レッスン 4: 低速飛行
今回の講義では、まず、120 ノット出せる航空機に乗ってもらおうと思います。これは、下に見える高速道路を走っている大半の自動車の 2 倍の速さです。ただし、1 つだけお願いがあります。できるだけ低速で飛行してもらいたいのです。納得がいきませんか。これではまるで、インディ 500 レースのドライバーに、ローギア以外は使ってはいけないと言うようなものですよね。しかし、こうしてもらうには理由があります。
低速飛行の訓練は、飛行における最大のイベント、つまり着陸に向けての格好の下準備の場なのです。航空機は高速で地上を走行するようには設計されていないので、巡航速度で着陸するわけにはいきません。タイヤが燃え尽きて、外れてしまったら困るでしょう。まあこれは冗談ですが、まったくのデタラメでもありません。一般に、接地時の速度が低速であればあるほど、滑走路上で機体を制御しやすくなります。
さらに、航空機は速度が遅すぎると飛行できません。減速しすぎると航空機は落下し始めます (この状態を失速といいますが、後で学習するように、エンジンの停止とはまったく無関係です)。ですから、ここでは皆さんに低速飛行に慣れてもらい、どういう状況が危険なのかを理解していただきたいのです。また、いずれわかることですが、時には低速飛行が必要な状況もあります。前方を他の航空機が低速で飛行している場合には、その尾部に追突しないように、対気速度を調整しなければなりません。 これらは、低速飛行を練習する理由のほんの一部です。低速飛行は、重要な操縦方法です。ではまず、航空機の翼に揚力が発生するしくみから説明していきましょう。
目次
翼とその関連事項
飛行学校の訓練生だったころ、教官から “翼 (ウィング)” という単語の語源と定義を質問されたことがあります。 私は「鳥の腕という意味だと思います」と答えました。すると教官は、何やらぶつぶつ言いながら、辞書で “翼” の定義を調べました。翼とは、”飛翔用の、動かすことができる対 (つい) の外肢” と定義されていました。教官は私を見て、「だそうだけど、どう思う?」とたずねました。私は「えーと、やっぱり鳥の腕ってことだと思います」と答えました。ある意味では私の答えが正しかったわけですが、このときの私と教官は、お互いの意見は一致しない、という点で意見の一致を見たのでした。
一般に翼にはいくつかの特徴的な部分があります。それは、上面キャンバと下面キャンバ、前縁、後縁、および翼弦線です (図 4-1)。
上面キャンバ (カーブしているという意味です) は、下面キャンバよりも大きく曲がっています。偶然このような形状になったわけではありません。この形状は非常に重要なポイントであるため、これについては少し後で詳しく説明します。
唯一、名前からは直観的にどのようなものかわかりにくいのが、翼弦線でしょう。翼弦線とは、翼の前縁と後縁を結んだ仮想の直線です。翼の中に、実際にこのような直線が引かれているわけではありません。レッスン 1 の 4 つの力を示す矢印と同じように、想像上の線です。たとえば、靴屋の店員があなたの足元を指差して「つま先はここですね」と言ったら、「そりゃどうも。私も探していたんです」とつい答えたくなるものですが、この店員は、実際には見えていないつま先の位置を指しています。翼弦線は、この見えないつま先に似ています。翼面が曲がっていると、翼の向きがわかりにくくなります。エンジニアは不明確なことを好まないため、翼弦線を使用して翼の一般的な形状を表すことにしました。
翼の働き
揚力を理解するには、翼と空気が接触するようすをイメージする必要があります。航空エンジニアたちはこれを、翼が特定の角度で空気に接触する、または “迎える” と説明します。翼が空気を “迎える” のは、ちょうど猛犬がその口で郵便配達員を出迎える場合と同様です。翼のどの部分が空気を “迎える” のでしょうか。前縁でしょうか。それとも後縁でしょうか。あるいは、翼の底面でしょうか。ここで、翼弦線が役立ちます。
翼のサイズと形状は、(パイロットにもいろいろな人がいるように) さまざまな種類があるため、風が翼に当たる位置や方法を明確に定義付けることができません。そこで、翼の形状の一般的な基準として翼弦線を使用します。たとえば、「風が翼に対して 18 度の角度で吹きつける」という場合は、風と翼弦線の間の角度が 18 度である、という意味です (図 4-2)。
陳腐なたとえですが、闘牛士にとって頑丈な縫製のズボンが大切であるのと同じくらい、エンジニアにとってはこの定義付けが重要なのです。
相対風
揚力の秘密を解き明かす前にもう 1 つだけ、”相対風” という用語の定義について説明します。
航空機の動きによって、翼の上側に風が生じます。この風を相対風と呼びます。なぜ相対風と呼ぶかというと、運動の結果生じる風、つまり航空機の運動に相対する風であるためです。たとえば、図 4-3 のジョギング中の男性は、どちらを向いて走ろうと、その動きに相対する (つまり正面から吹きつける、運動と同等の強さの) 風が顔に当たるのを感じます。
このように相対風とは、航空機の動きと同じ強さで反対方向へ吹きつける、運動によって生じる風なのです。走行中の自動車の窓から手を出してみると仮定しましょう。自動車の走行という運動に対して生じる風を感じますよね。高速道路をバックで突っ走れば、風は後方から吹きつけ、ついでにクラクションの洪水も (そしておそらく警察も)、あなたのすぐ後ろから迫りくることでしょう。
図 4-4 の航空機 A のように、航空機を前方に飛行させると、相対風は機首に対して吹きつけます。
航空機が上昇または降下するときも (つまり、レッスン 2 で説明した想像上の坂を登ったり、下ったりするときも)、相対風は航空機の機首に対して吹きつけます – 図 B、C。ただし、航空機がピッチを変えずにまっすぐ落下するときは、相対風は航空機の底部に吹きつけます – 図 D。D では、水平姿勢であっても相対風は機体底部に吹きつけます。
次に説明する話は非常に大切ですので、今すぐ片方の耳の穴に指を突っ込んでください。さあ早く! これから説明する大事な話が、反対側の耳からつつ抜けてしまっては困りますからね。その忘れちゃいけない重要な原則とは、相対風は航空機の機首の向きとは関係ない、ということです。相対風は、航空機の進行方向とは逆向きに、そして航空機の運動速度と同じ強さで吹きつけます。 では次に、翼がどのように相対風と接触し、揚力が発生するかをみていきましょう。
風を捕らえる
一部の人々にとっては、狩りはスポーツです。しかし、狩りにおいて、動物は自分がこのスポーツに参加していることを知りません。 動物を仕留めるには、ハンターは武器を正確に獲物に向ける必要があります。ハンターは照準器をのぞいてねらいを定め、射線を確認します。 銃や自動車とは異なり、航空機の場合、垂直方向の上昇経路は、航空機の上向きの方向、つまり機体の傾きと一致しません。
ジェット戦闘機とは異なり、推力が限られている航空機は、より浅い角度で上昇しなければならないことに注意してください。
はい、ここでまた片方の耳をふさいでください。ここで覚えておくべき重要な原則は、機首 (および翼) が示す傾きと、実際の上昇経路とは異なるということです。翼の傾斜と上昇経路との間には、ある角度が形成されます (この理由については、すぐにわかります)。先ほど、相対風は常に運動速度と同じ強さで、飛行経路に逆らって吹きつけることは説明しましたが、より正確にいうと、翼弦線と相対風によって、ある角度が形成されるということなのです。 この角度を “迎え角” といいます (図 4-5)。
この状態を一般に、「翼の迎え角が 5 度である」と言います。航空機 B、C、および D では、それぞれ迎え角が 10 度、30 度、45 度です。翼と相対風の角度が大きいほど、迎え角の角度は大きくなります。そして、皆さんすでにお気付きでしょうが、翼の揚力は迎え角と直接関連しています。
揚力が発生するしくみ
翼は、いわば空気を切り取るナイフのようなものです。サムライの刀や空手チョップにも劣らないパワーを持ち、特別な方法で大気を切り取る精密機器といえます。翼は、大気中の分子をかき分けて進むように設計されています。大気は翼にぶつかると上下に分かれますが、水平方向の抵抗はほとんど生じません。水平方向の抵抗があると、翼の速度が低下します。この水平方向の抵抗を “抗力” といいます。抗力は少ないほど好ましいとされています。
図 4-7 に、迎え角が 10 度のとき、エアフォイルと呼ばれる独特の翼断面形に当たった風が、上下に分かれて流れるようすを示します。
翼に向かって流れる空気は、翼の前縁にぶつかると、エアフォイルの上下に分かれます。この、翼の上側を流れる空気と下側を流れる空気によって、揚力が発生します。まず、空気の流れが翼の底面にぶつかった結果発生する揚力について見ていきましょう。
衝撃による揚力と圧力による揚力
走行中の自動車の窓から手を出すと、後続車に右折の意思を示すだけでなく、比較的平らな面で揚力が生じるようすも体験できます。図 4-8 は、手にぶつかった風の向きが下向きに変わることを示しています。
この分野に詳しいアイザック ニュートン卿によれば、すべての運動には、同じ強さの反対方向への力である反作用が働きます。エアフォイルにぶつかって風の方向が下向きに変わると、上向きに (反対方向に) 翼が押し上げられます。この上向きの動きは、大気中の数十億もの分子が翼の下側にぶつかった衝突エネルギーによって発生します。また、この分子の衝突によって、翼の下側の面を押し上げる圧力が増大します。 翼は、下から押し上げられるように上へ動きます。
このような揚力は、平板に発生する揚力、または衝撃による揚力と呼ばれます。通常、平板に発生する揚力は、翼によって発生する揚力全体のごく一部です。つまり、平板に発生する揚力だけでは飛行することはできません。平板に発生する揚力だけで飛行が可能だとしたら、UFO ではなく空飛ぶ納屋の扉の目撃報告があるはずです。
これよりもさらに強力な揚力が、翼の上側を曲線状に流れる空気から発生するのです。
翼で風を曲げる
日本人は、”折り紙” という芸術を生み出しました。また、人間を折り曲げて投げとばす柔道という武術も生み出しました。しかし、この “曲げる” 芸術は、”空飛ぶ客車” と呼ばれる技術が航空会社に採用されたときに初めて完成を見たのです。
航空会社 (実際には航空機) は、もっとすごいものを折り曲げてしまいました。翼によって、風を曲げたのです。”風を曲げる” とは、航空機が空を飛ぶしくみを説明するにはあまり洗練されていない言い回しですよね。このため、洒落たギリシャ語のタイトルが付けられました。 航空力学 (エアロダイナミクス) と呼ばれるものです。簡単に言うと、翼は風を下向きに曲げ、湾曲させる精密機器と言えます。
しかし、翼の上を流れる風を曲げることで揚力を発生させるとは、どういうことなのでしょうか。それでは、このしくみについて説明しましょう。図 4-9 に、エアフォイルの断面図を示します。
エアフォイルの形状に注意してください。小さな迎え角では、翼の上側を流れる空気は、上面キャンバに沿って翼の湾曲と正確に一致した曲線で曲がります。それに比べて翼の底面は平面に近いので、翼の下を流れる空気はほとんど曲がりません。 翼の上側を流れる空気は曲がるので、下側の直線に流れる空気よりも長い距離を移動することになります。上側を流れる空気が、下側を流れる空気とほぼ同時に後縁に達する場合 (科学的にも、実験上でもこのように考えられています)、上側を流れる空気は、長い距離を移動するため速く動く必要があります。
たとえば、ボブという名前の猛犬に鎖をつけて散歩しているとします。あなたは歩道を歩き、ボブは側溝を歩いています (図 4-10)。
ボブの目の前に、車が停まっています。ボブは車の脇を歩く代わりに、車の上を乗り越えていくことにしました。なんといっても猛犬ですから、頑固者なんです。当然、ボブが車の上を歩く距離は、あなたが歩道を歩く距離よりも長くなります。鎖に引っ張られて苦しい思いをしないようにするには、ボブは少し速めに歩かなくてはなりません。
この車と、航空機の翼が似ていることに気付きましたか? 上部が曲がっており、底部が平らである点が似ています。翼の上側を流れる空気は、翼に沿って曲がり、速度が速くなるのです。
ほとんどの翼の形状は、翼の上面が曲がっており、下面が比較的平らになっています。 この翼の形状によって、迎え角が小さい場合でも、翼の湾曲面にぶつかった空気は曲がり、加速します。これにより揚力が生じ、航空機は飛ぶことができるのです。
ベルヌーイの定理と揚力
注目すべき点は、翼の上側を流れる空気が加速するということです。17 世紀の終わりごろ、スイスの物理学者ヤコブ ベルヌーイによって、面の上を流れる空気の速度が増加すると、その面にかかる圧力は減少することが発見されました。翼の上側を高速で流れる空気によって、翼の上面にかかる圧力が減少します。つまり、翼の上面にかかる圧力は、翼の底面にかかる圧力よりも小さくなります (ただし、その理由は聞かないでくださいね。これは、転移運動エネルギーに関係するのですが、これについて詳しく説明すると、頭がぼんやりとしてしまうかもしれませんので)。 これは “ベルヌーイの定理” と呼ばれています。この定理のおかげで、航空機が大型化することなく、高価なドアストッパーも不要なわけです。
迎え角と揚力の発生
旅客機に乗ったときに、離陸時に飛行可能な最低速度に達すると、パイロットは必ず機首を少し上に向けて上昇を開始することに気付いたことがありますか? これは、”引き起こし” (ローテーション) と呼ばれています。
航空機は離陸に向けて加速し、やがて機首上げ可能な速度に達します。 しかし、この程度の比較的遅い速度では、湾曲した翼の上面で飛行に必要な揚力が生じるほど流れる空気は湾曲しません。このため、バーベキューの熱い鉄板の上に飛び降りたバッタのごとく、航空機が地上から跳ねるように離陸することはありません。翼の上面で風が十分曲がるように、パイロットは機首を少し上げ、迎え角を大きくします。これにより、巧みに設計されたエアフォイルの形状よりも高い曲率の曲線で空気が流れるようになります。図 4-11 にこのようすを示します。
湾曲率が増加するため、空気の移動距離が長くなり、流れる速度が増加し、エアフォイル上面にかかる圧力は低下します。このため、遅い速度でも飛行に十分な揚力が生じます。また、翼の下面に吹きつける相対風が増加すると、衝撃による揚力も大きくなります。その結果、迎え角の角度を大きくすることにより、低速でも飛行に十分な揚力が発生します。
これで、低速の状態で必要な揚力をエアフォイルで発生させる方法がわかりました。また、低速で離陸または着陸する航空機が機首上げ姿勢になる理由についても学びました。しかし、対気速度が速い場合はどうでしょうか。巡航速度で飛行する航空機は、ほぼ水平に近い姿勢で飛行していることをご存知でしょうか?
図 4-12 に、航空機の迎え角の例をいくつか示します。
高速で飛行する航空機は、翼の形状によって十分な揚力が発生するため、小さい迎え角でも飛行できます。航空機の速度を落とした場合は、翼の迎え角を大きくして、翼の上側を流れる風を意図的に曲げる必要があります。
迎え角と揚力には密接な関係があります。巡航時のように迎え角が小さい場合、対気速度が高速であれば、巧みに設計されたエアフォイルの形状によって、飛行に十分な揚力が発生します。翼の底面は上面ほど風にさらされないので、高速 (巡航) 飛行では、翼の下側を流れる空気は揚力の発生には深くかかわっていません。
つまり、航空機は低速になればなるほど、飛行に必要な揚力を得るために迎え角を大きくする必要があるのです。ただし、過ぎたるは及ばざるがごとしです。 空気の湾曲率が高すぎると、翼の上側を空気が滑らかに流れなくなるので、空気が乱流となってしまい、揚力が発生しなくなってしまいます。この状態を “失速” といいます。失速については、後の講義で詳しく説明します。
次に、実際に空中で低速飛行を行う際の開始と終了の方法について説明します。
低速飛行の開始
巡航出力での水平直線飛行では、航空機は約 110 ノットで空中を進みます。この対気速度でのピッチは、水平儀が示すとおり 4 度の機首上げ姿勢です。この状態から低速飛行に入る方法について説明します。着陸の準備に入り、前方の航空機にぶつからないように速度を 75 ノットに減速する必要があるとします。
高度を維持しながら低速飛行に入るには
- アイドルまで出力を下げます。
経験を積むと、飛行したい速度に必要な出力設定がわかるようになるので、その値まで出力を下げます。 - 昇降計 (VSI) の針がゼロから動かないように、また、高度計の 100 フィートの針が動かないように機首を上げます。
- 航空機の減速に合わせて、少しずつ機首を上げるようにトリム調整を行い、機首上げ姿勢を維持します。水平儀には約 9 度の機首上げ姿勢が示されます。
- 目的の対気速度になったら、高度を維持するために十分な出力 (約 1,900 rpm) に上げます。
目的の対気速度を維持するように、ピッチを微調整します。 - 必要に応じて最終トリム調整を行い、目的の対気速度になるピッチ姿勢を維持します。
低速飛行に入るとき、航空機は図 4-13 のような状態になります。
低速飛行からの脱出
前方を別の航空機が飛行しており、管制官から、速度を 75 ノットから 85 ノットに上げるように指示されたとします。この操作はどのように行えばよいのでしょうか。以下のように、先ほどの低速飛行に入るときの手順を逆にたどります。
低速飛行から脱出するには
- 出力を少し上げ、2,000 rpm 程度にします。
- 昇降計 (VSI) の針がゼロから動かないように、また、高度計の 100 フィートの針が動かないように機首を下げます。
- 航空機が加速するにつれて、少し機首を下げるようにトリム調整を行い、目的のピッチ姿勢を維持できるようにします。水平儀には、約 6 度の機首上げ姿勢が示されます。
- 航空機が目的の対気速度に達したら、高度を維持するために十分な出力まで上げます。ピッチを調整し、この対気速度を維持します。
- 必要に応じて最終トリム調整を行い、目的の対気速度 (この場合は 85 ノット) になるピッチを維持します。
低速飛行を脱出するとき、航空機は図 4-14 のような状態になります。
巡航速度での高度の維持
ここまで、航空機を何とおりかの速度で飛行させる方法を学習してきました。訓練のこの段階で、高度または降下率を維持するには、スロットルを用いるのが最も良い方法であることを学びました。対気速度は、航空機のピッチを調整することによって維持します。しかし、特定の速度を維持しなくてよい場合、たとえば巡航時のような場合はどうでしょうか。巡航時には、スロットルを調整して高度を維持する必要はないのでしょうか。その必要はありません。理由は次のとおりです。
巡航時は、一般的にはエンジンにダメージを与えることのない出力にスロットルを設定します。ただしここでは、説明を簡単にするために、シミュレーションのどの状況でスロットルを全開にしても、エンジンにダメージを与えることはないものとします。巡航時は、スロットルに触るような状況はほとんどありません。巡航時には、特定の対気速度を維持する必要は特にないからです。したがって、出力は一定の状態に固定し、ピッチ姿勢の微調整を行って高度を維持、または修正します。しかし、低速飛行では出力を使用して高度を制御し、ジョイスティックなどでピッチを調節して、対気速度を制御します。 これは、普通に考えることとは逆の操作に思えるかもしれません。しかし、すぐにわかると思いますが、この方法は航空機を着陸させるときに使用してもらいたい基本的なテクニックなのです。
自分自身で
それでは、フライング レッスンで低速飛行の練習をしてみましょう。この練習の目的は、さまざまな低速飛行速度で飛行しながら、高度と針路を維持することにあります。最初は、正確な針路を飛行しながら、対気速度と高度を維持するのは、少し難しいと感じるかもしれません。そこで、これらの操作に優先順位を付けましょう。最初に、ピッチを調整して目的の対気速度にします。次に、そのピッチ姿勢を維持しながら、出力を微調整して高度を維持します。
運良く上手に低速飛行できたら、今度は低速で旋回してみてください。旋回では十分な注意が必要です。レッスン 2 で説明したように、旋回時に高度を維持するには、ピッチ姿勢を少し上げる必要があったことを思い出してください。ここでは、スロットルを使って高度を維持する方法を学習したので、旋回時の高度を維持するために、必要に応じて出力を少し上げてみてください。旋回が急なほど、大きな出力が必要になります。 低速飛行では、トリムを十分に活用します (ただし、旋回は一時的な状態であるため、旋回ではトリムは使用しないほうがよいでしょう)。トリムは、パイロットの注意が計器パネルからそれている間に、航空機が目的のピッチ姿勢からずれるのを防ぎます。そして何よりも、楽しみながら練習してください。
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