キー (右ラダー) を押します。
  • 視点 – 上 : Shift + Enter キー
    操縦席の位置を高くし、機首前方の誘導路や滑走路がよく見えるようにするには、ShiftEnter キーを押します。リセットして視点を標準設定の位置に戻すには、BackSpaceキーを押します。
  • ディファレンシャル ブレーキ : テンキーの * キー (左ブレーキ)、テンキーの  キー (右ブレーキ)
  • パネルの表示オプションの切り替え : W キー
    計器パネルをオフにすると、前方の誘導路および滑走路が見やすくなります。計器パネルを 6 つの基本計器に切り替えるには、W キーを 1 回押します。すべての計器を非表示にするには、W キーをもう 1 回押します。計器パネルを再度表示するには、W キーをもう 1 回押します。
  • 表示ウィンドウの切り替え : S キー
    表示ウィンドウを切り替えると、テイルドラッガーのタキシングや飛行に欠かせない視界を確保するのに役立ちます。滑走路上では、2D コックピットからは計器と空しか見えません。テイルドラッガーの機首が上を向いているからです。仮想コックピットに切り替えるには、S キーを押します。仮想コックピットでは、首を左右に振っているかのように、コックピットからあらゆる方向を見渡すことができます。これは特に、前方の視界が限られている航空機でタキシングをする場合に役立ちます。視界を調整するには、ジョイスティックのハット スイッチか、または NumLock キーがオンになっている状態でテンキーの 2 キー、4 キー、6 キー、および 8キーを押します。