用語集
A-E
A
abeam (アビーム)
航空機に対して、左右約 90°の位置のことを指します。航空機の真横にあるものを、”アビーム” にあると言います。
accelerated stall (加速失速)
航空機の荷重倍数 (G-load) が増加する運動 (旋回や引き起こしなど) によって発生する失速のことです。 こうした運動によって荷重が増すと、一般に、翼の失速が早まりますが、失速する迎え角には影響を与えません。この角度、つまり臨界迎え角は、常に同じです。
ace (エース)
5 機以上の敵機を撃墜した軍のパイロットのことで、第一次世界大戦中のフランスにおいてトップ クラスのパイロットのことをこう呼んだのが始まりです。そのときは 10 機以上の敵機を撃墜したパイロットへの称号でしたが、後に、5 機以上の敵機を撃墜したパイロットに対して用いられるようになりました。第一次世界大戦中のドイツでは、エースのことを “カノーネ (大砲)”と呼んでいました。
active runway (使用中の滑走路)
現在、離着陸に使われている滑走路のことです。 通常、大きな空港には複数の滑走路があり、卓越風を考慮して配置されています。離着陸数が増やせるよう、平行に配置された滑走路のある空港もあります。タワー (管制塔) の機能している空港では、離着陸を迅速に処理するために特定の条件下で、交差した滑走路を使用する場合もあります。
advection (移流)
大気または大気特性が水平方向へ移動することです。 気象学では、対流の水平方向の成分を指すこともあります。
advection fog (移流霧)
湿った暖かい空気が、冷たい地面や水面の上に流れ込んで発生する霧のことです。一般的には沿岸地域で発生することが多いのですが、内陸部でも深い移流霧が発生することがあります。海の移流霧は “海霧” と呼ばれます。 移流霧は、風速 15 ノット前後までは風が強まるにつれて深くなっていきます。さらに、風が強くなると上昇して下層雲や層積雲になります。
advisory circulars (AC、助言通知)
アメリカ合衆国の FAA が発行する、正式に規定されていない情報と手順をまとめたものです。助言通知は、FAR (連邦航空規則)や AIM (航空情報マニュアル)の予備知識となる情報や、詳しく触れられていない問題に関する情報を提供します。 助言通知を出版しているのは連邦印刷局ですが、パイロット用に重要な AC を集めたコンパクト版が数多くの出版社から出版されています。AC は、2 桁または 3 桁のシリーズ番号で整理されています。00 シリーズは、一般的な問題です。10 シリーズは手順の規則、20 シリーズは航空機、70 シリーズは空域、90 シリーズはトラフィックおよび一般的な運行規則を扱っています。航空会社 (定期航空会社) に関する情報は、AC の 120 シリーズで取り上げられています。
aerobatics (曲技飛行)
バレル ロール、ループ、ハンマーヘッド ストール、スピン、キューバン エイトなどの精密な特殊飛行のことです。通常、こうしたテクニックは航空ショーや航空競技会で演じられますが、これらの多くは軍のパイロットの訓練にも組み込まれており、空中戦においても使用されます。事実、基本的な曲技飛行の多くは、第一次世界大戦中に編み出された空中戦術から発展したものです。
FAR 91.303 には曲技飛行に関する制限規定が記述されており、これによると “曲技飛行” とは、「通常の飛行では必要のない、航空機の急激な姿勢変更や、特異な姿勢、急加速を伴うあらゆる意図的な運動飛行」と定義されています。
aerodrome forecast (TAF、飛行場予報)
空港における、特定の時間 (通常 24 時間) 内の予想される気象状態を簡潔に通報するものです。TAF は、気象通報の METAR で使用されているのと同じコードを使用しています。TAF は、1 日 4 回、0000Z、0600Z、1200Z、および 1800Z に発表されます。発表される情報は、通報の種類、場所、発効時刻、有効時間、気象予報です。
aerodynamics (航空力学)
空気の運動、特に、空気と航空機の翼面などとの相互作用に関する学問です。航空力学者は航空力学を専門とする科学者および技術者で、風洞やコンピュータ モデルなどを利用して、航空機や翼面を設計、製作します。
aeronaut (気球パイロット)
飛行船や気球のパイロットまたは航法士を指します。有名な気球パイロットとしては、熱気球を発明したモンゴルフィエ兄弟、最初の飛行船の製作者であるアンリ ジファール、気球を成層圏へ飛行させたオーギュスト ピカールがいます。
Aeronautical Information Manual (AIM、航空情報マニュアル)
パイロットと航空交通管制官にとって重要な、航法援助や空港管理、航空交通管制 (ATC) の業務手順などに関する公式情報が記載されたマニュアルです。発行元は FAA (連邦航空局) で、書籍や電子媒体の形態で多くの出版社から入手できます。
aeronautical sectional chart (区分航空図、セクショナル チャート)
VFR 飛行中にパイロットが使用する地形情報や航法関連情報が掲載された、500,000 分の 1 の縮尺の航空地図です。
aeronautics (航空学)
飛行に関する学問または科学のことです。
aerospace (航空宇宙科学)
地表より上の空間における移動に関する科学技術の研究のことです。航空宇宙科学の研究対象には、大気圏内の移動だけでなく、大気圏外の宇宙空間での移動も含まれます。
Aérospatiale (アエロスパシアル社)
シュド アビアシオンとノール アビアシオンの両社の合併によって設立された、フランス国営の航空機メーカーです。 トゥールーズに本社を置き、各種のヘリコプターの生産実績があります。また、超音速ジェット旅客機、コンコルドも製造していました。
aerostat (軽航空機)
熱気球や飛行船などの、空気よりも軽い機体を持つ航空機のことです。これらの航空機は、翼面によって揚力を発生させるのではなく、主に浮力によって揚力を得ます。
afterburner (アフターバーナー、再燃焼装置)
ターボジェット エンジンの排気流に燃料を噴射する装置です。排気からの余剰酸素に噴射される燃料の燃焼により、離陸や空中戦の際に加速する動力が得られます。英国では、”リヒート (reheat)” とも呼ばれます。
AGL (対地高度)
“above ground level (地上からの高度)” の略語です。空港の気象観測や気象予報では、通常、AGL で雲高を報告します。
ailerons (エルロン)
通常両翼端近くにある可動操縦翼面のことで、飛行機のロールの動きを制御します。パイロットは操縦桿を左右に動かして、エルロンを制御します。両翼のエルロンは同時に反対方向に動きます。たとえば、パイロットが操縦桿を左に動かすと、左翼のエルロンは上がり、左翼の揚力を減らします。それと同時に、右のエルロンは下がり、右翼の揚力を増やします。この言葉は、フランス語の “aile (小さな翼)” に由来します。
air mass (気団)
気象用語で、水平方向に気温や湿度などがほぼ一様な、大きな空気のかたまりのことです。
air traffic control (ATC、航空交通管制)
タワーやアプローチ、ディパーチャー コントロール、航空路管制センター (ARTCC) など、航空交通の安全で効率的な運航を確保するためのネットワーク業務です。ATC は、計器飛行方式 (IFR) で運航している航空機の相互の間隔を維持することを主な業務としていますが、有視界飛行方式 (VFR) で運航中の航空機にもアドバイスを与えます。
ATC の機能はいくつかに分類できます。 グラウンド コントロールは、滑走路へのタキシングおよび滑走路から駐機場などへのタキシングの指示を出します。タワー、つまりローカル コントロールは、空港付近の航空機を担当し、離着陸の許可を出します。アプローチとディパーチャー コントロールは空港周辺の空域を管理し、航空路管制センターは空港間の交通を制御します。
Airbus Industrie (エアバス インダストリー社)
フランスのアエロスパシアル社、ドイツのエアバス社、イギリスのブリティッシュ アエロスペース社、スペインのカーサ社から成る航空機製造企業体です。フランスのトゥールーズに本社を置き、民間旅客機メーカーとしてはボーイングに次いで世界第 2 位です。主力航空機には、A310、A320、A321、A330、A340 などの旅客機があります。
aircraft (航空機)
空を飛ぶための機械のことです。アメリカ合衆国では、FAA によって航空機はいくつかのクラスと耐空類別に分類されています。航空機の認可におけるクラスとは、飛行機、回転翼航空機、グライダー、気球、陸上飛行機、水上飛行機などの、大まかなグループを指します。耐空類別は、使用目的や運用制限 (輸送、普通、実用、曲技、制限付、実験、限定、暫定など) に基づいて定義されます。一方、パイロットの操縦士技能証明におけるクラスとは、航空機の分類と同様の運用上の特性による分類 (単発機、双発機、陸上機、水上機、ヘリコプターなど) を意味します。また、耐空類別は、飛行機、回転翼航空機、グライダーなど、より広義な航空機の分類になっています。
Aircraft Owners and Pilots Association (AOPA)
飛行の安全性や生産性の向上、費用の適正化、娯楽性の増大に専心している世界最大の航空団体です。AOPA は米国メリーランド州フレデリックに本部を置いています。
airfoil (エアフォイル)
流動する大気との相互作用によって、揚力や推力を生み出す装置のことです。翼、プロペラ、尾翼面、ヘリコプターのローター ブレード、エルロンなどの操縦翼面、およびタービン ブレードは、すべてエアフォイルです。
airframe (機体)
『14 CFR Part 1』によれば、「航空機の胴体、尾部支材、カウリング、フェアリング、揚力発生面 (ローターは含むが、プロペラおよびエンジン内の回転翼は含まない)、および着陸装置と、関連部品および操縦装置」の総称です。
airline transport pilot certificate (ATP、定期運送用操縦士技能証明)
アメリカ合衆国では、航空運送会社 (航空会社) などの特定業務において航空機の機長を務めるには、この操縦士技能証明が必要です。ATP は、いわば “航空界の博士号 (Ph.D.)” です。ATP の資格を得るには、パイロットは 23 歳以上で、有効な第 1 種航空身体検査証明を所有している必要があります。一般に、ATP を取得するには、一定時間以上のクロスカントリー飛行、夜間飛行、計器飛行時間を含む、1,500 時間以上の飛行時間が必要です。
airship (飛行船)
エンジンを動力として飛行する、空気よりも軽い、操舵可能な航空機です。
airspace (空域)
国または当局の管轄権の下におかれている、地表上の大気部分です。アメリカ合衆国では、標準空域と非標準空域の 2 つのカテゴリに分かれています。この 2 つのカテゴリの中で、さらに管制、非管制、特殊空域、およびその他の 4 種類の空域に分類されます。 空域は、その空域を使用する空中の交通量と交通の複雑さや、およびその空域で行われる運航の種類に従って、いずれかの種類に分類されています。
airspeed (対気速度)
周囲の空気に対する航空機の相対的な速度のことです。パイロットは飛行中、数種類の対気速度を使い分けます。たとえば、IAS (indicated airspeed、指示対気速度) は、対気速度計に表示 (通常ノット単位) される速度のことです。パイロットはこれを使って航空機を操縦し、性能を制御します。CAS (calibrated airspeed、較正対気速度) は、IAS を機器と取付誤差を考慮して修正したものです。TAS (true airspeed、真対気速度) は、IAS を気温と気圧の変化を考慮して修正したものです。パイロットは TAS を使って航行上の問題を解決します。
地面に対する航空機の速度である対地速度は、TAS を向かい風や追い風の影響を考慮して修正したものです。
airspeed indicator (対気速度計)
航空機の速度計で、周囲の空気に対する飛行中の相対的な速度を表します。現在では、ほとんどの航空機にノットまたはマッハ数で表示される対気速度計が装備されています。
altimeter (高度計)
航空機の現在の高度を表示する指示器です。通常は、平均海面 (MSL) 高度を表示するように調整されています。大半の高度計は、航空機が上昇するときの大気圧の低下を測定するので “気圧高度計” と呼ばれています。したがって、高度計は、現地の大気圧に合わせて地域ごとに補正しないと、誤った値を示すことになります。
altimeter setting (高度計規正値)
地表面で高度計の値が正しくなるように、気圧高度計の目盛りを調整する値のことです。値は、インチ単位の水銀柱の高さ (Hg)、またはヘクトパスカルで表します。
altitude (高度)
基準面からの航空機の高さのことです。対地 (AGL) 高度とは、地表からの絶対高度です。平均海面 (MSL) 高度とは、海洋の潮位の平均値に相当する高さの海水面からの高度です。
altocumulus (高積雲)
中層雲の一種で、団塊状の雲が集まり、層状または波状をなしています。高積雲は白色または灰色で、一般に個々の雲塊ははっきりしていますが、はっきりしていないこともあります。雲粒は大部分が過冷却水滴から形成されています。気温が氷点下になると氷晶を含む場合があります。
altocumulus castellanus (塔状高積雲)
中層雲の一種で、高積雲の上面から塔状に突出した積雲型の雲です。城のように、水平方向よりも垂直方向に高くなる場合もあります。側面からは、特徴的な小塔状の形に見えます。この雲が現れた高度の大気は、不安定で荒れています。
altostratus (高層雲)
中高度に形成される層状の平らな雲です。高層雲の雲高は、中緯度地方では 6,500 ~ 23,000 フィート (1,980 ~ 7,000 メートル) です。
anemometer (風速計)
風速を測定する計器のことです。
aneroid barometer (アネロイド気圧計)
気圧計の一種です。薄い金属で囲んだ空間を減圧しておき、気圧による空間の変形を拡大して読み取れるようになっています。
angle of attack (AOA、迎え角)
翼と、それに向かってくる空気流 (相対風) との角度のことです。迎え角は航空機が進む方向に対するものであって、翼が水平線との間に作る角度ではありません。一般に、迎え角が増大するにつれて、翼が生み出す揚力も増大します。ただし、”臨界迎え角” と呼ばれる特定の角度に達すると、翼に向かって流れる空気は、翼面形状に追従できなくなり、乱流になります。臨海迎え角を超え、揚力が突然失われることを “失速” といいます。
angle of incidence (取り付け角)
翼またはプロペラ ブレードが、航空機の胴体またはプロペラ ハブに取り付けられている角度のことです。パイロットが取り付け角を制御することはできません。
anticyclone (高気圧、アンチサイクロン)
閉じた等圧線で囲まれた高い気圧の領域です。高気圧を上から見ると、風の動きは、北半球では右回り、南半球では左回り、赤道付近では不定となっています。
antitorque pedals (アンチトルク ペダル)
ヘリコプターのテイル ローターのピッチまたは回転速度を制御して、メイン ローターのトルクを補正するペダルです。 調和飛行を維持するために使用します。
anvil cloud (鉄床雲)
積乱雲 (雷雲) の頂部が鉄床 (かなとこ) 状に広がったものです。
approach (アプローチ)
着陸という飛行段階のうち、接地直前までの段階のことです。アプローチ中は、対気速度と飛行姿勢が安定していることが大切です。
approach attitude (アプローチ姿勢)
アプローチ中の、航空機の前後軸と水平線が作る角度です。
approach lighting system (ALS、進入灯)
滑走路への進入路を明確にするための、色分けされた、または順番に点滅するライトです。ALS は、パイロットが計器進入を終えて有視界飛行に移行するのを援助します。ALS は、夜間に有視界飛行方式 (VFR) で飛行する場合にも役立ちます。
area forecast (FA、空域予報)
アメリカ合衆国の数州を 1 エリアとする、一般的な気象状態の予報です。巡航エリア上の気象を判断し、周辺の空港では気象予報サービスが提供されない地域での気象状態を補完するために使われます。FA は、ミズーリ州カンザスシティの連邦航空気象注意報機構 (National Aviation Weather Advisory Unit、NAWAU) によって、隣接する 48 州を 6 つのエリアに分けたエリアごとに 1 日 3 回報じられます。アラスカ州、ハワイ州、およびメキシコ湾の気象情報は他の機関によって報じられます。
FA では、向こう 12 時間の詳細な気象予報に続いて、向こう 6 時間の気象要素別予報 (アラスカでは向こう 18 時間) が流れ、計 18 時間の気象予報が提供されます。FA の情報は、概況、有視界飛行 (VFR) の雲と気象、および (兆しがあれば) 雷雨、強風などを含む有視界飛行 (VFR) に重要な影響を及ぼしかねないその他の気象状態に関する情報など、いくつかの部分に分かれています。
area rule (断面積法則)
設計者が音速に近い速度で抗力を低減させるために用いる、航空工学上の原理です。 風防、尾部、翼が取り付けられる部分の胴体の断面積を減らすことにより、いわゆるコーク ボトル効果を引き起こし、抗力を劇的に減少させ、飛行機が超音速に達するのに必要な動力量を低減させます。
Aresti notation (アレスティ飛行図法)
曲技飛行競技会や航空ショーにおいてパイロットや審査員が使う “飛行絵文字” の体系です。この表記法を考案し、曲技飛行とシーケンスの辞書を作成したスペイン人の曲技飛行パイロット、ホセ ルイス アレスティにちなんで名づけられました。
artificial horizon (人工水平儀)
「attitude indicator (水平儀)」を参照してください。
aspect ratio (アスペクト比)
翼の翼長 (長さ) と翼弦 (幅) の比率です。一般に、翼のアスペクト比が高いほど効率は上がります。
atmospheric pressure (大気圧)
地球上の空気などによって加わる圧力です。大気圧は、気圧計の水銀柱の高さ (インチ) またはヘクトパスカル単位で計測します。したがって、”気圧” という用語はしばしば “大気圧”と言い換えることができます。 通常、平均海面での大気圧は 28 ~ 32 水銀柱インチで、高度が高くなると低下します。 「barometer (気圧計)」も参照してください。
attitude (姿勢)
航空機の 3 軸上での位置です。
attitude flying (姿勢飛行)
航空機の対地的な姿勢 (地面に対する向き) に基づいた飛行のことです。
attitude indicator (水平儀) (artificial horizon、人工水平儀)
地表に対する航空機のピッチ姿勢とバンク姿勢を示す計器です。”人工水平儀” ともいいます。実際の水平線が見えないときにこの計器を使います。
autorudder (オート ラダー)
Flight Simulator のオプション機能で、エルロンとラダーの動作を自動的に連動させます。特に旋回の際に、調和飛行 (バランスの取れた飛行) を維持します。オート ラダーのオン/オフを切り替えるには、[設定] メニューの [リアリティの設定] をクリックしてください。
autogyro (オートジャイロ)
エンジンを搭載した航空機で、プロペラによって機体を前進させます。機体上方に取り付けられた、自由に回転する大きな回転翼で揚力を発生させます。英語では “autogiro” と綴ることがあります。
automatic direction finder (ADF、自動方向探知機)
無指向性無線標識 (NDB) や AM ラジオ局からの信号を受信する無線航法計器です。 ADF 指示器の指針は、常に選択した無線信号がやってくる方向を指します。飛行中は、相対方位 + 磁針路 = 磁方位という方程式を使って、無線局への磁方位を判断することができます。
automatic pilot (autopilot、自動操縦)
航空機を自動的に操縦する装置のことです。自動車のクルーズ コントロールに似たコンセプトで作られています。単純な自動操縦装置では、航空機の翼を水平に維持するだけですが、より高度なものになると、離陸直後から目的地まで自動飛行し、その後、自動着陸を行うこともできます。 自動操縦はジャイロなどのセンサーを使って航空機の高度、速度、姿勢を確認し、適切な操縦装置に信号を送って、航空機の針路と高度を維持します。
automatic terminal information service (ATIS、飛行場情報放送業務)
特定の周波数で繰り返し再生される録音テープで、パイロットに現時点の気象や使用中の滑走路などの空港情報を提供します。ATIS は、タワー (管制塔) が機能している飛行場の多くで利用できます。テープは 1 時間ごと、あるいは気象や空港の情報に重大な変化が起こったときに更新されます。 各更新は、アルファベットの 1 文字で表され、それぞれの文字は ICAO (国際民間航空機関) の規定に従って発音されます。たとえば、午前 11:00 の放送は「D (デルタ)」と表し、次の更新は「E (エコー)」と表します。パイロットは、航空交通管制 (ATC) と最初にコンタクトを取る前に、ATIS を聞いて現在の情報を入手しておくことが求められます。
autorotation (オートローテーション)
ヘリコプターで、ローターにパワーが供給されない状態で行う降下です。空力的な力により、ローターは回転し続けます。
autothrottle (オートスロットル)
Flight Simulator のジェット機は、自動操縦機能に加えてオートスロットル機能を装備しており、対気速度を自動的に制御することができます。オートスロットルは自動操縦装置からは独立して動作しますが、オートスロットルの制御装置のほとんどは自動操縦の制御装置と共にモード コントロール パネル (MCP) 上に配置されています。
avgas (アブガス)
航空機に使用することが許可されている等級のガソリンです。
avionics (航空電子機器、アビオニクス)
“aviation electronics (航空電子機器)” に由来する言葉で、一般には、航空機に装備されている電子通信装置、航法装置、操縦装置を指します。
axial flow (軸流)
軸に平行に進む空気の流れのことです。軸流タービン エンジンでは、空気はまず前面に入り、空気を圧縮する一連のタービンのブレードを通ってまっすぐ進んで圧縮され、それから燃焼室に入ります。
axis indicator (目標中心点)
Flight Simulator のこの指示器は、航空機の現在の機軸方向を示し、航空機の機軸の向きを的確に知らせてくれます。目標中心点の表示/非表示を切り替えたり、目標中心点の形を変更するには、[表示] メニューの [目標中心点] でオプションを変更します。
azimuth (方位角)
ある物体に対して、固定基準方向から水平面を時計回りに計った角度です。直角を挟んで隣り合うレグ上にある 2 点は、相手との方位角が 90°であるといいます。
B
balloon (バルーニング)
ピッチ姿勢と迎え角が急増することです。バルーニングにより、低高度で失速したり、着陸の衝撃が激しくなることがあります。また、三輪式の航空機が前輪から着陸した場合に、ポーポイズ (機体が跳ね回る「イルカ」現象) を起こすことがあります。
bank (バンク)
航空機の翼の水平線に対する左右の傾斜角度のことです。この傾きは、航空機の前後軸を中心とした回転によるものです。パイロットは、エルロンを使ってバンクを制御します。航空機は、翼をバンクさせることにより、揚力に水平分力が生じて旋回します。パイロットはバンク角を度の単位で計ります。
barnstormer (巡業曲技飛行士)
地方を巡業し、曲技飛行を実演し、乗客を乗せて遊覧飛行を行うパイロットです。
barometer (気圧計)
大気の圧力を測定する計器のことです。気象観測に広く用いられているのは水銀気圧計とアネロイド気圧計です。
barometric altimeter (気圧高度計)
気圧と高度の関係を利用して、航空機が上昇または降下したときの気圧の変化を基に、高度を計測する計器です。大型航空機のほとんどは、電波高度計も備えています。電波高度計は、電波を地面に発信し、それが戻ってくるまでを計り、かかった時間を地表からの高度に変換することによって、航空機の高度を計測します。 電波高度計は、計器着陸進入時に使用すると特に有効です。
barometric pressure (気圧)
「atmospheric pressure (大気圧)」を参照してください。
base leg (ベース レグ)
標準のレフトまたはライト トラフィック パターンで、ダウンウィンド レグとファイナル アプローチ レグに対して直角の飛行レグです。滑走路進入端に対して平行になります。
bearing (方位)
ある物体から別の物体への、水平面上での方向です。たとえば、航空機から航法無線送信機への水平方向があります。
Beech, Walter (ウォルター ビーチ)
1891 ~ 1950。アメリカ合衆国の航空機メーカー経営者。1932 年にビーチと彼の妻オリーブ アンが設立したビーチ エアクラフト社は、軽飛行機の先駆的なメーカーとなりました。 会社創立前、ビーチはスワロー航空機社の営業社員兼テスト パイロットでした。機体への金属フレーム採用を会社に説得することに失敗して会社を辞めたビーチは、クライド セスナおよびロイド ステアマンと組んでトラベル エア マニュファクチャリング社を創業し、社長となりました。
Bell, Alexander Graham (アレクサンダー グラハム ベル)
1847 ~ 1922。スコットランド生まれのアメリカ人の発明家。ベルは、若いころに耳の不自由な学生を教えた経験から、通信に関心を持つようになります。1875 年には電波送信の専門家として認められる存在となっており、翌年、電話機を発明しました。そして、1892 年からは航空に関心を持ち始めます。ベルは、凧の実験を繰り返し、サミュエル ラングレーの模型飛行物体の着陸成功を写真に収めました。その後、グレン カーチスら若い飛行士のグループと Aerial Experiment Association (航空実験連盟) を組織しました。
Bernoulli, Daniel (ダニエル ベルヌーイ)
1700 ~ 1782。スイスの科学者。彼の最も重要な発見である “ベルヌーイの定理” は、運動中の流体の全エネルギーは常に一定であるというものです。流体の速度が増加すると、その圧力は低下します。速度が低下すると、その圧力が上昇します。この原理は、空気流を研究する初期の科学者にとって重要なものであり、これを適用することによって、空気よりも重い航空機を地表から離昇させる翼の設計が可能になりました。
Bernoulli’s principle (ベルヌーイの定理)
運動する流体のエネルギー全体は常に一定であることを示す物理法則です。流体の速度が増加すると、その圧力は低下します。速度が低下すると、その圧力が上昇します。この関係を利用して、翼は、曲線を描く翼上面を通過する空気を加速し、それによって圧力を減少させるように設計されています。 運動する翼上面の低い圧力と下面の高い圧力との差によって、揚力が生じます。この原理は、スイスの科学者ダニエル ベルヌーイ (1700 ~ 1782) によって初めて確立されました。揚力が生み出されるしくみについては、航空工学の技術者間で議論が続けられていますが、ベルヌーイの定理は、今なお翼面が揚力を生み出す基本的な説明とされています。
biplane (複葉機)
主翼が 2 枚ある飛行機で、通常は機体の上下に 1 枚ずつ主翼が付いています。初期の複葉機は、2 枚の主翼を支柱やワイヤで結んでいました。現代の複葉機は、主に曲技飛行に用いられています。
bleed off (ブリード オフ)
対気速度や高度を、ゆっくり、注意深く制御しながら減少させることです。
blimp (ブリンプ)
一般に葉巻のような形をした軟式飛行船です。 ブリンプの浮力とその形状は、内部のガスの圧力によって維持されます。この名前の由来については諸説がありますが、最もよく知られた説によれば、指で飛行船の表面をたたいたときの音だということです。
Boeing (ボーイング社)
1916 年にウィリアム ボーイングによって設立されたアメリカ合衆国の航空機メーカーで、今日、世界最大の事業用航空機製造企業です。ボーイング社は軍用機や宇宙船も製造していますが、707、727、737、747、757、767、777 などの 7 シリーズ ジェット旅客機でその名が知られています。
booster (ブースター)
「performance booster (パフォーマンス ブースター)」を参照してください。
buffet (バフェット)
乱気流によって引き起こされる振動で、一般に水平安定板とエレベータに影響を与えます。バフェットは、翼が臨界迎え角に近づき、翼の上面の空気の滑らかな流れが岩の上を流れる水のように乱れたときに生じます。この乱気流は飛行機の尾翼の表面に及び、パイロットが操縦中に感じる穏やかな振動を引き起こします。パイロットはバフェットの発生を、失速の兆候として捉えます。
Buys Ballot’s law (ボイス バロットの法則)
北半球で風を背にして立つと、左側がより低い気圧になっているという法則です。
C
cache (キャッシュ)
「disk cache (ディスク キャッシュ)」を参照してください。
calibrated airspeed (CAS) (較正対気速度)
指示対気速度 (IAS) の、計器の誤差と取り付け位置による誤差を修正した速度です。ピトー管と静圧口の位置、フラップ角度の設定、飛行機のピッチ姿勢が、特に飛行速度範囲の下限に近い速度で飛行している場合に、速度計の誤差に影響を与えます。フライト ハンドブックや計器盤には、パイロットが CAS を判断できるよう対応表が掲示されています。
call sign (コールサイン)
特定のフライトまたは航空機を示すときに ATC とパイロットが使用する識別コードです。コールサインは一般的に、民間機の場合は機種またはメーカーと航空機登録番号の組み合わせを使用し、定期旅客機の場合は航空会社名と便名の組み合わせを使用します。また、軍用機の場合は所属部隊とフライト番号の組み合わせを使用します。ATC との通信では、通信相手を混同しないために、必ずコールサインを伝えます。
canard (カナード)
飛行機の主翼の前に取り付けられている水平の前翼で、ピッチを制御する安定板の役目をします。 また、カナードは、通常の尾翼が発生させる下向きの力を減らすので、抗力が減少します。カナードは、飛行機の黎明期に使われましたが、今日の近代的な設計においての主要なメリットは、ディープ ストール (深い失速) を妨げることにあります。カナードは、主翼よりも先に失速して、主翼が失速する前に主翼の迎え角を下げるように設計されています。”カナード” という言葉は、尾翼が機首に付いた先尾翼機を呼ぶ際にも使われます。
canopy (キャノピー)
航空機のコックピットにかぶさった透明の覆いです。 現在のキャノピーは継ぎ目のない透明なプラスチックの素材からできています。
canted gyroscope (傾斜ジャイロスコープ)
航空機の縦軸に対して傾斜した回転軸を持つ、旋回計などの飛行計器に使われるジャイロスコープです。軸が傾斜しているため、ジャイロはバンクやヨーなどの動作に反応します。
cantilever wing (片持ち翼)
外的な支柱やワイヤの筋かいを持たずに、胴体に取り付けられている翼です。
carburetor (キャブレター)
ピストン エンジンで、燃料と空気を混合させ、シリンダ内で点火されて燃焼する、燃焼混合気を作る部分です。フィルターを通った空気は、狭くなっているベンチュリ管を通ってキャブレターに入ります。空気はベンチュリ管を通ると、その速度が増加します。すると、空気の圧力が低下するので、ニードル弁を通して燃料が引き入れられます。燃料は、霧状になって空気と混合し、その混合気は、各シリンダに均等に混合気を送るように設計された吸気マニフォルドに流入します。
carburetor icing (キャブレター アイシング、気化器着氷)
燃料の気化と、キャブレターのベンチュリ管内の圧力減少の結果、大気中の水分がキャブレターのバレルに着氷してしまうことがあります。この現象は、気温が華氏 100°(摂氏 38°) 以上の暑い日でも起こり得ますが、気温が華氏 70°(摂氏 20°) 以下で相対湿度が 80% 以上の場合に発生する可能性が高くなります。
category (aircraft) (航空機の耐空類別)
アメリカ合衆国における、航空機の証明書を発行する際の、用途や運航制限に基づいた分類です。アメリカ合衆国では、すべての航空機が特定の耐久類別の証明書を与えられます。たとえば、輸送、普通、実用、曲技、有限、制限付、暫定などがあります。操縦士技能証明の等級の類別は、飛行機、回転翼航空機、グライダーといった大まかな航空機の分類です。
ceiling (雲高)
アメリカ合衆国で、”broken” または “overcast” として報じられるときの、地表から、雲層または天空遮蔽現象の最低点までの高さのことです。雲高は、有視界飛行方式 (VFR) での飛行が可能かどうかを判断する 1 つの指標となります。アメリカ合衆国では、管制空域内での VFR 飛行は、通常、雲高が 1,000 フィート (305 m) 以上なければ行うことはできません。
ceilometer (雲高計)
雲底の高さを測定する計器です。雲に光を投射し、光電セルによってその反射を検出し、三角測量により、その高さを判断します。
cell (セル)
雷雨または積乱雲の別名です。 アメリカ合衆国では、パイロット、航空交通管制官、および気象学者は、雷雨に伴う激しい降水、電光、乱気流の地域を報告するのに、しばしばこの言葉を使用します。
center of gravity (重心)
航空機をケーブルでつり下げたと仮定したときに、航空機が水平につりあう位置のことです。飛行機の前後軸、左右軸、垂直軸の 3 つの軸が交差する点でもあり、揚力、重力、推力、抗力の飛行の 4 つの基本的な力はこの点に対して作用すると考えられます。
パイロットは、飛行機の重心が、積み荷を載せた状態で “重心エンベロープ” と呼ばれる特定の範囲に確実に収まるようにする必要があります。重心がこの範囲の外側にあると、飛行機の操縦が困難、または不可能になります。重心の位置を判断するには、飛行機の総移動量を総重量で割ります。
centerline (センターライン)
滑走路 (または誘導路) の中心に塗られたライン。これによって滑走路または誘導路が 2 つの部分に分けられます。
centrifugal flow (遠心流)
回転の中心からの外側への空気の流れです。初期のタービン エンジンは、空気を燃焼室に入れる前に、遠心流の原理を使って圧縮していました。
centrifugal force (遠心力)
物体を回転の中心から外側に遠ざけようとする力です。
Certified Flight Instructor (CFI、認定飛行教官)
各国政府の航空所轄官庁によって飛行教官の資格を与えられた個人のことです。
certified flight instructor certificate (認定飛行教官技能証明)
他の操縦士技能証明の取得志願者に訓練を行うことを許可するアメリカ合衆国の資格です。CFI (certified flight instructor、認定飛行教官) 資格を得るには、18 歳以上で、有効な第 2 種の航空身体検査証明と事業用操縦士技能証明を持っている必要があります。取得志願者は、さまざまなパイロットの資格に必要な操縦法の教育と実演を行うことのできる熟達した技術を示さなければなりません。CFI 資格は、24 か月ごとに更新する必要があります。
Cessna Aircraft Company (セスナ社)
1927 年に、クライド セスナによって創立されたアメリカ合衆国の航空機メーカーです。1928 年にセスナ “A” シリーズの生産が開始されましたが、大恐慌により、事業はほとんど足踏み状態になりました。しかしながら、民間用と軍用の T-50 “バンブー ボンバー” の成功は、戦時中のセスナ ブームを生み出し、後にセスナ社を世界一の製造台数を誇るメーカーに押し上げました。
Cessna, Clyde (クライド セスナ)
1880 ~ 1954。アメリカ合衆国の航空パイオニアで、飛行機製造者。セスナは、世界中で活躍したモアッサンの航空サーカスに影響を受けて独自の単葉機を組み立て、巡業曲技飛行士となりました。その後、トラベル エア マニュファクチャリング社においてウォルター ビーチやロイド ステアマンと一緒に働いた後、1927 年にセスナ社を設立しました。セスナは 1935 年に引退し、同社の経営権を甥のドウェイン ウォレスに譲りました。
checklist (チェックリスト)
離着陸の前や非常時に、パイロットが航空機の装置を系統的に点検し、設定するために使用する手順の一覧表です。
checkride (チェックライド)
操縦士の技能証明を発行するにあたって、国の航空管轄官庁の試験官によって実施される飛行試験のことです。
chord (翼弦)
“翼弦線 (chord line)” ともいいます。航空機の翼の前縁から後縁まで、翼断面に引かれた仮想的な線のことです。翼弦線は、迎え角を判断し、揚力を生み出す翼を分析し、揚力、重力、その他のベクトルを引く際に参照されます。
cirriform (巻状雲)
すべて、または大部分が小さい氷の結晶から成る、通常、透明で白い雲です。他の雲形態では観察されないハロー現象をしばしば起こします。巻状雲には、絹雲、巻積雲、および巻層雲などがあります。中緯度地方では、平均的な巻状雲の高度は、20,000 フィート (6,096 m) 以上の範囲です。
cirrocumulus (巻積雲)
綿の布切れに似た、さざ波のような美しい縞模様をした巻状雲です。高積雲と見分けがつかないこともあります。
cirrostratus (巻層雲)
繊維状の滑らかな白いベール状をなしている巻状雲です。巻層雲は、しばしば太陽や月にかさをかける原因になる雲で、しばしばハロー現象を起こし、完全に空を覆ってしまうことがあります。
cirrus clouds (絹雲)
高高度で発生する氷の結晶から成る、羽を広げたような雲です。 一般に絹雲は、湿気が高いときに、ジェット気流の赤道側に、薄いまばらな層として形成されます。この雲は、高層大気の風が強いことを暗示するものです。絹雲自体は航空機に危険を及ぼすものではありませんが、高層の乱気流や、発達中、または強い低気圧の接近をパイロットに警告する役目をします。
class (クラス、航空機の分類)
航空機の証明におけるクラスとは、推進力、飛行、着陸の点で似た特徴を持つ航行機の大きなグループ分けです。アメリカ合衆国では、FAA によって飛行機、回転翼機、グライダー、気球、陸上機、水上機というクラスが定められています。
また、パイロットの操縦士技能証明におけるクラスとは、同様の運用上の特性による飛行機の分類を指します (単発、多発、陸上、水上、ヘリコプターなど)。
Class A airspace (クラス A 空域)
アメリカ合衆国の、海抜 18,000 フィート (5,486 m) からフライト レベル 600 (約 60,000 フィート、18,288 m) まで広がる空域のことです。以前は、”PCA (positive control area、特別管制区)” と呼ばれていました。クラス A 空域でのあらゆる運航は、直接の航空交通管制の下、計器飛行方式 (IFR) に従って行われます。クラス A 空域は、航空図には記されていません。
Class B airspace (クラス B 空域)
アメリカ合衆国の、主要なターミナル周辺の発着量の多い空域のことです。以前は、”TCA (terminal control area、ターミナル管制区)” と呼ばれていました。クラス B 空域は、一般に、主要な空港を中心として環状に配置されています。最も内側の環は、通常、地表から 10,000 フィート (3,050 m) までです。高度が上がるにつれて、段階的に大きな環になっていきます。これは、低高度で運航する非定期航空路線の航空機が、クラス B 空域に入らずに周辺空港へ離着陸できるようにするためです。断面図が階段状になっているクラス B 空域は、逆さにしたウェディング ケーキのような形をしています。
クラス B 空域を運航するすべての航空機は、現在の気象にかかわらず、航空交通管制から許可を受ける必要があります。また、航空機は、高度を報告する機能を持ったトランスポンダを装備している必要があります。 クラス B 空域の境界は、アメリカ合衆国の航空図では青い実線で記されています。
Class C airspace (クラス C 空域)
アメリカ合衆国の、航空交通管制、レーダー アプローチ管制、および高度な IFR 運航または定期航空路線の航空機の発着が行われている空港の周囲の空域です。クラス C 空域は、一般に、主要ターミナルほど発着量が多くない、第 2 階層の空港の周囲に指定されています。また、多くの軍用空港の周りはクラス C 空域になっています。
クラス C 空域は、一般に、主要な空港を中心とした 2 つの環状に配置されています。最も内側の環は、一般に直径 5 海里で地表から 4,000 フィート (1,220 m) までです。次の環は、中心から 5 ~ 10 海里の範囲です。その高度は、空港から 1,200 フィート (365 m) ~ 4,000 フィート (1,220 m) の範囲です。また、クラス C 空域には、主要な空港から 20 海里までの管制区外空域も含まれています。
クラス C 空域を運航するすべての航空機は、現在の気象にかかわらず、航空交通管制との通信を確立する必要があります。また、航空機は、高度を報告する機能 (モード C) を持ったトランスポンダを装備している必要があります。クラス C 空域の境界は、アメリカ合衆国の航空図では赤い実線で記されています。
Class D airspace (クラス D 空域)
アメリカ合衆国の、タワー (管制塔) が機能している空港の周囲の空域です。クラス D 空域は、一般に、直径約 5 法定マイルの空港を中心とする圏で、高度は空港の地表から 2,500 フィート (762 m) の範囲です。管制空域が計器進入する範囲を含むように、クラス D 空域が広げられていることもよくあります。
クラス D 空域を運航するすべての航空機は、現在の気象にかかわらず、タワーとの通信を確立する必要があります。クラス D 空域の境界は、アメリカ合衆国の航空図では、青い破線で記されています。
Class E airspace (クラス E 空域)
一般に、アメリカ合衆国で、クラス A、B、C、D のどれにも指定されていない管制空域のことです。クラス E 空域に含まれるのは、低高度の航空路、クラス D 空域の拡張部分、通過領域、およびその他の雲高と視程が有視界飛行方式 (VFR) に必要な最低条件を満たしていない場合に航空交通管制の許可が必要とされる空域です。
クラス E 空域が始まる高度は、一般に、地表から 700 フィート (213 m) または 1,200 フィート (365 m) です。そして、他の管制空域が始まる高度まで続きます。クラス D 空域の拡張部分として指定されている場合、クラス E 空域は、地表から始まります。 クラス E 空域を運航するすべての航空機は、計器飛行方式 (IFR) のときにのみ、タワーと通信を確立する必要があります。クラス E 空域の境界は、アメリカ合衆国の航空図では、赤い破線、または薄い赤線か青線で記されています。
Class G airspace (クラス G 空域)
アメリカ合衆国の、クラス A、B、C、D、E のどれにも指定されていない空域のことです。クラス G 空域は、一般に、地表から 700 フィート (213 m) または 1,200 フィート (365 m) までの部分です。クラス G 空域の境界は、アメリカ合衆国の航空図では明示されていません。
clear ice (雨氷)
均質で、ほとんど気泡を含まない比較的透明な氷です。雨氷は、通常、積状雲の中に見られる、大きな過冷却水滴から発生します。この水滴が航空機の表面で相互に合体して凍ると、雨氷となります。雨氷は、固く、重量もあり、取り除くのが難しい、厄介な着氷です。
clear-air turbulence (CAT、晴天乱気流)
雲のないところに発生した、特に高高度での乱気流のことです。CAT は、まばらな絹雲の近くで発生した乱気流を表すのに使われることもあります。CAT はさまざまな現象に関連して生成されますが、ジェット気流によって生成されることが多く、特に冷気と暖気の温度差が激しいときに頻繁に発生します。また、等圧線のいりくんだ強い低気圧、気圧の谷、気圧の尾根、山岳波、および強力な寒気または暖気の移流が発生している地域で起こるウィンド シアによって発生する場合もあります。
climbout (クライムアウト)
離陸してから巡航を開始する高度に達するまでの飛行のことです。
cloud layer (雲のレイヤ)
Flight Simulator でユーザーが指定する天候のオプションです。雲の種類、雲の上下の高さ、視程、乱気流、着氷条件が存在するかどうかなどを指定できます。これらのオプションは、[気象の詳細設定] ダイアログ ボックスで選択します。気象台ごとに雲のレイヤを作成できます。
col (気圧の鞍部)
気象学用語で、2 つの高気圧と 2 つの低気圧の中間エリア、または谷と尾根の交差点のことです。等圧面における鞍部は、地形図における峠道と似ています。
cold front (寒冷前線)
暖気を押しのけるように進む冷気の集まりで、閉塞前線以外のものです。
collective (コレクティブ)
コレクティブ ピッチ コントロールの略。ヘリコプターの高度と出力を制御する主な操縦装置です。メイン ローター システムのすべてのブレードのピッチ角を同時に、全体的 (collective) に増減することで、発生する揚力を調整します。
COM (通信)
“communication” の略。通常、無線通信を意味します。航空機の通信機は、一般に、”COM1″、”COM2″、と名づけられています。
commercial pilot certificate (事業用操縦士技能証明)
報酬または賃金を得るために、機長として乗務することを許可するアメリカ合衆国の操縦士技能証明です。事業用操縦士技能証明の有資格者となるには、18 歳以上で、有効な第 2 種の身体検査証明書と自家用操縦士技能証明を保持していることが必要です。取得志願者は、250 時間以上の、可変ピッチ プロペラ、フラップ、および格納式着陸装置を備えた飛行機の操縦経験を有している必要があります。また、50 時間以上のクロスカントリー飛行時間を持ち、そのほかに所定の経験と知識を有している必要もあります。
compass rose (コンパス ローズ)
駐機場や誘導路に描かれた目盛りが付いた円で、航空機内の磁気コンパスの値を確認および補正するためにパイロットが利用します。
composites (複合材料)
グラス ファイバーやカーボン ファイバーをプラスチックやエポキシ樹脂を基材として成形した材料のことです。複合材料は強靭で金属よりも軽いため、近代の飛行機製造に数多く使用されるようになっています。最近のキット プレーンやエクスペリメンタル プレーンの多くは、主として複合材料で作られます。
condensation (凝結)
水蒸気が水に変化することです。
condensation trail (飛行機雲)
飛行機が冷たくて湿った雲のない大気中を飛ぶときに、その後方にできる雲に似た帯のことです。英語では “contrails” または “vapor trails” とも呼ばれています。
contrarotating propellers (二重反転プロペラ)
二重反転プロペラは、1 つのエンジンに 2 組のプロペラが前後に重ねて取り付けられたもので、それぞれが反対方向に回転します。 二重反転プロペラは、エンジンの力を効率よく利用するうえに、一方向に回転する単一の大きなプロペラによって発生するジャイロ モーメントの力と航空力学的な力を打ち消します。この原理は、1933 年にイタリアのレース用水上機マッキ MC72 カストルディに採用されました。
control yoke (操縦輪、コントロール ヨーク)
エルロンとエレベータを制御するための操縦輪 (ハンドル) のことです。ハンドルを回すとエルロンを制御できます。また、ハンドルを押したり引いたりすると、エレベータを制御し、機首を上下させることができます。操縦輪の代わりに “ジョイスティック” のような操縦桿を使う航空機もあります。
controlled airport (管制空港)
管制業務を行っているタワー (管制塔) のある空港のことです。管制空港での離着陸には許可を得る必要があり、管制空港上空、またはその周辺を飛行中は、タワーの管制官の指示に従う必要があります。 管制空港は、通常、クラス B、クラス C、クラス D の空域内に属しています。タワーの機能している空港での基本的な操縦規則は、FAR (連邦航空規則) の 91.131、91.130、および 91.129 や、AIM (Aeronautical Information Manual、航空情報マニュアル) に記載されています。
controlled airspace (管制空域)
アメリカ合衆国において、雲高または視程が低いために計器飛行方式 (IFR) によって運航する必要があるとき、航空交通管制 (ATC) の許可が必要な空域のことです。管制空域は、ICAO によって決められた基準により、いくつかのクラス (A、B、C、D、E、G) に分かれています。クラスによって、ATC との通信義務、必要な ATC の許可の指定、パイロットの資格、航空機の装備、最大運航速度、有視界飛行方式 (VFR) のための雲高と視程の最低条件などの運航規則は異なります。
convection (対流)
気象学で、垂直方向の大気の動きのことです。これにより、大気が上下に入れ代わり、混ざり合います。
convective clouds (対流雲)
垂直方向に発達する、積雲状の雲のことです。対流雲は、水平方向にはあまり動かずに上昇していく大気の流れの中で発生します。
coordinated flight (調和飛行)
航空機に働く水平の力と垂直の力とが均衡する飛行、特に旋回中の飛行のことです。旋回計の一部である傾斜計、”指針とボール” は、航空機が調和飛行の状態にあるかどうかを示します。ボールが旋回方向の内側へ移動した場合は、航空機は “スリップ” しており、旋回の割合に対してバンクの角度が急すぎることを表します。ボールが旋回の外側に移動した場合は、航空機は “スキッド” しているといい、バンクの角度に対して旋回の割合が大きすぎることを表します。 非調和飛行は、遅い対気速度での飛行中に、ラダーの使用が不十分で、高出力の設定のプロペラとエンジンによって生じたヨーを相殺できなかった場合にも起こります。
Coordinated Universal time (UTC、協定世界時)
「Greenwich Mean Time (GMT、国際標準時)」を参照してください。
coordinates (座標系)
経度、緯度という基準線の交点を度、分、および秒で表して、位置または場所を定めるために使用します。
Coriolis force (コリオリの力)
地球の自転によって生じる、方向偏差を起こす力です。 北半球では、コリオリの力は、運動する空気に対して右向きの偏向を及ぼします。南半球では、コリオリの力は、運動する空気に対して左向きの偏差を及ぼします。この力は、風向に対して直角に働き、風速に比例します。つまり、風速が強まれば、コリオリの力も増大します。高度が同じならば、風速が 2 倍になればコリオリの力も 2 倍になります。 また、コリオリの力は緯度によって変化し、赤道では 0 になり、極地では最大になります。赤道直下を除いて、この力はいたるところで風向に影響を及ぼしますが、その効果は中緯度、高緯度において最も著しく表れます。
course deviation indicator (CDI、コース偏向指示器)
全方位指示器 (OBI) 上の垂直の指針です。針路セレクタによって設定された超短波全方向式無線標識 (VOR) ラジアルからの航空機の偏向を示します。指針が中心の右側を指している場合、ラジアルは、現在の位置の右にあります。
course selector (OBS、コース セレクタ)
VOR ラジアルの選択に使用する、ノブなどのコントロールです。”全方位セレクタ (OBS: omnibearing selector)” と呼ぶこともあります。
cowling (カウリング)
航空機の機体のエンジンを覆っている、取り外し可能な部分のことです。
crab angle (クラブ飛行角度)
航空機の針路と航跡との角度です。 この角度は、横風の成分と航空機の対気速度によって決まります。横風が強いほど、あるいは対気速度が低いほど、航空機のクラブ飛行角度は大きくなります。
critical angle of attack (臨界迎え角)
翼が失速する迎え角のことです。それは、翼面の形、デザインによって決まります。航空機の対気速度や高度にかかわらず、臨界迎え角に達すると翼は失速します。最も一般的な航空機の臨界迎え角は、18 ~ 20°です。
cross country flight (クロス カントリー飛行)
1 つの飛行場から別の飛行場へ、何らかの航法を使用する必要がある長距離を移動する飛行です。
crosswind (クロスウィンド、横風)
航空機の飛行経路に対して角度を持って吹いている風のことです。地面に対して適切な飛行コースを維持するには、航空機の機首をクロスウィンドに対して一定の角度に向けて、風の影響を補正しなければなりません。
cruise speed (巡航速度)
標準の出力設定で水平直線飛行したときの航空機の平均速度です。
cumuliform (積状雲)
水平方向に広がる層状雲とは逆に、垂直方向に発達する対流雲を総称してこういいます。積状雲は、大気が不安定な状態のときに発達します。
cumulonimbus clouds (積乱雲)
大雨や雷雨、雹などをもたらす、垂直方向に伸びた濃密な雲です。ラテン語で堆積を意味する “cumulus” と、雨雲 “nimbus” に由来する言葉です。 大気が不安定なときに生成されるという積上雲の特徴を持ちます。また、積乱雲は重量で濃密な雲です。巨大な塔状をしており、頂部はしばしば鉄床 (かなとこ) や翼のように広がっています。積乱雲から、尾流雲や降水、低いちぎれ雲 (飛雲)、電光、雷鳴、雹がしばしば発生します。時には竜巻や豪雨を発生させることもあります。積乱雲は成層圏にまで達することがあります。
cumulonimbus mamma (積乱乳房雲)
雲底に小袋や、乳房のような突起を持つ積乱雲のことです。激しい乱気流が存在していることを示します。
cumulus clouds (積雲)
不安定な上昇流によって形成される、綿毛のようにふわふわし、底面が水平な雲です。 ラテン語で堆積を意味する “cumulus” に由来する言葉です。積雲は通常、密度が濃く、輪郭がはっきりしています。小山が盛り上がるような形で垂直方向に発達し、膨れ上がった上部はカリフラワーのような形になります。太陽に照らされた部分は白く輝き、雲底はほぼ水平で比較的暗く見えます。
cyclic (サイクリック)
サイクリックは、ヘリコプターのピッチ姿勢とバンク姿勢を制御します。飛行機のエレベータとエルロンを制御するヨークまたは操縦桿と同じ機能があります。対気速度を制御する主な操縦装置です。サイクリックを奥に倒すと対気速度が上がります。また、手前に引くと対気速度が下がります。
cyclone (low) (低気圧、サイクロン)
閉じた等圧線で囲まれた気圧の低い領域です。低気圧を上から見ると、風の動きは、北半球では反時計回り、南半球では時計回り、赤道付近では不定となります。 低気圧性の円運動 (cyclone) と比較的低い大気圧は、通常は共存するため、”cyclone” および “low” という言葉は、一般的には区別されずに使われます。 また、サイクロンは、しばしば荒れ模様の (時として破壊的なまでの) 気象を伴うため、よく、単に暴風雨といいます。”サイクロン” が竜巻の意味で使われることがありますが、これは誤用です。
D
datum (基準線)
重量とバランスの計算の基準として使われる、仮想的な垂直の面、または線です。特に、すべての “アーム” の測定がなされる基準となる線を表します。重心 (CG) 位置は、しばしばこの線を基準として示されます。航空機メーカーは、それぞれの航空機に対して基準線を設定します。大部分の航空機メーカーは、基準線を、エンジンと客室とを分ける防火壁、またはプロペラ スピナーの先端の位置に設定しています。
da Vinci, Leonardo (レオナルド ダ ビンチ)
1452 ~ 1519。イタリアの芸術家で科学者。深遠な知性の持ち主であり、ヨーロッパ人の物の考え方を中世から近代へ移行させた先駆者です。ダ ビンチの科学的関心は、解剖学、植物学、地理学、光学、機械学に及んでいました。彼の設計した人力飛行機は、限りなく空想に近いものでしたが、パラシュートのスケッチは、科学の法則にのっとっており、科学的に正しい概念に基づいています。
dead reckoning (de’d reckoning、推測航法)
対気速度、コース、針路、風向き、風速、対地速度、および経過時間に基づいた計算だけに頼る航法です。この言葉は、英語の “deduced reckoning (推測した航法)” に由来します。英語では “ded reckoning” と呼ばれることもあります。
deadstick (デッドスティック)
エンジンのパワーがない状態で着陸を実行することです。
decision height (DH、決心高度)
ILS (計器着陸装置) アプローチ、またはその他の精密着陸進入を行っているときに、着陸を実行するかゴー アラウンドを行うかを決心する高度です。一般的な ILS によるアプローチの場合、DH は地表から 200 フィート (60 m) です。
density altitude (密度高度)
標準気温からの偏差に基づいて修正した気圧高度です。密度高度は空気の実際の密度から計測するため、航空機の性能を計算する上で重要な要因となります。気温が標準気温よりも高い場合、密度高度は気圧高度よりも高く、気温が標準気温よりも低い場合は、密度高度は気圧高度よりも低くなります。たとえば、空港の標高が海抜 3,000 フィート (914 m) であり、高度計規正値は 29.92 水銀柱インチ (1013.2 ヘクトパスカル) であるとします。気温が華氏 90 度 (摂氏 32 度) ならば、密度高度は 5,592 フィート (1,074 m) になります。この空港から離陸する航空機の動作は、標高約 5,600 フィート (1,705 m) での動作と同じようになります。エンジンが生み出す出力はより低下し、プロペラの効率は落ち、翼が作り出す揚力は減少します。したがって飛行機は、離陸速度に達するまでに使用する滑走路の距離が長くなり、上昇率も低下します。
design maneuvering speed (設計運動飛行速度)
「maneuvering speed (Va、運動飛行速度)」を参照してください。
detonation (異常燃焼、デトネーション)
ピストン エンジンのシリンダ内で、空気/燃料の混合物が突然爆発的に燃焼することです。通常、異常燃焼 (デトネーション) は、空気/燃料の混合物が薄すぎる場合、つまり、シリンダに入る空気の重量に対して十分な燃料がない場合に起こります。異常燃焼 (デトネーション) は、ピストンなどのエンジンの構成要素に過度の負荷を及ぼします。燃料が多く供給されるように補正しないと、デトネーションによってエンジンが損傷を受け、場合によっては突然停止してしまうこともあります。
dew (露)
地表面付近の草などの物体の温度が低下し、物体と接触する空気の温度が露点以下に下がったためにそこに凝結した水のことです。
dew point (露点)
空気中の水蒸気が飽和する、つまり相対湿度が 100% に達する温度のことです。 気象予報では、通常、気温と露点が伝えられます。気温と露点の差 (露点差) が小さい場合 (摂氏では 2.8°以内、華氏では 5°以内) は、霧、雲、降水などが発生しやすいといえます。
dihedral (上反角)
飛行機の翼が機体から上方に傾斜している角度です。正面から見ると、わずかに V 字型を成しています。上反角は、飛行機の前後軸やロール軸の安定性を高めます。また、浅いバンクで飛行しているとき、翼を水平に戻す作用があります。翼が下方に傾斜している角度、下反角も同様の効果を生み出しますが、あまり一般的ではありません。
directional gyro (ディレクショナル ジャイロ)
「heading indicator (定針儀)」を参照してください。
direct user access terminal (DUAT)
米国の自動気象予報サービスです。このサービスを使うと、パイロットはパーソナル コンピュータを使用して、気象概況を受け取り、フライト プランを提出することができます。
dirigibles (動力付軽航空機)
飛行船、つまり空気よりも軽い動力付きの航空機の総称です。飛行船の気球との違いはエンジンと操舵装置があることです。ラテン語の “dirigere (to direct = 向きを変える)” に由来しています。
disk cache (ディスク キャッシュ)
情報格納領域のことです。Flight Simulator は、飛行中にすばやくアクセスできるよう、ハード ディスクのキャッシュ ディレクトリにシーナリー情報を格納します。
distance measuring equipment (DME、距離測定装置)
距離を判断してマイル単位で表示する航空電子工学機器です。DME は UHF 帯で動作し、通常、VOR 局に設置されています。航空機に設置された補助装置は、時間を記録して質問信号を地上の局に送信し、地上の局が応答信号を返します。航空機の装置は、質問信号と応答信号の時間差を距離に変換すると共に、対地速度と地上の局までの時間を導き出します。DME が表示する距離は、局からの “斜距離” (航空機の高度と地表に沿って計測されたその局からの距離とによって形成される直角三角形の斜辺の長さ) です。斜めに見た距離と航空機の局からの実際の距離との誤差は、航空機が局から 10 マイルを超える距離にあり、それほど高高度ではないときは、無視できます。
downburst (ダウンバースト)
強い下降流のことです。地表や地表近くでダウンバーストに遭遇すると翼に損害を受けます。ダウンバーストの範囲は、直径 1/2 マイル以下から 10 マイル以上に及ぶものまでさまざまです。
downdraft (下降流)
比較的小規模の下方への大気の流れのことです。空気の滑らかな流れを妨げる大きな物体の風下側、または積雲によってもたらされた降水地域などで観察されます。
downwind (ダウンウィンド)
標準のレフトまたはライト トラフィック パターンで、滑走路に平行なレグのうちの、ベース レグとファイナル アプローチ レグに旋回する前のレグです。
drag (抗力)
流体内を運動する物体の抵抗です。 航空機においては、抗力は飛行に関する 4 つの基本的な力の 1 つです。抗力は、推力と相反する力です。抗力には 2 つの種類があります。有害抗力は、摩擦によって引き起こされます。航空機の表面、アンテナ、着陸装置などの付属物はすべて有害抗力を引き起こします。有害抗力は、航空機の速度の 2 乗に比例して増加します。誘導抗力は、揚力の副産物です。翼端では、翼下面の高圧の空気が翼上面の気圧の低い部分に向かって流れます。この渦を生み出すエネルギーは、そのまま誘導抗力として作用します。誘導抗力は対気速度が低下すると増大します。
drift (ドリフト)
風によって航空機が意図した針路から外れることです。
drizzle (霧雨)
雨滴が微細な降水のことで、粒は気流にしたがって不規則に落ち、一見、浮遊しているように見えます。霧雨は、比較的まっすぐに降る雨や、滴が空中に浮遊したままの霧とは異なります。気象通報や気象予報では、霧雨を略語の DZ で表します。 アメリカ合衆国の天気図では「,」 (コンマ) で表されます。
dry adiabatic lapse rate (乾燥断熱減率)
乾いた空気が周囲との間で熱を授受することなく、大気中を上昇するときに、気圧低下による膨張が原因で気温が低下する割合です。実際には、より低い気圧へ上昇したときの空気の膨張による温度低下の作用によります。
dual (複式または同乗)
航空機内の操縦装置の組数 (たとえば 2 組)、またはパイロットが教官の監督の下に飛行している状態のことです。
dissymmetry of lift (揚力の不均衡)
ヘリコプターのメイン ローターが、ローター面全体で不均衡な揚力を発生している状態です。 この状態は、前進飛行または風の吹いた状態でのホバリングのときだけに起こり、後退側ブレードが失速したときに一番はっきりとした現象が現れます。
E
Earhart, Amelia (アメリア イアハート)
1897 ~ 1937。アメリカ合衆国のパイロットで、単独大西洋横断飛行に成功した初めての女性です。また、アメリカ合衆国無着陸横断飛行 (1932 年) を達成した最初の女性であり、ハワイからカリフォルニアまでの単独飛行 (1935 年) を達成した最初のパイロットでもあります。イアハートは、パーデュー大学の航空学顧問として、また女性による飛行の積極的な提案者として、女性による初の世界一周飛行を試みることを決断しました。1937 年に行った 2 回目の挑戦で、彼女は航法士のフレッド ヌーナンと共に太平洋上で消息を絶ちました。
EFAS (フライト ウォッチ、航路飛行気象情報サービス)
Enroute Flight Advisory Service (航路飛行気象情報サービス) の略語で、アメリカ合衆国内でフライト サービス ステーションによって提供される気象サービスです。EFAS は、気象通報と気象予報、特に、航路の気象を広範に報告し、PIREPS (pilot reports、パイロット レポート) の受け取りおよび配布を行っています。フライト ウォッチを利用するには、高度 5,000 ~ 17,500 フィート (1,500 ~ 5,000 m) では米国全土で周波数 122.0 を使用し、高高度の空域では、飛行する地域によって異なる周波数を使用します。
effective translational lift (ETL、有効前進揚力)
空気がヘリコプターのブレードを水平に横切ると、同じ出力設定でもローターはより大きな揚力を発生します。 この効果は、前進時や弱い風の中でホバリングしているときに起こります。たとえば、20 ノットで飛行するときは必要な揚力を得るのに最大出力の 90% が必要でも、45 ノットで飛行するときは 80% で必要な揚力を得られる場合があります。
electronic flight instrument system (EFIS、電子飛行計器装置)
多くの近代のフライト デッキにみられる電気式、機械式の計器に代わって採用されたコンピュータ制御の操縦席の計器類と表示装置です。EFIS は、基本的な飛行情報、エンジン状態、地図、チェックリストなどを表示できます。
elevator (エレベータ)
飛行機の尾部、尾翼の水平安定板に取り付けてある、可動操縦翼面です。エレベータという名前から、それによって飛行機の上昇や降下が行われるように思われますが、実際には、飛行機のピッチ姿勢、つまり水平線に対する機首の角度の上下だけを制御します。操縦輪や操縦桿を向こうに倒してエレベータを動かすと、ピッチ姿勢が下向きになり、手前に引くと、ピッチ姿勢が上向きになります。飛行機によっては、水平安定板全体が動く場合もあります。この形式は、”スタビレータ”、または “フライング テイル” と呼ぶこともあります。
elevator trim (エレベータ トリム)
「trim (トリム)」を参照してください。
empennage (尾部)
飛行機の機体後部を構成するものです。尾部には、通常、フィン (垂直安定板)、ラダー、水平安定板、エレベータが含まれます。
Experimental Aircraft Association (EAA、自作航空機連盟)
世界最大の航空組織の 1 つである EAA は、1953 年に、ポール ポベレズヌイをはじめとする数名の航空ファンによって、航空機を自作する人々のためのクラブとして設立されました。同じ年の最初のフライインには、約 40 人が参加しました。今日、EAA の会員は、世界全体で 150,000 人を超え、オシコシで開かれるフライインには毎年 800,000 人以上の人々が参加しており、自分で航空機を作る人、クラシック機やアンティーク機を復元する人、そして軍用機ファンが参加しています。
Extended Range Twin-Engine Operations (ETOPS、イートップス)
FAA により航空会社に与えられる、双発エンジン航空機での洋上長距離運航許可です。
F-J
F
fast file (ファスト ファイル)
フライト サービス ステーションの電話システムの機能の 1 つで、パイロットは IFR フライト プランをボイスメールに録音します。担当係官が後からそれを聞いて処理、提出します。
feather (フェザー)
プロペラのブレードを、航空機の機体と平行になるまで回転させる操作です。エンジンが故障した場合、気流を受けて回転するプロペラは大きな抗力を発生してしまい、航空機の操縦性に重大な悪影響を及ぼします。フェザリングにより、プロペラにかかる空力的な力が減ることでプロペラの回転が止まり、抗力も減ります。プロペラのフェザリングは、コックピット内のプロペラ レバーをフェザリングの位置に動かして行います。
Federal Aviation Administration (FAA、連邦航空局)
航空に関する取り締まりと振興を担当するアメリカ合衆国連邦政府の機関のことです。FAA は、パイロット、航空機、空港、空域を規制、認証しています。また、航空交通管制システムを管理し、定期航空会社、飛行学校と教官、整備士と整備施設を管理、検査しています。FAA は、1958 年に、CAA (Civil Aeronautics Authority、民間航空委員会) に代わる機関として創設されました。1966 年までは、連邦航空機関 (Federal Aviation Agency) の名前で業務を行い、1966 年から運輸省内の組織となり、連邦航空局と名称を変更しました。
Federal Aviation Regulations (FAR、連邦航空規則)
アメリカ合衆国の連邦規則のうち、パイロット、飛行学校と教官、整備士と整備施設、航空機、航空航法、空域、航空交通管制、およびその他の航空機や航空事業にかかわる活動の認証、規制に関する部分です。パイロットは、さまざまな FAR を熟知し、厳守する必要があります。 FAR のうち日常の運航において最も重要なのは、「Part 1:定義と略語」、「Part 61:パイロットおよび飛行教官の技能証明」、および「Part 91: 一般的な操縦と飛行規則」です。そのほかには、事業運航と定期航空路線の運航、飛行学校認定、危険物資の輸送、航空機の分類証明上の定義、事故報告の手順にかかわるものがあります。
final (ファイナル)
標準トラフィック パターンの、滑走路延長線上の接地前のレグです。ファイナル アプローチ レグの長さは、ほかに飛行している航空機が少ない状況で小型機が着陸する場合はそれほど長くありませんが、ほかに飛行している航空機が多い場合や大型機の場合は滑走路進入端から数マイルにもなります。
fix (定点)
1 か所以上の航法援助施設からの信号によって決まる空間の基準点です。
fixed-base operator (FBO、フィックスト ベース オペレータ)
空港において、燃料の販売、航空機の販売やレンタル、場合によっては飛行訓練を行う人や組織です。
fixed gear (固定式着陸装置)
引き込むことができない着陸装置です。
flaps (フラップ)
飛行機の翼の、一般には後縁に、ヒンジ (蝶番: ちょうつがい) などで取り付けられた部分のことです。離着陸の際に下方に折り曲げて、翼の揚力と抗力を増大させることができます。フラップを少し下げると、翼のキャンバ (反り) が増加するので、揚力が増加します。フラップは、空気の流れを阻害するので、抗力も増加させます。このため、速度を増加させずに飛行機をより深い角度で降下させることができます。 現代の飛行機は数種類のフラップを使用しています。最も一般的なフラップの設計は、単純フラップ (plain)、スプリット フラップ (split)、およびファウラ フラップ (fowler) です。フラップは、しばしばエルロンと混同されますが、飛行機の主操縦翼面ではありません。
flare (フレア)
着陸の前に、水平飛行に移り、滑走路のわずか上で、正しい着地姿勢を確立することです。パイロットは、操縦桿または操縦輪を手前に引いて、航空機の機首を上げます。フレアが適切に行われると、機首を下げた降下姿勢から、ほとんど航空機の降下が止まり、機首を上げた姿勢へ、滑らかで連続的に移行することができます。
flight level (FL、フライト レベル)
高度 18,000 フィート以上の上空を飛行する航空機に用いられる高度の単位です。フライト レベルは、気圧高度を 100 フィート単位で示す 3 桁の数字で表します。 たとえば、高度 35,000 フィートで飛行している航空機は FL350 で飛行しているといいます。
flight path (飛行経路)
航空機の飛行コースを地表面に投影した航跡です。
flight plan (フライト プラン、飛行計画)
口頭または書面で航空交通管制に提出した、飛行に関する詳細な情報です。
flight school (フライト スクール、飛行学校)
飛行訓練を実施している機関です。
Flight Service Station (FSS、フライト サービス ステーション)
パイロットに対してさまざまなサービスを提供するアメリカ合衆国政府の施設です。FSS 職員は、気象観測を行い、パイロットに指示を与え、フライト プランを調整し、遭難した航空機を援助します。FSS のネットワークはアメリカ合衆国全土に広がり、各州に 1 つ以上のステーションがあります。一般に、各 FSS は、一定の大きな地理的領域に対する責任を持っています。FSS の専門家は、遠隔送受信機のネットワークをとおしてパイロットと通信を行います。また、航空交通管制施設や捜索救出組織との直通電話とコンピュータ ネットワークも持っています。
fly-by-wire controls (フライ バイ ワイヤ コントロール)
操縦席内の操縦装置と航空機の操縦翼面との間に物理的な連結がない、電子的な飛行制御システムのことです。コンピュータが操縦装置の動きを察知し、それを解釈して信号を送り、ラダー、エルロン、エレベータを動かします。フライ バイ ワイヤ システムが最初に採用されたのは戦闘機で、これによって航空機の機動性が高まると同時に、航空機の設計上の限界を超えるような操縦ができないようになりました。今日では、ボーイング 777 やエアバスの一部機種のような大型の旅客機にもフライ バイ ワイヤ システムが搭載されています。
fractus (片雲)
不規則なちぎれたような雲です。ちぎれたときのギザギザがはっきり見られます。明瞭にばらばらになっています。この言葉は、片積雲 (cumulus fractus) や片層雲 (stratus fractus) など、積雲と層雲の種類についてのみ適用されます。
frame rate (フレーム レート)
コンピュータの画面に表示する画像の、連続するフレームを表示する速度。映画フィルムのコマが映写機の光源の前を通過する速度と同じようなものです。
freezing level (凍結高度)
気温が摂氏 0°(華氏 32°) を示す高度のことです。
front (前線)
2 つの異なる気団が接する境界のことです。より正確には、密度が違う 2 つの気団が接する不連続な面、境界、移行帯のことを指します。
frontal zone (前線帯)
密度の変化が急な前線またはその帯状の部分のことです。前線帯は、気象要素が急速に推移する領域を示す言葉として使われます。
frontogenesis (前線発生)
前線または前線帯が新たに発生することです。
frontolysis (前線消滅)
既存の前線が消滅することです。
fuel injection system (燃料噴射システム)
多くのピストン エンジンにおいて使用されている、制御器、ポンプ、ノズルなどの、燃料をシリンダに供給するための部品一式のことです。燃料を直接シリンダに噴射するもの、または燃料と空気を混合させる吸気バルブの直前に噴射するものがあります。燃料噴射システムは、高圧ポンプや、空気/燃料コントロール装置、燃料分配器、および各シリンダの発射ノズルを必要とするため、一般にキャブレターよりも高価になります。しかし、燃料噴射エンジンはキャブレターよりも効率がよいため、燃料噴射は多くの大型ピストン エンジンにおいて使用されています。
fully articulated (全関節型)
現代のヘリコプターで使われている 3 つのローター システムのうちの 1 つです。全関節型システムでは、3 枚以上のメイン ローター ブレードが、別々にフラップ (上下に移動) して、揚力の不均衡を打ち消します。全関節型ローター システムは、半関節型ローターよりも製造や整備のコストがかかりますが、低 G 条件やマスト振動の影響を受けにくくなっています。 ただし、地表共振の影響は大きくなります。
fuselage (胴体)
乗務員と乗客、または貨物を収容する飛行機の本体部分です。紡錘 (ぼうすい) 型を意味するフランス語、”fuselé” に由来します。
G
G (重力荷重倍数)
航空機の飛行中に働く荷重倍数、つまり体感される重力を計る単位です。1G は静止時の物体にかかる重力を表します。航空機が上昇したり、旋回したり、加速したりすると、正の G が働きます。また、降下したり減速したりすると、負の G が働きます。
game pad (ゲーム パッド)
ゲーム コントローラとして使用する装置で、手に持つことができる本体にボタンがいくつか付いています。ジョイスティックとは違い、方向制御には親指で操作する方向パッドを使用します。
general aviation (GA、ジェネラルアビエーション)
米国で、軍や定期運行航空会社以外の用途で行う飛行全般を指す語です。訓練飛行、チャーター便の飛行、娯楽またはビジネス目的の飛行などが当てはまります。軍や定期運行航空会社によって使用される以外の航空機のグループを指す場合もあります。ジェネラルアビエーションは、GA と略される場合もあります。
G force (G 力)
「G (重力荷重倍数)」を参照してください。
glass cockpit (グラス コックピット)
従来のコックピット計器を、コンピュータによって制御される CRT または液晶ディスプレイに置き換えたものです。多数の計器が表示装置に統合され、パイロットは “ページ” をめくって航法システムや航空機システムについてのさまざまな情報にアクセスすることができます。
glide ratio (滑空比)
単位あたりの降下高度と水平飛行距離の比率のことです。たとえば、滑空比が 60:1 の高性能グライダー (セールプレーン) は、1 m 降下するごとに、60 m 前進します。 典型的な単発機の滑空比は 10:1 です。
glide path (グライド パス)
ILS で制御されて降下する航空機の垂直方向の経路のことです。
glider (グライダー)
「sailplane (高性能グライダー、セールプレーン)」を参照してください。
glide slope (グライド スロープ)
計器着陸装置 (ILS) の一部として示される、電子的な進入路のことです。グライド スロープ送信機は、滑走路の端近くに設置されており、航空機が滑走路への適切な降下の経路をとるように無線信号を送ります。グライド スロープの角度は、通常は水平線に対して 3°に設定されています。
Global Positioning System (GPS、全世界測位システム)
組織的に配置された人工衛星から、地上、空中、または海上の受信者に信号が送信されます。3 つ以上の信号を受信して計算することで、地球上の受信者の位置を非常に正確に測定できます。通常は、50 m 以内の誤差で位置がわかります。
go-around (ゴー アラウンド)
ATC からの指示の 1 つ。着陸に向けてのアプローチを中止させること。
Greenwich Mean Time (GMT、国際標準時)
基準経度つまり経度 0°上に位置するグリニッジ天文台の現地時間のことです。現在、この時間は公式には UTC (Coordinated Universal Time、協定世界時) と呼ばれており、航法における標準時として、出発予定時間や到着予定時間、気象観測や気象予報、航空管制機能などに使用されます。UTC はグリニッジ標準時とも呼ばれ、24 時間形式で表示されます。たとえば、午後 6 時は 1800 と表します。
ground clearance (グラウンド クリアランス)
航空の世界では、一般的に、航空機のプロペラ ブレードの先端から地面までの距離を指します。
ground effect (地面効果)
航空機が地表近くを飛行するときに誘導抗力が減少することです。この効果は、通常の翼の下から翼の上の低圧領域への空気の流れに地表面が干渉して生じます。地面効果が最大になるのは、機体の高さが地表から翼幅の 1.5 倍以下のときです。地面効果を受けると、失速速度が通常よりも低くなります。パイロットは、地面効果を利用して、表面の柔らかい、あるいは短い滑走路から、最短距離の滑走で離陸することができますが、地表から上昇しようとする前に通常の飛行速度へ加速しなければなりません。
ground fog (地上霧)
アメリカ合衆国で、空を覆う範囲が 6 割未満で上空の雲の雲底には達していない霧のことを指します。
ground loop (グラウンド ループ)
行きすぎて、操縦不能になった、危険な地上旋回のことです。通常は、着陸後、または地上滑走中の旋回の際に生じます。グラウンド ループは、しばしば 90°以上の旋回を起こし、片方の翼が地面にぶつかる結果を招くことがよくあります。 テイルドラッガー (尾輪式の飛行機) は、こうした操縦不能を起こしやすい傾向があります。これは、この種の飛行機においては重心が主着陸装置の後ろにあるためです。
ground school (グラウンド スクール)
パイロットの訓練のうち、地上の教室で行われる講義です。
ground speed (対地速度)
地面に対する航空機の速度で、航空機の真対気速度を向かい風や追い風の影響を考慮して修正した速度です。たとえば、航空機が 15 ノットの向かい風で、120 ノットで飛行している場合、対地速度は 105 ノットになります。
gust (ガスト、突風)
風がわずかの間平均風速から急激に増加することです。気象通報と気象予報で突風を示すときは、”G” の後に最大風速を表す 2 桁または 3 桁の数字と単位 (通常はノット (KT)) を付けます。 たとえば、”G25KT” は最大風速 25 ノットの突風を表します。
gyro (ジャイロ)
リングの中に据え付けられた、自由に回るコマを持つ計器です。ジャイロは、水平儀、定針儀、および旋回計に使用されます。航空機がバンク、上昇、急降下したときでも、回るジャイロはその方向を維持するので、雲の中や視界が悪い状況での飛行中に、動かない基準線を提供し、パイロットの操縦を助けることができます。
gyroplane (ジャイロプレーン)
通常の飛行では、空気力で回転するメイン ローターによって揚力を発生する、回転翼式航空機の一種です。
gyroscopic precession (ジャイロの摂動)
回転するコマに力が作用したときのジャイロの反作用のことです。ジャイロに力が作用すると、この機器は実際の作用点から 90°の点に、回転方向への力が作用したかのような反応を示します。ジャイロの摂動は、ジャイロのように作用するプロペラや、ジャイロ計器に表れます。ジャイロの摂動は、時間と共に定針儀が指す針路がずれていくことに最も顕著に表れます。
H
hail (雹)
氷の小塊による降水のことで、雷雨発生時などに起こります。 過冷却水滴が凍り始めることによって、雹 (ひょう) が発生します。雹粒は、水滴の 1 つが凍り、別の水滴がそれに付着してまた凍るというようにして大きくなります。時には、巨大な氷の球にまで発達することがあります。上空で発生した雹粒は、暖気の層を通って溶けてしまい、地表で雨になる場合もあります。ただし、地表では雨でも上空で雹になっていないとは限りません。特に発達した積乱雲の鉄床 (かなとこ) の下では、雷雨を伴う雹の可能性を考慮しておく必要があります。気象通報や気象予報では、雹をフランス語の “grêle” に由来する略語 “GR” で表します。
heading (針路)
航空機が向いている方向のことです。通常、磁北からの角度で示します。飛行中の航空機は風によって押し流されるため、針路は、必ずしも地表上の航路、つまり航跡には一致しません。たとえば、地表に対して真東に飛行したいとき、風が北から吹いている場合、ドリフトを補正するために、わずかに風上の方に機首を向ける必要があります。
heading indicator (定針儀)
航空機の針路の変化をすばやく正確に示すジャイロ計器のことで、”DG (directional gyro、定針儀)” ともいいます。定針儀はジャイロで動作するため、針路や旋回を滑らかに、かつ正確に表示することができます。これに対して、コンパスは加速、減速、急降下やその他の誤差の影響を受けるため、しばしば振動したり、旋回に先行したり、遅れたりすることがあります。 ただし、ジャイロはジャイロの摂動の影響を受けるため、パイロットは、定針儀がコンパスによって電子的に補正される場合を除いて、定針儀がコンパスに一致するように定期的にリセットする必要があります。
headwind (向かい風)
予定している飛行コースに正対して吹いてくる風です。
hectopascal (hPa、ヘクトパスカル)
国際的に使用されている圧力の単位で、1,000 ダイン/cm2 に相当します。気圧を報告するときに便利な単位です。
high (高気圧圏)
気圧が高い領域です。アンチサイクロンとも呼ばれます。
high-performance airplane (高性能飛行機)
FAR 61.31 (e) で定義されている、200 馬力を超える飛行機や、着陸装置、フラップ、および可変ピッチ プロペラを持った飛行機のことです。自家用操縦士や事業用操縦士は、こうした飛行機を操縦する技能があると飛行教官によって認められない限り、高性能飛行機の機長として乗務することはできません。
holding pattern (ホールディング パターン)
無線航法上の基準点を用いて行う楕円形の飛行パターンのことです。ホールディング パターンは、離発着のピーク時に、航空機どうしの間隔を空けるために ATC によって指定されます。
hood (フード)
視界を覆う装置で、計器飛行を習ったり、訓練中のパイロットが着用します。フードは、パイロットの視界の上部を覆います。フードを着用するパイロットには、セーフティ パイロットまたは教官が同伴する必要があります。
horizontal situation indicator (HSI、水平位置指示器)
定針儀と VOR インジケータを 1 つのディスプレイに組み合わせたものです。
horizontal stabilizer (水平安定板)
尾部、または尾翼の水平面です。水平安定板は、尾部に下方向の力を発生させて、翼が作り出す上方向の力とつりあいを取る翼面です。また、飛行機のピッチ姿勢を調整するのに使う操縦翼面、エレベータも組み込まれています。飛行機によっては、水平安定板全体がエレベータとして機能するものもあります。
horsepower (馬力)
1 分あたり 745.7 ワットまたは 33,000 フィートポンドに等しい力の単位です。1 頭の馬が引く力です。
hypersonic (極超音速)
マッハ 5 (音速の 5 倍) 以上の速度です。
hypoxia (低酸素症)
人体組織に達する酸素が不足する状態のことです。無酸素症と呼ばれる完全な酸素の欠如状態は、生命に危険を及ぼします。高高度での低酸素症は、特にその前兆となる症状がさまざまで認識しにくいことがあるため、きわめて危険です。一般に、10,000 フィート (3,048 m) 以上の高度を飛行するには、機内の与圧や酸素設備が必要です。
I
IFR en route charts (IFR エンルート チャート)
航法援助施設、航路、および制限飛行区域が記載された航法図です。計器飛行の際にパイロットがナビゲーションに使用します。
Immelmann (インメルマン)
この技は、飛行機が高度を上げながら飛行の方向を反転させる曲技飛行で、第一次世界大戦のエース、マックス インメルマン (Max Immelmann) によって編み出されたとされています。操縦は、ハーフ ループから始まります。ループの一番上で、パイロットは飛行機をロールさせて上向きに戻します。現代の曲技飛行競技では、インメルマンは、”ハーフ ループ、ハーフ ロール” と呼ばれています。
Max Immelmann (マックス インメルマン)
1890 ~ 1916。ドイツの最初の偉大な戦闘機パイロットの 1 人。通説では “インメルマン (Immelmann)” ターンの考案者とされています。”リールの鷲” と呼ばれたインメルマンは、空中戦の基礎をオスヴァルド ベックルに学び、しばしば彼と共に任務飛行に参加しました。戦闘で死去するまでにインメルマンが獲得した無数の栄誉の 1 つには、人々のせんぼうの的である、ドイツ最高のブルー マックス勲章もありました。
inclinometer (傾斜計)
軸の水平方向の傾きを表示する計器です。ほとんどの航空機では、傾斜計は旋回計の下部にあります。傾斜計は、航空機が左右にヨーイングしているかどうかを示します。
indefinite ceiling (不定雲高)
雲高の分類の 1 つで、地表付近の視程が不良な状態を指します。
indicated airspeed (IAS、指示対気速度)
対気速度計が表示する速度です。大気密度による偏差や位置誤差、計器誤差は修正されていません。標準気圧状態での海面高度にある場合を除いては、指示対気速度は周囲の空気に対する航空機の実際の速度 (TAS、真対気速度といいます) と一致しません。
indicated altitude (指示高度)
海面上の気圧に設定した高度計から直接読み取られた高度です。 指示高度では、気温の偏差は修正されていません。 パイロットは、指示高度を基準にして航空機を操縦します。
induced drag (誘導抗力)
抗力全体のうちの揚力によって生じた部分です。誘導抗力が発生するのは、翼やローター下面の圧力の高い空気が、翼やローターの先端を回り込んで上側の気圧の低い領域へと渦を巻くためです。この運動は渦を作り出し、その結果、航空機のエネルギーを吸収します。この失われたエネルギーが誘導抗力です。 誘導抗力は、対気速度が減少するにしたがって増加します。
infrared (赤外線)
可視波長域の赤の端よりも長い波長を持った電磁放射です。赤外線写真は、空中監視に使用されており、霞 (かすみ) や雲の中を透視して、裸眼には見えない物体の像を捉えます。
initial climb (初期上昇)
航空機が浮揚した後、滑走路から離れて上昇することです。
inner marker (インナー マーカー)
マーカー ビーコンは指向性信号の送信機で、計器着陸装置の 1 つとして使用されます。インナー マーカーは、ミドル マーカーと滑走路末端の間に位置します。カテゴリ II の計器進入で使用され、航空機がグライド スロープ上の決心高度に来る位置にあります。
instrument (計器)
『14 CFR Part 1』によれば、「内部機構を使用して視覚的または聴覚的に、航空機または航空機の一部の姿勢、高度、または操縦について示す装置」です。飛行中に航空機を自動的に制御するための電子装置も含まれます。
instrument approach chart (計器アプローチ チャート)
“アプローチ プレート” と呼ばれることもあります。このチャートには、特定の空港で計器進入を行う場合の手順が、水平方向の位置と高度の両方について記載されています。
instrument approach procedure (IAP、計器進入方式)
有視界降下が不可能な場合に、航空機を滑走路へ誘導する公式の手順です。IAP には、航空機が巡航状態から着陸へと移行するときに飛行するべき航路と高度が説明されています。計器飛行方式には基本的に、非精密 (nonprecision) と精密 (precision) の 2 種類があります。非精密進入は、着陸空港までの垂直方向の情報を提供する電子式のグライド スロープを使用しません。非精密進入の例には、VOR アプローチ、NDB アプローチ、ローカライザ アプローチ、および GPS アプローチがあります。精密進入は、垂直方向の正確なガイドを行う、電子式のグライド スロープを使用します。最も一般的な精密進入は ILS です。
instrument flight rules (IFR、計器飛行方式)
アメリカ合衆国において、気象条件が有視界飛行の基準を満たさない場合や、航空機がクラス A 空域、つまり、18,000 フィート (5,486 m) 以上の高度で運航している場合、またはパイロットが管制空域での気象状態にかかわらずこの規則に基づいた運航を望んでいる場合に、パイロット、航空機、航空機の運航に適用される規則のことです。 この規則は、最小限の予備燃料、必要な装備と検査などの計器飛行による運航上の基準を定めています。
“IFR” という略語は、有視界飛行方式 (VFR) による飛行について定められた最低基準を満たしていない気象状況を指すときに使われることもあります。たとえば、付近を飛行している航空機に注意するよう航空管制官がパイロットに警告し、そのパイロットが雲の中を飛行している場合は、パイロットは「こちら IFR です」と言い、衝突を避けるために針路や高度の変更の指示を求めることがあります。この状態を表す正しい用語は、”instrument meteorological conditions (計器気象状態)” の略語である “IMC” です。
instrument flight time (計器飛行時間)
実際の、またはシミュレータを使った計器飛行条件の下でパイロットが計器を参照するだけで運航した時間のことです。計器飛行時間は、航空機が計器飛行方式 (IFR) で運航した総時間とは限りません。
instrument landing system (ILS、計器着陸装置)
滑走路にアプローチする航空機に対して水平方向および垂直方向の誘導を行う、航法援助と進入灯のシステムのことです。ILS は、今日、世界中で最も多く使われている精密進入システムです。 一般的な ILS には、ローカライザとグライド スロープのほかに、アウター、ミドル、およびインナーのマーカー ビーコンがあります。ローカライザは、指向性を持つ信号を発信し、航空機を左右に誘導します。グライド スロープは、電子式の降下経路で、滑走路への適切な降下角度を定めています。マーカー ビーコンは、航路標識で、滑走路からの距離を判断するために使用されます。
instrument meteorological conditions (IMC、計器気象状態)
計器飛行方式 (IFR) による飛行を必要とする気象状態のことです。アメリカ合衆国の管制空域では、IMC 状態は一般に、雲高が 1,000 フィート (305 m) 未満で、飛行視程が 3 マイル (5 km) 未満の状態を指します。
instrument rating (計器飛行証明)
操縦士技能証明の等級の 1 つです。飛行計器だけに頼って、かつ航空機を機長として操縦することが認められます。計器飛行証明は、雲の中を運航する場合や、雲高と視程が有視界飛行方式 (VFR) に要求される値に満たない場合に必要とされます。また、クラス A 空域において機長として乗務するパイロットにも計器飛行証明の資格が必要です。アメリカ合衆国では、クラス A 空域は海抜 18,000 フィート (5,486 m) より上の部分です。
instrument scan (計器スキャン)
計器飛行状態 (計器を基準にした飛行) での飛行中に、主要飛行計器を順序を決めて調べる方法です。
intercooler (インタークーラー)
ターボチャージャーとキャブレターの間にある機械です。ターボチャージャーで圧縮された空気は高温すぎて利用できません。熱せられた空気は、インタークーラーを通過して冷やされてから吸気システムに入ります。
International Civil Aviation Organization (ICAO、国際民間航空機関)
モントリオールを本拠地とし、空港、パイロット、通信などの航空交通にかかわる問題の国際基準を設定しています。
International Standard Atmosphere (ISA、国際標準大気)
計算の基準として人為的に規定された標準の気圧です。気象学および航空力学において使用されます。各高度について標準の気圧と温度が定義されています。平均海面における標準状態は、29.92 水銀柱インチ (1,013 ヘクトパスカル) および華氏 59°(摂氏 15°) と定義されています。
intersection (インターセクション)
航空では、2 つ以上の航法無線機から送られてくる信号が交差することで決まる空間の位置のことです。
interstage turbine temperature (ITT、タービン温度)
タービン エンジンの高圧タービンと低圧タービンの間で計測した燃焼ガスの温度です。ITT は、エンジンが発生できる出力の限定要因の 1 つです。
inversion (逆転現象)
気温が高度の上昇と共に上がることです。対流圏においては通常、高度の上昇と共に気温が減少しますが、それとは逆の現象です。
inverted (背面)
上下が逆になることです。
isobar (等圧線)
天気図に示される、気圧の値の等しいところを結んだ線です。
isogonic line (等偏角線)
航空図上で、磁差の等しいところを結んだ線です。
isotherm (等温線)
天気図に示される、気温の等しい地点を結んだ線です。
J
Jet-airways (ジェット航空路)
高高度 (平均海面高度 18.000 ~ 45,000 フィート) 用の航法無線信号によって示される航空路です。”J” 航空路または空のハイウェイと呼ばれる場合もあります。
jet blast (ジェット排気)
ジェット エンジンの排気ノズルから排出される高速の気流です。
jet stream (ジェット気流)
幅の狭いところに集中的に吹く 50 ノット以上のほぼ水平な風の流れのことです。通常、対流圏上部で吹く西よりの強い風のことを指します。
Johnson, Clarence “Kelly” (クラレンス “ケリー” ジョンソン)
1910 ~ 1990。アメリカ合衆国の飛行機設計者。30 年にわたって、ロッキード社の先端プロジェクト開発グループの指揮をとりました。ジョンソンは、ロッキードの “スカンク ワークスの帝王” として知られ、エレクトラ、コンステレーション、U-2 偵察機、SR-71 ブラックバードをはじめとする、40 機種以上の開発に大きく貢献しました。
joystick (ジョイスティック)
一部の航空機において、エルロンとエレベータを制御するのに使われる操縦棹の名前です。ジョイスティックは、フランスの飛行士ロベルト エスノルト=ペルテリエによって 1907 年に発明されたといわれています。
Flight Simulator では、”ジョイスティック” はコンピュータに接続され、エルロンとエレベータを制御する入力デバイスです。コンピュータ ジョイスティックには、スロットル、着陸装置、フラップ、などの機能を制御できるボタンやスイッチが付いていることもあります。
K-O
K
katabatic wind (斜面下降風)
斜面を吹き降りる風のことです。
kneeboard (ニーボード)
地図や、その他の手元に置きたいものを留めておくために、パイロットがコックピット内で使用するクリップボードのことです。パイロットのひざにベルトで留めることもあるため、ニーボードと呼ばれます。
knots (ノット)
1 時間に進む海里数です。略称では、kt、kts、または KTS とします。 1 海里 (nm または NM) は 6,076 フィート (1,852 m) です。この距離は、大圏の弧 (地球上の 2 点の最短距離を示す弧) の 1 分 (1/60°) の長さに基づいています。1 ノットは時速約 1.15 マイルです。したがって、100 ノットは約 115 mph (時速 185 km)、150 ノットは約 172 mph (時速 278 km)、200 ノットは約 230 mph (時速 370 km) になります。フライト プランに記される速度や航空交通管制を目的とした速度はすべてノット単位です。アメリカ合衆国では、1976 年以降に製造された軽飛行機には、ノット表示の対気速度計が付いています。それより前の機種の対気速度計は、1 時間あたりのマイル数で速度を示します。
ノットは時速であることに注意してください。「1 時間あたりのノット数」などという表現は正しくありません。
L
landing gear (着陸装置)
着陸や地上で走行する際に使用する、車輪、脚柱、その他の装備のことです。英語では “undercarriage” と呼ばれることもあります。着陸装置の代表的な方式は、”尾輪式” と “三輪式” の 2 つです。尾輪式では、航空機の前部は 2 つの車輪で支えられ、尾部は、スキッドまたは尾輪により支えられます。三輪式では、航空機は、機首の車輪 1 つと後方の 2 つの車輪によって地面に水平に着地します。主脚とは飛行機の重心に最も近い車輪です。 主脚は、ほとんど常に 2 つ 1 組になっており、機首の車輪や尾輪と比べて、より大きな着陸の衝撃に耐えられるように設計されています。
landing roll (着陸滑走)
航空機が滑走路に接地した地点から、航空機が停止するか、または滑走路から離れることができる地点までの地上滑走距離のことです。
landplane (陸上機)
車輪を持ち、地上に着陸できる航空機のことです。これに対するものに、フロート付き水上機や雪上機があります。
lapse rate (減率)
高度に伴う気温の平均低下率のことです。大気圏内の低い高度では、標準的な減率は 1,000 フィート (305 m) あたり摂氏 2°(華氏 3.6°) です。気象予報士とパイロットは、実際の減率を使って、気温と露点が等しくなり雲の形成や降水をもたらす高度を予測します。高度に伴って気温が上昇することは、逆転現象といいます。
large aircraft (大型航空機)
アメリカ合衆国では、最大離陸重量が 12,500 ポンド (5,670 kg) を超える航空機のことです。大型航空機の機長として乗務するには、パイロットはその航空機の型式等級を取得している必要があります。
laser (レーザー)
強い、集中したエネルギーのビームを光線の形で出力する装置です。
lateral axis (左右軸)
航空機の 3 つの軸の 1 つです。左右軸は、翼端から翼端へ延びる仮想的な線で定義されます。左右軸を中心に回転する運動は、”ピッチ” と呼ばれ、エレベータで制御されます。
leading-edge slats (前縁スラット)
翼の前面の先端近くにすきまを作る機構で、高い迎え角の際に翼の上をより多くの空気が流れるようにして、失速の開始を遅らせるよう効果があります。 前縁スラットとフラップは、高揚力装置と呼ばれることもあります。
Lear, William Powell (ウィリアム パウエル リア)
1902 ~ 1978。アメリカ人で、ビジネス ジェット機の設計者、製造者。学校教育は 8 年生までしか受けていないにもかかわらず、リアは電子工学事業で成功を収めました。彼は新しい会社の資金を調達するために電子工学事業の会社を売り、1962 年に航空機メーカーを創業し、かつて設計を手伝ったスイス アメリカン エアクラフト社の戦闘機を部分的に使って、ビジネス ジェット機を製造しました。
left-turning tendency (左旋傾向)
4 つの力が一緒に働くことによってプロペラ機が左に機首を向けることです。この傾向は、飛行機が低い対気速度と高い迎え角で飛行しているときに、最も著しくなります。パイロットは、右ラダーを使い続けることによってこれを相殺します。
4 つの力とは、反作用力、プロペラ後流、ジャイロの摂動、および “P ファクタ” です。反作用力は、プロペラの回転力と同じ大きさで逆向きの力のことです。この力は、飛行機の前後軸を中心としたロール運動を誘発します。 プロペラ後流は、プロペラによって生み出される、回転する空気の柱です。この柱は機体の周囲を渦巻き、垂直安定板の左側を打ち、左のヨーを生み出します。ジャイロの摂動は、飛行機の機首が上または下に動いたときに起こります。このピッチ姿勢の変化によって、回転するプロペラ全体に対して、90°横から力が加えられます。”P ファクタ”、つまり非対称のプロペラ負荷は、左のヨー運動を誘発します。下方に進むプロペラのブレードは、上方に動くブレードよりもより迎え角が高く、大きな推力を生み出すからです。
lenticular cloud (lenticularis、レンズ雲)
1 つ 1 つが離れていて、一般に、滑らかなレンズまたはアーモンドのような形をした雲です。 多くの場合レンズ雲は、山岳地帯の風上側で、風下波の影響により発生します。この場合雲は山に対してほとんど動きません。ただし山岳地域以外に発生する場合もあります。
lift (揚力)
空気と相互作用する翼などの翼面によって生み出される、上向きの力です。揚力は、相対風、または航空機の航路に対して直角に働きます。揚力は、飛行中の 4 つの基本的な力の 1 つであり、重力に対する力です。
liftoff (浮揚)
航空機が離陸滑走中に地面を離れる瞬間のことです。
light aircraft (軽飛行機)
一般的にいえば、小さな単発エンジンまたは双発エンジンの飛行機のことです。正確には、アメリカ合衆国では、最大離陸重量が 12,500 ポンド (5,760 kg) 以下の飛行機のことです。
light-gun signals (ライトガン信号)
無線機を持たない航空機や、無線機が故障した航空機に指示を出すのにタワー (管制塔) オペレータが使用する、色付きのライトです。赤、緑、および白の光によって「離陸支障なし」、「停止」、「注意せよ」といったメッセージを表します。すべての信号の意味は、FAR 91.125 に定義されています。
light icing (弱着氷)
着氷の種類にかかわらず、ゆっくりと蓄積されていく着氷のことです。 防氷装置または除氷装置によって氷の蓄積を防ぐことができます。 防氷装置または除氷装置がない場合、弱着氷が 1 時間以上続くと、航空機に危険をもたらす場合があります。
light turbulence (弱乱気流)
航空気象通報およびパイロット レポートにおいて、高度または姿勢あるいはその両方に、わずかに不規則な変化を一時的に生じさせる乱気流のことを指します。弱乱気流が、高度や姿勢の変化をほとんど起こさず、リズミカルな振動をもたらす場合は、”チョップ” といいます。弱乱気流時には、乗務員や乗客はシートベルトやショルダー ハーネスの圧迫を強く感じ、固定されていない物体はわずかに動く場合があります。大型航空機では、食事のサービスは可能で歩行にも支障がありません。
lightning (電光)
雷雨によって、短期間に、強い放電現象が生じることです。大部分の航空機では電光によって大きな危険がもたらされることはほとんどありませんが、電子設備に被害が及ぶことがあります。 また、電光によって一時的にパイロットの目がくらむことがあります。
Lilienthal, Otto (オットー リリエンタール)
1848 ~ 1896。ドイツの航空技師で、ハング グライダー パイロット。安定性、揚力、操縦に関する彼の実験は、ライト兄弟などの後の飛行士たちに強い影響を与えました。リリエンタールは、鳥の飛行や航空理論に関する自分の研究を応用し、18 機のグライダーの設計、建造、実験飛行を行いました。リリエンタールは、グライダーに乗る姿を写真に残した最初の人物ですが、1896 年に自作のグライダーの墜落で命を落としました。
Lindbergh, Charles A. (チャールズ A. リンドバーグ)
1902 ~ 1974。初の大西洋単独横断飛行に成功したアメリカ合衆国の飛行士。この飛行の成功により、リンドバーグにはオータイグ賞と名誉勲章が授与されました。 初めは巡業曲技飛行士および航空郵便パイロットとして空を飛んでいました。歴史的な大西洋横断飛行の後、妻のアンと共に、パンナム社の航空ルートを作成しました。後年、ハワイに移住し、1954 年にピュリッツァー賞を受賞した『The Spirit of St. Louis』(邦題『翼よ、あれがパリの灯だ』) をはじめとする、数冊の著書を執筆しました。
load factor (荷重倍数)
航空機の構造が支えている総荷重の、実際の航空機および搭載物の重量に対する比率です。”G” ともいいます。安定状態の飛行においては、荷重倍数は 1G です。航空機が旋回または急降下からの引き起こしを行うと、荷重倍数は増加します。たとえば、水平旋回において航空機のバンク角が 60°ならば、荷重倍数は 2G となります。 このような旋回においては、航空機の構造は航空機の 2 倍の重量を支えなければならないので、パイロットは、揚力が大きくなるように航空機のピッチ姿勢を上向きにしなければなりません。
local airport advisory (LAA、局地飛行場情報サービス)
管制機能がない飛行場のために、フライト サービス ステーションや軍隊がパイロットに提供する、飛行場の状況や気象に関する適切な情報サービスです。
local weather area (ローカル天候エリア)
Flight Simulator において、ユーザーが定義した、同じような気象上の特徴を持つ地域のことです。2 つのローカル天候エリアを定義し、それぞれに異なる種類の気象を割り当てることができます。ローカル天候エリアを作成しない場合、すべての気象の特徴は、グローバル天候エリアに割り当てられます。
localizer (ローカライザ)
計器着陸装置 (ILS) の構成要素の 1 つです。滑走路に航空機がアプローチする際、パイロットを左右に誘導します。ローカライザは、108.10 ~ 111.95 MHz の 40 チャンネルの 1 つによって送信される、指向性の強い無線信号です。この無線波はじょうごの形をしています。一般に、この無線波の幅は 10°で、長さは滑走路から 18 海里の地点までです。滑走路の末端では 700 フィート (213 m) まで幅が狭まります。
logbook (ログブック)
すべての飛行活動について記録、保持するように、FAA がパイロットに求めている記録簿です。FAA ではこのほかに、エンジン、機体、プロペラ、およびローターについて使用回数や部品の保守状態について記録するように求めています。
Lomcevàk (ラムシェバック)
曲技飛行のループの操縦方法です。最初に曲技飛行の元世界チャンピオンのラディスラフ ベザークが考案したこの操縦方法には、少なくとも 5 つの変種がありますが、いずれも垂直に近い姿勢で始まり、負の G の下で飛行するというものです。”lomcovàk” は、一般に頭痛を意味するチェコ語かポーランド語と信じられていますが、本当は大量の強い酒を意味するスロバキア語の俗語に由来するものです。
longitudinal axis (前後軸)
航空機の機首から尾翼までを通る仮想的な線です。航空機の 3 つの軸の 1 つです。前後軸を中心とした回転は “ロール” と呼ばれ、エルロンによって制御されます。
longitudinal separation (前後方向管制間隔)
同じ高度にいる航空機間の最少距離を分またはマイルで表したものです。
loop (ループ)
航空機が完全な垂直の円を描いて飛行する、曲技飛行の操縦方法です。円の一番上から始まる外回りのループは、相当に難しい演技です。これは、操縦操作の間ずっと負の G がかかるためです。
low (低気圧圏)
一定の秩序の風を伴う、大気圧の低い領域です。サイクロンとも呼ばれます。
low G (低 G)
ヘリコプターのローター ブレードに 1G (ヘリコプターの重量) 未満の力しかかかっていない状態です。低 G は、乱暴なサイクリックの操作、乱気流中の飛行や、急上昇姿勢から急激に機首を前方に押し込んだりしたときに発生します。急上昇姿勢から急激に機首を前方に倒すと、低 G コンディションにより、さらに機首が下がり機体が右にロールします。メイン ローターが機体後部に当たることがあり、また半関節型ローター システムではマスト振動が起こることがあります。どちらが起こっても、メイン ローターやテイル ローターが壊れる原因になります。
機体を制御できなくなる前に低 G コンディションから回復するには、サイクリックを少し手前に引いて機首を上げ、メイン ローターの出力を上げます。右旋傾向を打ち消すために、サイクリックを左に倒します。
M
Mach, Ernst (エルンスト マッハ)
1838 ~ 1916。オーストリアの物理学者で、オーストリア国会議員。認知科学的方法論に基づいたマッハの著作、そして感覚と知覚に関する彼の理論は、諸科学の原理の研究を確立しました。彼の弾道学および音速計測における業績は、航空力学の超音速飛行にかかわる部門に大きく貢献しました。
Mach number (マッハ数)
音速に対する航空機の速度の比率のことです。 音速は音波を運ぶ媒体の密度によって変化します。たとえば、音は空気よりも鉄や水を通る場合の方が速く進みます。空気の密度は高度と共に減少するため、音速も低下します。音の進む速さは、海面高度では 762 mph (時速約 1,226 km)、高度 20,000 フィート (6,096 m) では 707 mph (時速約 1,138 km)、高度 35,000 フィート (10,668 m) では 664 mph (時速約 1,068 km) です。オーストリアの物理学者エルンスト マッハにちなんで名づけられました。
Mach 1 (マッハ 1)
音速のことです。マッハ 1 は、高度と気温によって変化します。海面高度では、マッハ 1 は時速約 762 マイル (1,226 km) です。対流圏の最も高度が低い部分では、マッハ 1 は時速約 660 マイル (1,062 km) です。 圏界面、つまり高度約 36,000 フィート (11,000 m) より上の部分では、音速は一定になります。
magnetic compass (磁気コンパス)
地球の磁場を基準とした方角を表示する装置です。
magnetic course (磁方位)
航空図上の 2 点間に引かれた線の、地球の磁北を基準とした方位です。
magnetic declination (磁差)
「magnetic variation (磁差)」を参照してください。
magnetic heading (磁針路)
磁北極を基準として計測される、航空機が向かっている方向です。磁針路は、コンパスに表示されます。パイロットは、航空機を向ける磁針路を求めるときには、真北と磁北との差を補正して得られた磁方位に、風の影響に関する補正を加えます。風が進路に沿ってまっすぐに吹いている場合、磁針路は、磁方位に等しくなります。 ただし、横風成分がある場合は、パイロットは航空機の機首をかすかに風上の方に向けて風を相殺する必要があります。こうした状況では、地表上での航空機の航跡は、機首が向かっている方向とはわずかに異なります。
magnetic variation (磁差)
“真北” と “磁北” がなす角度です。つまり、地球上のある点から観測したときの、地理学的な北極と磁北極とがなす角度を磁差といいます。地球上の 2 地点を結ぶ線の磁方位を調べるには、地図上に引いた線と経線との角度 (真方位) を求めてから、その線上の地点での磁差をかげんする必要があります。
magneto (マグネトー)
磁石を回転させることによって電流を生み出す装置です。航空機のエンジンでは、クランク軸がマグネトーを回転させ、マグネトーが供給する電気エネルギーによって点火プラグが着火します。この装置により、航空機のバッテリと電子システムが故障した場合でも、確実に点火プラグを着火することができます。認可を受けた航空機エンジンは、一般に、予備として 2 組のマグネトーを装備しています。
maneuvering speed (Va、運動飛行速度)
過度の G を生じることなく、パイロットが十分に急な操縦を行うことのできる最大速度です。また、航空機を安全に失速させることができる最大速度です。パイロットは乱気流を飛行しているときにもこの速度で飛行します。
運動飛行速度は “Va” と略記されます。対気速度計にはこの速度の印はありません。
manifold pressure gauge (吸気圧力計)
ピストンエンジンの吸気管内の空気圧を計る機器です。空気圧は通常、水銀柱の高さ (インチ) で表示されます。実体は気圧計であるこの計器は、エンジン回転計と共に、エンジンの出力を設定するのに使用します。訓練用の小型機の多くには、エンジン回転計しか付いていません。大型エンジンを搭載した航空機や、定速プロペラを採用している航空機には、通常、吸気圧力計が付いています。
manually coordinated flight (手動調和飛行)
「uncoordinated flight (非調和飛行)」を参照してください。
marker beacons (マーカー ビーコン)
通常 ILS を使った計器進入において、特定の位置を示す低出力の無線ビーコンです。一般的な ILS には、少なくとも 2 つのマーカー ビーコンがあります。アウター マーカー (OM) は、通常、航空機が電子式グライド スロープをインターセプトする地点を示します。アウター マーカーは、モールス信号で 3 つの長音を送信しています。計器盤では、OM は青のライトで示されます。ミドル マーカー (MM) は、滑走路末端から約 3,500 フィート (1,067 m) の位置を示します。これは、航空機の高度が滑走路接地帯の標高の約 200 フィート (61 m) 上になる地点でもあります。ミドル マーカーは、”トン-ツー-トン-ツー” の信号を送信し、操縦席ではこはく色のライトで示されます。
インナー マーカー (IM) を持っている ILS もあります。インナー マーカーは、適切なグライド スロープに従って降下中の飛行機が決心高度に達する地点を示します。インナー マーカーは、速い “トン-トン-トン-トン” という信号を送信し、操縦席では白のライトで示されます。
maximum L/D (最大 L/D)
最大揚抗比のことです。機体重量が同じであれば、この揚抗比を得られる速度で滑空するとき、最も滑空距離が長くなります。最良滑空速度と呼ぶこともあります。
mayday (メーデー)
国際的な救援要請コールです。フランス語の m’aidez (help me) が語源で、「メーデー」と発音します。電信で使用される SOS の音声版です。
mean sea level (MSL、平均海面)
地球の海洋の平均の高さのことです。海面から航空機までの垂直の距離である、真高度の基準として使用されます。航空図に表示されている空港や地面、障害物の高度は、真高度で示されます。
measured ceiling (計測雲高)
雲高の分類の 1 つです。雲高の値が計器によって測定される場合や、自然の陸標などではない物体の明白な部分のすでに知られている高さで測られた場合に当てはまります。
medical certificate (航空身体検査証明)
アメリカ合衆国において、パイロットや乗務員、航空交通管制官が、安全な航空機の運航などの任務の遂行のために定められた一連の身体的および精神的基準を満たしていることを示す証明書です。FAA は、第 3 種、第 2 種、第 1 種の身体検査証明を発行しています。資格基準は、第 3 種、第 2 種、第 1 種の順でより厳しくなります。訓練操縦士、娯楽用操縦士、および自家用操縦士は少なくとも第 3 種の航空身体検査証明を保持している必要があります。第 3 種の航空身体証明の有効期間は 24 か月間もしくは 36 か月間です。何らかの事業運航には、第 2 種の航空身体検査証明が必要とされます。第 2 種の有効期間は、事業運航では 12 か月間、非事業運航では 24 か月間です。定期運送用操縦士には、第 1 種の航空身体検査証明が必要とされます。有効期間は、航空会社の運航では 6 か月間、何らかの事業運航では 24 か月間、また非事業運航においても 24 か月間です。
METAR (定時航空実況気象通報式)
定時航空気象通報を意味するフランス語の略語で、全世界で標準化されている、空港での 1 時間ごとの気象観測の通報のことです。アメリカ合衆国では、近年、SA 通報に代わって METAR を採用するようになりました。METAR は、通報の種類、観測点 ID、通報時刻、風、視程、気象と視程の障害物、空の状況、気温と露点、高度計規正値、補足情報などの情報から成っています。
microburst (マイクロバースト)
しばしば雷雨を伴う、激しい局地的な風のことです。マイクロバーストでは、強い垂直の下降流が雷雨から発生し、バケツをひっくり返したときの水のように、地面に拡散します。この下降流は、分速 6,000 フィート (秒速 1,829 m) 以上にもなることがあり、風の速度と向きが突然変化する、強いウィンド シアの領域を生み出します。マイクロバーストとそれに伴うウィンド シアの中を飛行する航空機は、対気速度の急速な変化を被り、強い下降流に襲われた場合、地表まで墜落することもあります。
middle marker (ミドル マーカー)
滑走路末端から約 3,500 フィートのところに設置されているマーカー ビーコンです。これは、グライド スロープを飛行している航空機の高度が約 200 フィート AGL になる位置です。
minimum sink (最少沈下)
所定重量の航空機が、一定時間内に高度を下げる量が最も小さくなる速度です。
mixed ice (混合氷)
雨氷と樹氷の混じったものです。混合氷は、水滴がさまざまな大きさだったり、水滴が雪や氷の粒子と混じっているときに形成されます。氷の粒子が、雨氷の中に埋め込まれ、航空機の表面の前縁に、きのこ型の荒い集積を作り上げることがあります。
mixture control (混合気コントロール)
エンジンのキャブレターや燃料噴射器に入る燃料と空気との比率を制御する装置です。 大部分の航空機においては、混合気コントロールは、押したり引いたりするつまみ、またはレバーです。通常はスロットルの右側にあり、赤い印が付いています。
航空機エンジンは、幅広い高度で運用されるため、パイロットは、航空機がより密度の低い高度へと上昇したり、より密度の高い高度に降下したりする際に、混合比を調整して最も効率的な燃料/空気の混合気を作り出す必要があります。燃料の比率が多すぎる混合気の場合、エンジンの動作は荒くなり、出力は落ちます。混合気が薄すぎる場合は、エンジンがオーバーヒートしたり、シリンダ内で燃料が突然爆発的に燃焼する異常燃焼 (デトネーション) が発生したりすることがあります。
mmo (最大運用限界マッハ数)
“Mach maximum operating speed” (最大運用限界マッハ数) の略語です。マッハ数で示された、航空機が安全に運用可能な最大対気速度です。最大運用限界マッハ数の実際の値は、大気圧や気温などの要因によって変化します。
moderate icing (並着氷)
着氷の種類にかかわらず、防氷装置または除氷装置を使用する必要があるような速度で蓄積していく着氷です。 これらの装置を備えていない場合は、直ちに着氷地域から抜け出す必要があります。
moderate turbulence (並乱気流)
航空気象通報およびパイロット レポートにおいて、高度や姿勢を変化させ、指示対気速度にわずかな変動をもたらす乱気流のことを指します。航空機のコントロールが一時でも失われることはありませんが、乗務員、乗客はシートベルトやショルダー ハーネスの圧迫を強く感じ、固定されていない物体は移動します。大型航空機では、食事の給仕や歩行が困難になります。
monoplane (単葉機)
主翼が 1 組しかない飛行機です。 単葉機の方が複葉機に比べて抗力が少ないのですが、複葉機の方が丈夫な機体を作るのが簡単だったため、初期の航空機の設計は複葉機に頼っていました。技術が進歩して丈夫な単葉機を作ることのできる段階に達すると、複葉機は時代遅れになりました。
Mooney, Al (アル ムーニー)
1906 ~ 1986。アメリカ合衆国の飛行機設計および製造者。1922 年に軽飛行機の設計を始めました。ベランカ社やカルバー エアクラフト社など、アメリカ国内の多数の航空機メーカーを経てダート社に入社し、ダート単葉機を設計しました。1946 年には M-18 Mite を設計し、同年、兄のアートとムーニー エアクラフト社を設立しました。
mountain waves (山岳波)
山の風下側に発現する定常波のことで、風下波ともいいます。アメリカ合衆国のロッキー山脈やシエラネバダ山脈などを越える大量の風によって発生します。強く乱れたジェット気流が尾根を横切って流れ込むときには、強度の山岳波が生成されます。高性能グライダー (セールプレーン) のパイロットは、山岳波を利用して 50,000 フィート (15,240 m) 以上の高高度へ上昇することがあります。
N
N1
2 軸ガス タービン エンジンの低圧コンプレッサーの回転速度のことです。
N2
2 軸ガス タービン エンジンの高圧コンプレッサーの回転速度のことです。
National Aeronautics and Space Administration (NASA、アメリカ航空宇宙局)
1958 年に創設されたアメリカ合衆国政府の非軍事機関です。航空および宇宙飛行における、すべての非軍事的な発展に関する責任を負っています。NASA の前身は、NACA (National Advisory Committee for Aeronautics、連邦航空諮問委員会) です。
National Flight Data Center (NFDC、米国飛行データ センター)
ワシントン D.C. にある機関で、安全な飛行に欠かせない航空情報を配信するために FAA によって設立されました。
National Transportation Safety Board (NTSB、国家運輸安全委員会)
航空機の事故を調査し、事故原因を究明する、アメリカ合衆国の政府機関です。NTSB は、航空に関する規則を定める FAA とは独立した機関です。FAA は、事故調査に参加し、NTSB が新しい規制や手順、装備によって将来の事故を防ぐことができると判断した場合に出される勧告に応じます。
nautical mile (nm、海里)
約 6,076 フィート (1,852 m) の距離です。マイルは、地球の大圏の弧の 1 分 (1/60°) の長さに基づいています。航空機の飛行に関しては、距離は海里 (nm) で表し、速度は 1 時間に何海里進むかを示すノットで表します。
NAV
“navigational” (航法) の略語です。通常は “NAV 1” や “NAV 2” のように航法無線機を指します。
NAV/COM
通信用無線機と航法無線機の機能を統合した無線機のことです。
navigation lights (航空灯)
夜間の飛行を認められているすべての航空機に対して要求される、衝突防止のための基本的な灯火システムです。このシステムは、左翼端の赤色灯、右翼端の緑色灯、尾部の白色灯で構成され、飛行している方向を他の航空機に伝えます。日没から日の出までの間は、航空灯を点けなければなりません。
navigational aid (NAVAID、航法援助施設)
空中または地上の可視的または電子的な装置で、飛行中の航空機に地点間の誘導情報や位置データを提供します。
nimbostratus (乱層雲)
基本雲形の 1 つで、暗い灰色をした雲で通常雨を伴います。地表に継続的な雨や雪を降らせるため、輪郭がぼやけて見えます。雲層は厚く、太陽を完全に覆い隠してしまいます。
Ninety-Nines (99s、ナインティナインズ)
1929 年に 99 人の参加により創設された女性飛行士の協会です。アメリア イアハート、ジャッキー コクラン、ルイーズ ターデンおよびエイミー ジョンソンなどが参加しました。ナインティナインズは 1930 年代に、航空競技会への女性の参加が認められ、女性飛行士が許可されるようになった原動力でした。今日、ナインティナインズは、数千人の会員を持つ世界規模の組織となっています。
nondirectional radio beacon (NDB、無指向性無線標識)
無指向性の信号を長波または中波帯 (190 ~ 535 kHz) で発信する無線ビーコンです。今日では主として NDB 非精密進入において、また ILS のアウター マーカーと組み合わせて使用されます。 自動方向探知機 (ADF) はこれらのビーコンを探知します。
nonprecision approach (非精密進入)
非精密進入は、着陸空港までの垂直方向の情報を提供する電子式のグライド スロープを使用しません。 非精密進入の例には、VOR アプローチ、NDB アプローチ、ローカライザ アプローチ、および GPS アプローチがあります。
nose gear (ノーズ ギア、前輪)
三輪式着陸装置を持つ航空機の、機体先端の下側に取り付けられた車輪のことです。
nose over (とんぼ返り)
機首が水平線に対して急に下がること、つまりピッチの減少です。地上では、前輪が柔らかい地面に食い込んだり、尾輪式の飛行機が急速に減速しすぎたときに、とんぼ返り、つまり機体が前に傾いてしまうことがあります。
Notice to Airmen (ノータム、NOTAM)
比較的最近になって判明した、飛行時に注意を要する情報を運航関係者に知らせます。内容は、施設、サービス、業務方式の変更や、空中の危険状態などについてです。
O
obscuration (掩蔽現象: えんぺいげんしょう)
気象通報の際に使われる用語で、霧などの地上現象により天空が覆い隠され、垂直視程が制限される現象のことです。
occluded front (occlusion、閉塞前線)
寒冷前線が温暖前線または半停滞前線に追いついて、発生する複合的な前線です。
oleo-pneumatic (オレオ緩衝支柱)
通常航空機の着陸装置に組み込まれている、油圧/空気圧式装置です。油式/空気圧式の衝撃吸収装置は、制限バルブを通して支柱の上の小室から下の小室へと流体を移動させることによって、着陸の衝撃を打ち消します。
omnibearing indicator (OBI、全方位指示器)
同調している VOR局に対する、航空機の相対的な位置についての情報を示す計器です。OBI には、選択したコース、つまり “ラジアル” に対する航空機の位置を示す指針であるコース偏向指示器 (CDI)、および VOR 局に対する航空機の位置を示す TO-FROM-OFF 表示器が含まれています。また、グライド スロープ指針が含まれていることもあります。各 OBI は、一般に、航空無線機 (NAV 1 または NAV 2) と接続されています。
ornithopter (はばたき飛行機)
はばたく翼に基づいた空想的な人力飛行機です。はばたき飛行機の科学的設計を初めて試みたのは、レオナルド ダ ビンチですが、その発想は、少なくともギリシアの神話のダイダロスとイカロスにまでさかのぼります。実用的なはばたき飛行機が製作されたことはありません。
orographic (山岳性の)
山岳性の雲、山岳性の揚力、山岳性の降水など、山岳の、山岳に関連した、山岳によって引き起こされるものを形容します。
outer marker (アウター マーカー)
ILS アプローチにおいて、ローカライザ コース上の適切な高度にいる航空機がグライド スロープをインターセプトする位置を示すマーカー ビーコンです。
oversquare operation (オーバースクエア オペレーション)
吸気圧が RPM より高くなるように設定してエンジンを運転することです。たとえば、”スクエア” が、吸気圧 24 インチ、回転数が 2,400 の状態であるとすれば、”オーバー スクエア” とは吸気圧 26 インチ、回転数 2,400 の状態です。かつては、パイロットは、オーバースクエアでエンジンを運転しないように注意を受けていましたが、現在では、許容し得る運転状態で、効率が良くなることもあると考えられています。
ozone (オゾン)
酸素の不安定な形態です。オゾンは成層圏に集中しています。オゾンは、ある種の金属を腐食させますが、太陽輻射 (ふくしゃ) のほとんどの紫外線分を吸収します。
P-T
P
panel (パネル)
自動車のダッシュボードに相当するもので、航空機の計器類や無線機が取り付けられています。大型の航空機には、複数のパネルがあることが多く、コックピットの両側や天井にまでパネルがあることもあります。
pan-pan (パンパン)
無線で 3 回連続して言うことで緊急事態であることを伝え、続けて緊急事態の内容を伝えます。
parasite drag (有害抗力)
着陸装置、無線アンテナ、翼の形状などによる表面摩擦、航空機の部品の間 (翼と機体、機体と尾部の接合部など) の気流の相互干渉などから発生する抗力です。有害抗力は、速度の 2 乗に比例して増大します。 全抗力の要素の 1 つで、推力に反する力です。もう 1 つの要素は、揚力の副産物である誘導抗力です。
partial obscuration (部分的掩蔽: えんぺい)
空の一部が、視界を覆うような地表の現象によって隠れているときの空の呼び方です。
performance booster (パフォーマンス ブースター)
Flight Simulator やアドオン シーナリーのパフォーマンスを向上させるソフトウェアです。パフォーマンス ブースターは、シミュレーションの航空機の位置を監視し、自動的に CD-ROM ドライブからシーナリーを読み出してハード ディスクのディスク キャッシュに格納します。
phonetic alphabet (音標アルファベット)
国際民間交通機関 (ICAO) によって承認され、パイロットや航空交通管制官によって使用される、無線通信の際に誤解を避けるためのアルファベットの読み方のことです。”エー”、”ビー”、”シー”などの代わりに、”アルファ”、”ブラボー”、”チャーリー” などと発音します。
Pilcher, Percy (パーシー ピルチャー)
1866 ~ 1899。スコットランドの海洋技師。1895 年から 1899 年にかけて行われた彼のグライダーに関する実験は、数多くの設計改良をもたらしました。ピルチャーは、自分のグライダーで使用するために軽エンジンを開発しましたが、計画を完成させることはできませんでした。彼の師であるオットー リリエンタールと同じく、ピルチャーは、自分のグライダーの墜落で死去しました。
pilotage (地文航法)
航空図だけを使用して、1 つの地上目標から次の地上目標へと、クロスカントリー飛行を行うことです。
pilot certificate (操縦士技能証明)
アメリカ合衆国における、操縦免許のことです。FAA は、訓練操縦士、娯楽用、自家用、事業用、認定飛行教官、定期運送用などの種類について、操縦士技能証明を発行しています。 操縦士技能証明は、幅広い権限を定義しています。これらの資格の等級 (陸上単発、計器、陸上双発、ヘリコプターなど) は、パイロットが飛行可能な航空機のクラスや、気象が有視界飛行方式 (VFR) に指定された必要条件を満たさないときに、機長として搭乗できるかどうかについても規定しています。
pilot in command (PIC、機長)
飛行中の航空機の運航と安全に責任を負うパイロットのことです。飛行時間を記録する目的で、娯楽用、自家用、および事業用の操縦士技能証明を持つパイロットは、そのパイロットが単独の操縦装置の操作者であった時間だけを機長時間 (PIC 時間) として記録できます。パイロットは航空機に応じた操縦士技能証明と等級を所有していなければなりません。定期運送用操縦士は、PIC として搭乗した全飛行時間を PIC 時間として記録できます。飛行教官資格者は、パイロットが PIC として搭乗した全飛行を PIC 時間として記録できます。
pilot report (PIREP、パイロット レポート)
PIREP は、雲の高さ、視程、降水、乱気流、着氷など、実際の飛行状態を記録するものです。アメリカ合衆国の気象通報では、パイロット レポートは “UA” で始まります。パイロット レポートは、気象通報局または航法援助施設を基準とした位置、時刻 (UTC)、高度、航空機の種類、雲の種類と高度、視程、外部の気温、風、乱気流、およびコメントを記載しますが、いくつかの情報は省略されることがあります。
Piper, Bill (ビル パイパー)
1881 ~ 1970。アメリカ合衆国の航空機製造者。パイパーは 1937年、パイパー エアクラフト社を創業しました。それまでの石油探査のキャリアを捨て、彼は、E-2 Cub の製造者であるテイラー ブラザース社に投資しました。1932 年にこの会社を買収し、5 年後に名称をパイパー エアクラフト社に変更しました。 パイパー エアクラフト社は、その後、長年にわたり、世界の軽飛行機製造業界の主導的な位置を占めました。
piston engine (ピストン エンジン)
内燃式レシプロ エンジンの一般的な別名です。
pitch (ピッチ)
左右軸を中心とした航空機の回転 (機首の上下) のことです。または、水平線に対する航空機の機首の上下の角度を指します。パイロットは操縦桿または操縦輪を前後に動かして、水平安定板にあるエレベータを動かします。向こうに倒すと機首は下がり、手前に引くと機首は上がります。
pitch/power rule (ピッチ/パワー ルール)
ピッチ/パワー ルールとは、通常の飛行では、スロットルを完全に開いているか閉じていない限り、対気速度を変更するにはパワーを変更し、高度を変更するにはピッチ姿勢を変更するということを表します。
pitot-static system (ピトー静圧システム)
航空機の対気速度、高度、上昇率および降下率を計測し、伝達し、かつ表示する、感知器、接続線、飛行計器のことです。ピトー静圧システムは、ピトー管、静圧ポート (静圧孔)、感知器と操縦席の計器をつなぐ配管から構成されています。対気速度計はピトー管と静圧ポートの両方に接続されていますが、 高度計と昇降計は静圧ポートにしか接続されていません。
pitot tube (ピトー管)
航空機が動くときのラム圧を計測する、小さな金属の計測管です。通常、航空機の翼または機首に取り付けられています。ピトー管はピトー静圧システムの一部です。対気速度計と直接接続され、ラム圧を (通常ノット単位で) 表示します。ピトー管には通常、着氷を防ぐため、ヒーターが付いています。この計測管の名前は、川や運河の水の流速を測る装置を発明したフランスの科学者、アンリ ピトー (1695 ~ 1771) にちなんで付けられました。
pivot point (ピボット ポイント)
航空機の重心のことです。
Poberezny, Paul (ポール ポベレズヌイ)
第二次世界大戦と朝鮮戦争におけるアメリカ合衆国の戦闘パイロットおよび飛行教官で、EAA (Experimental Aircraft Association、自作航空機連盟) の創設者で、議長も務めました。1953 年に EAA およびその最初のフライインを組織し、これにより、世界中のスポーツ飛行愛好家とアマチュア航空機製作者を代表する指導的な人物となりました。生涯の大部分を航空にささげてきた彼は、15 機以上の航空機を設計し、多くの航空関係の出版物の編集を行っています。彼の息子のトムは、EAA の現会長です。
positive control (能動管制)
『14 CFR Part 1』によれば、「航空交通管制による、指定制限空域内の全航空交通の管制業務」のことです。
power glide (パワー グライド)
エンジン パワーを使ってグライドを維持する、長くて角度の浅いアプローチです。パワー グライドでは、エンジンが故障すると滑走路に達しないうちに着陸してしまうことがあるので、計器飛行方式 (IFR) のアプローチ角度を維持する必要がない場合は、パワー グライドは避けてください。
power plant (パワープラント)
航空機のエンジンとプロペラ、およびそれらの正常な動作に必要なその他すべての部品の総称です。
practical test (実地試験)
アメリカ合衆国で、操縦士技能証明や等級に必要な、口頭試問および飛行試験のことです。実地試験は、政府の検査官または任命された試験官が行います。 各操縦士技能証明や等級に要求される知識と実技の基準は、一連の PTS (Practical Test Standards、実地試験基準) に記載されています。PTS はアメリカ合衆国政府出版局、または航空関連の書籍や学習指導書の出版社から入手することができます。
precipitation (降水)
大気から落ちて地表に達する、あらゆる形態 (液体、固体を問わず) の水の粒子のことです。水分が必ず地表に達するという点が、雲や尾流雲と異なります。
precipitation-induced fog (降水霧)
比較的暖かい雨や霧雨が、冷たい空気に降り注ぐときに形成される霧です。降水が蒸発して、冷たい空気が飽和し、霧が形成されます。 降水霧は、きわめて密度が濃く、長時間続きます。しばしば大きな領域に拡大し、飛行運航を完全に停止させることもあります。最もよくあるのは、温暖前線に伴う霧です。ゆっくりと移動する寒冷前線や停滞前線においても生じます。 降水霧は、降水と、着氷、乱気流、雷雨などの降水に関連した悪天候と共に生じるため、非常に危険です。
preflight briefing (飛行前説明)
離陸前に、飛行経路上の気象の状況や予報について説明を受けることです。
pressure altimeter (気圧高度計)
気圧ではなく高度の目盛りが付いたアネロイド気圧計です。気圧高度計は、標準気圧の気圧と高度の関係を使って、指示高度 (真高度とは限りません) を表示します。任意に選択された高度からの指示高度を計測するように設定することができます。
pressure altitude (気圧高度)
気圧高度計の原点を、29.92 水銀柱インチまたは 1013.2 ヘクトパスカルに設定しているときに示される高度です。気圧高度は、密度高度、真高度、真対気速度などを計算するときにも使用されます。アメリカ合衆国では、18,000 フィート (5,486 m) 以上の高度で飛行している航空機は、気圧高度の単位である “フライト レベル (FL)” で飛行していると言います。パイロットは、FL 180 (18,000 フィート) 以上の高度を飛行しているときには、高度計の原点を 29.92 に設定し気圧高度を表示する必要があります。
prevailing easterlies (卓越偏東風)
赤道付近および極地の上空で、持続的に東から西に向って吹く風のことです。
prevailing visibility (卓越視程)
アメリカ合衆国で採用されている視程で、全方位の半分またはそれを超える最大視程です。その半分は連続していなくてもかまいません。
prevailing westerlies (卓越偏西風)
南北の中緯度地方の上空で、持続的に西から東に向って吹く風のことです。
primary flight instruments (主要飛行計器)
標準計器盤に装備される、対気速度計、水平儀、高度計、旋回計、定針儀、昇降計の 6 つの計器のことです。
private pilot certificate (自家用操縦士技能証明)
アメリカ合衆国で、報酬または賃金を得るために機長として乗務する意図がない者に発行される操縦士技能証明です。自家用操縦士技能証明の資格を得るには、17 歳以上で第 3 種の航空身体検査証明を所有している必要があります。自家用操縦士技能証明を取得するには、20 時間以上の飛行訓練と 20 時間以上の単独飛行を含む、40 時間以上の飛行時間を経験している必要があります。訓練には、基本的な操縦操作、クロスカントリー飛行や、その他の指定された課題が含まれていなければなりません。
procedure turn (プロシージャ ターン)
計器進入中に航空機のコースを反転し、ファイナル アプローチに備えて機首の向きを滑走路に合わせるための、定められた旋回です。
prognostic chart (PROG、予想天気図)
天気図の上に、一定時間後に予想される気象状況を表したものです。
propeller (プロペラ)
航空機のエンジンによって駆動される回転翼です。プロペラは回転すると推力を発生し、航空機を空中で前方に押し進めるか引っ張ります。
propwash (プロペラ後流)
航空機のプロペラ (ヘリコプターの場合はローター) から後方に流れる空気のことです。
pushback (プッシュバック)
空港のターミナル ゲートから後退する動作です。通常は、大型航空機の前輪に小型のタグ車をつないで、タキシング レーンに向けて航空機を後ろ向きに押し出す方法をとります。Flight Simulator では、Shift + P キーを押すと、ゲートからプッシュバックできます。
Q
R
radar (レーダー)
電波を物体の表面に反射させることにより、遠くの物体を探知する装置です。最初にレーダーを軍事防衛に取り入れたのはイギリスで、”バトル オブ ブリテン” (第二次世界大戦での英本土防空戦) におけるその価値は非常に大きなものでした。今日、レーダーは、航空管制の主要な道具となっています。また、雷雨などの危険を伴う降水やウィンド シアを探知するための気象レーダーを備えている航空機もあります。
radar altitude (レーダー高度)
レーダーまたは電波高度計によって測定された航空機の高度で、航空機とその真下にある地表または海面との実際の距離です。
radarsonde observation (レーダーゾンデ観測)
レーダーを用いて、気球で運ばれる標的を追跡することによって、風を判断する観測方法です。
radial (ラジアル)
VOR 局から発信される、円内の各度数に対応する 360 本の “スポーク” の 1 本です。特定の航路を飛行するには、パイロットは、適切な VOR 局に周波数を合わせ、飛行するラジアルを選択します。OBI と呼ばれる指示器が、そのラジアルを基準とした航空機の位置を示します。
radial engine (星型エンジン)
シリンダが車輪のスポークのように星型に配置された、レシプロ エンジンの一種です。
radiation fog (放射霧)
夜間または夜明けに、地表の冷気によって地表近くの大気の温度が露点以下に下がったときに発生する陸上の霧のことです。放射霧は特に、風の弱い晴れた夜によく発生します。比較的浅い霧ですが、空を覆い隠すほど濃厚になる場合もあります。
radio stack (無線機器)
航空機の計器盤の COM、NAV、トランスポンダが設置されている場所です。通常、縦に並べて、または積み重ねて装着されます。
radiosonde (ラジオゾンデ)
気球に搭載して、上空の気圧、気温、湿度を測定する計器です。
rate of climb (上昇率)
航空機が上昇する速度です。通常、1 分あたりのフィートで計測されます。場合によっては、降下率を含む意味で使われることもあります。上昇率は、昇降計 (VSI) で読み取れます。
rate of climb indicator (上昇率計)
「vertical speed indicator (VSI、昇降計)」を参照してください。
rate of sink (降下率)
「sink rate (降下率)」を参照してください。
rating (等級)
アメリカ合衆国の操縦士技能証明に追加される裏書条項のことです。パイロットが飛行できる航空機のクラス (陸上単発、計器、陸上多発、ヘリコプターなど) を指定し、気象が有視界飛行方式 (VFR) の最低基準に満たないときに、パイロットが機長として乗務できるかどうかを規定しています。
rawinsonde observation (レーウィンゾンデ観測)
上空の風の観測 (風向、風速) とラジオゾンデの観測 (気圧、気温、湿度) を組み合わせた観測のことです。風の観測は、無線方向探知機またはレーダーを使い、ラジオゾンデを追跡することによって行います。
recreational pilot certificate (娯楽用操縦士技能証明)
アメリカ合衆国で、基本的な航空機によって娯楽のみを目的として飛行することを意図する者に発行される操縦士技能証明です。娯楽用操縦士技能証明の資格を得るには、17 歳以上で、第 3 種航空身体検査証明を所有している必要があります。娯楽用操縦士技能証明を得るには、15 時間の飛行訓練を含め、30 時間以上の飛行時間を経験している必要があります。娯楽用操縦士には、多くの制限があります。たとえば、2 人以上の同乗者を乗せてはならず、飛行訓練を受けた空港から 50 海里以上離れることはできません。娯楽用操縦士が操縦できる航空機は、180 馬力以下で、4 座席、固定着陸装置を備えた基本的な単発機に制限されています。また、夜間や、10,000 フィート (3,000 m) 以上の高度、または視程が 3 マイル未満の場合は、飛行することはできません。
relative humidity (相対湿度)
現在空気中にある水蒸気量とそのときの温度に対する飽和水蒸気量との比を % で表したものです。暖かい空気は冷たい空気よりも多くの水蒸気を含むことができます。空気中の水蒸気量が一定のままで気温が上昇すると、相対湿度は減少します。逆に、空気中の水蒸気量が一定で気温が低下した場合、相対湿度は増加します。相対温度が 100% の場合、空気は “飽和” しているといい、そのときの温度を “露点” といいます。
relative wind (相対風)
翼面にぶつかる空気の速度と方向、つまり空気中での航空機や翼面の運動によって引き起こされる気流のことです。相対風は、航空機の航路と平行で、反対の方向に吹きます。相対風と翼弦線 (前縁と後縁を結んだ直線) との間の角度は、迎え角です。揚力は、相対風に対して垂直に働きます。
resolution (解像度)
コンピュータ画面に表示される画像の細かさの度合いのことです。
retractable gear (格納式着陸装置)
航空機の機体に引き込むことができる着陸装置です。固定式着陸装置よりもしくみが複雑ですが、格納することにより抗力が大きく減少します。
retreating blade stall (後退側ブレードの失速)
ヘリコプターを上から見た場合、ローター ディスクの左側のローター ブレードが臨界迎え角を超えて失速する状態です。高速で前進する際に最も起こりやすく、ヘリコプターの最高速度を制限する主な要因となっています。後退側ブレードの失速から回復するには、コレクティブ レバーを下げてローター ブレードの抑え角を小さくすると共に、速度を落とします。
reverse thrust (逆推力)
航空機が前に進む速度を下げるために、前方に向けるエンジン推力のことです。ターボジェット航空機では、エンジンの排気経路をふさぐように可動装置を伸ばすことで逆推力を発生します。高バイパス ターボファンでは、カウリングを移動することで逆推力を発生します。ターボプロップ エンジンでは、推力が逆になるようにプロペラ ブレードを動かします。
ridge (気圧の尾根、リッジ)
気象学において、細長くのびた気圧が比較的高い領域のことです。通常、風の流れの中で高気圧が最大に張り出した部分として明確に識別できます。ソアリングにおいては、上昇流を伴いやすい地形のことです。
ridge lift (尾根の上昇流)
風が尾根の側面に向かって吹いていて、上方向にそらされるときに生じる、上昇流の領域です。この状態では、高性能グライダー (セールプレーン) は、尾根と平行に飛ぶことによって上昇流に乗り、数時間にわたって飛行することができます。
rigid (固定型)
現代のヘリコプターで使われている 3 つの主要なメイン ローター型式のうちの 1 つです。固定型ローター システムには、3 つ以上のローター ブレードを使用します。これらのブレードは、別々にフラップ (上下に移動) して、揚力の不均衡を打ち消します。全関節型システムとは異なり、固定型ローター システムにはヒンジ (蝶番: ちょうつがい) がありませんが、ローターは別々に進んだり遅れたりできます。
固定型ローター システムは、たいてい、複合材料とチタンで作られ (したがって、製造に最もコストがかかります)、乗り心地は良くありません。しかし、低 G コンディションや地面共振の影響を受けにくく、また他のローター システムに比べて整備にコストがかかりません。
rime ice (樹氷)
小さな過冷却水滴が航空機の表面にぶつかって瞬間的に氷結付着することによってできる、白または乳白色の不透明なざらざらした氷の集合です。水滴が小さいときに層雲や軽い霧雨などの中で発生する着氷です。 最初の衝撃で凍らなかった水滴も、航空機の表面で広がる前に氷結します。凍った細かい水滴は間に空気を含んでいるので、乳白色をしています。重量は雨氷より軽いものの、不規則な形状と粗い表面により、翼面の効率をすぐに低下させてしまいます。
roger (ラジャー)
受信した無線通信を了解したことを知らせるために使う言葉です。
roll (ロール)
航空機の前後軸を中心とした回転のことです。パイロットは、エルロンを使って、ロール、つまり翼のバンク角を制御します。また、航空機の前後軸を中心として完全に回転させる曲技飛行のことも、ロールと呼びます。
roll cloud (ロール雲)
積乱雲の下方の前縁にある、濃密で水平の円筒形をした、付随的な雲です。ロール雲は、急速に発達する積雲近くでも見られ、乱気流の存在を示します。
rotary engine (ロータリー エンジン)
第一次世界大戦中の航空機に一般的に採用されていた、ピストン エンジンの一種です。固定クランク軸とクランク軸の周りを回転するシリンダがあります。ロータリー エンジンは、現代の星型ピストン エンジンや直列型ピストン エンジンの多くと比べて、軽量で、信頼性が高く、容易に冷却できますが、燃料消費が激しく、また回転慣性が大きいために、ときどき飛行機の操縦が難しくなります。
rotation (引き起こし)
離陸滑走の際に操縦桿または操縦輪を引いて、航空機の機首を地面から上げることです。
rotation speed (Vr、引き起こし速度)
離陸の際、パイロットが操縦桿または操縦輪を引いて航空機の機首を上げ始める速度のことです。
rotor (ローター)
ヘリコプターで、揚力やアンチトルクを発生する回転翼です。タービン エンジンの軸流コンプレッサーの可動部分のことも指します。
rotor cloud (回転雲)
大きな山岳障壁の風下に形成される、乱れた雲のかたまりです。この雲の中の空気は、その山の連なりに平行な軸の周りを回転しています。この雲は、激しい乱気流が存在する可能性を示します。
roundout (ラウンドアウト)
「flare (フレア)」を参照してください。
rudder (ラダー)
通常尾翼の垂直安定板に取り付けられる、可動操縦翼面のことです。ラダーは、飛行機をその垂直軸、つまりヨー軸を中心に運動させます。ただし、ラダーは航空機を旋回させるわけではありません。ラダーは、主として、旋回の際にバランスをとったり、飛行中にプロペラによって引き起こされるヨーを打ち消すために使用します。パイロットは、ラダー ペダルの左または右を踏み込むことによってラダーを動かします。このペダルは、操縦席の床に設置されています。通常の操縦操作では、パイロットは、エルロンとラダーを同時に使用して、バランスの取れた調和飛行を維持します。
run-up (ランナップ)
ほとんどのピストン エンジン機では、離陸に向けて滑走路に入る前にエンジンを高回転設定で運転する “ランナップ” を行い、マグネトーやキャブレターをテストし、特に真空ポンプ系統の吸引をチェックする必要があります。 飛行中に問題が発生するよりも、離陸前に見つける方がよいからです。
runway (滑走路)
航空機の離着陸用に設計、整備された地面です。
runway visual range (RVR、滑走路視距離)
パイロットが進入端から滑走路を見た場合に、見えなければならない水平方向の距離 (フィートまたはメートル単位) です。RVR は、明るい滑走路灯でも、他の物体でも、視覚的に確認できる最も遠くの物体まで距離で測られます。
S
sailplane (高性能グライダー、セールプレーン)
高性能の非動力航空機のことです。サーマルなどの上昇気流に乗ることによって、高度を維持したり上昇したりすることができます。
Santos-Dumont, Alberto (アルベルト サントス=デュモン)
1873 ~ 1932。ブラジル出身の軟式飛行船および飛行機の発明者で、ヨーロッパで最初の動力飛行を実現した人物。サントス=デュモンは、1898 年初頭に、自身初の気球飛行を行い、その後、世界で初めてエンジンを装備した気球で飛行しました。1906 年には、自作の箱形飛行機 “14-bis” でアメリカ合衆国外では初の動力飛行を行い、722 フィート (220 m) の飛行に成功しました。 1910 年に航空業界から引退した彼は、1932 年、飛行機の軍事利用に失望し、自殺によってその生涯を閉じました。
saturated adiabatic lapse rate (飽和断熱減率)
水蒸気で飽和した空気が、周囲との間で熱を授受することなく大気中を上昇するときに気温の低下する割合です。この値は気温によってさまざまであり、気温が低くなるほど値が大きくなります。
scan (スキャン)
IFR で飛行中に、飛行計器の順序を決めてスキャンする方法です。トラフィックを確認するとき、航空機の周りの空を順序だてて調べる方法のことも指します。
scud (飛雲)
乱層雲の下などに発生する、ちぎれた低い雲で、片層雲の集まりです。一般的には、低高度の雲全般および霧を意味します。雲の下の低い高度で飛行することを “飛雲飛行 (scud running)” といいます。
sea fog (海霧)
暖かい地表にあった空気がより冷たい水面上に移動したときに発生する、移流霧の一種です。
see and avoid (視認と回避)
有視界気象状態 (VMC) で飛行中のパイロットが、他の航空機を探して回避する責任のことです。
semimonocoque (セミモノコック)
航空機の機体 (胴体) 構造の一種で、構造的な負荷を外板と骨組みとに分散させます。
semirigid (セミリジッド、半関節型)
現代のヘリコプターで使われている 3 つの主要なメイン ローター型式のうちの 1 つです。半関節型ローター システムでは、2 つのローター ブレードがシーソーのように一体になってフラップ (上下に移動) して、揚力の不均衡を打ち消します。半関節型ローター システムは、整備にかかるコストが比較的低いのですが、低 G コンディションの影響も受けやすくなっています。また、フラッピング特性からマスト振動が起こることがあります。
settling with power (セットリング ウィズ パワー)
後退側ブレードの失速とも呼ばれます。ヘリコプターを上から見た場合、ローター ディスクの左側のローター ブレードが臨界迎え角を超えて失速する状態です。高速で前進する際に最も起こりやすく、ヘリコプターの最高速度を制限する主な要因となっています。後退側ブレードの失速から回復するには、コレクティブ レバーを下げてローター ブレードの抑え角を小さくすると共に、速度を落とします。
severe icing (強着氷)
着氷の種類にかかわらず、防氷装置または除氷装置を使っても急速に蓄積していく着氷すべてを指します。直ちに着氷空域から抜け出す必要があります。
severe turbulence (強乱気流)
気象通報およびパイロット レポートにおいて、高度または姿勢あるいはその両方に、大きく急激な変化を生じさせる乱気流のことを指します。一般に指示対気速度に大きな変動を生じさせます。航空機は一時的に操縦不能になることがあります。乗務員、乗客はシートベルトやショルダー ハーネスの圧迫を強く感じ、固定されていない物体は跳び回ります。大型航空機では、食事の給仕や歩行ができなくなります。
shaft horsepower (SHP、軸馬力)
ターボプロップ エンジンの出力単位です。SHP はプロペラの RPM と排気の駆動力で決まります。軸力は等価軸馬力 (ESHP) と呼ばれています。
shock wave (衝撃波)
気流が亜音速から超音速へと突然変化したときに生じ、気圧と気温の激しい上昇を引き起こします。航空機がマッハ 1 以上で進んでいるとき、衝撃波は、後方に向かい、円すい形を形成します。この円すい形が地球の表面に達すると、ソニック ブームと呼ばれる爆発音を引き起こします。
shower (しゅう雨)
積状雲からの降水で、積状雲からの降水で、急に降り出し急に止み、強さも空模様も急に変化するのが特徴です。しゅう雨性の降水には、雨、氷の粒、雪があります。
SIGMET (significant meteorological information) advisory (悪天候情報サービス、シグメット)
関係する航空機に対して発行される悪天候現象の情報です。
Sikorsky, Igor (イゴール シコルスキー)
1889 ~ 1972。ロシア生まれの航空機設計、製造者で、”ヘリコプターの父” とされています。シコルスキーは、20 歳のときに初めての自作のヘリコプターを完成させ、1913 年には、世界初の 4 発エンジンの飛行機を製作しました。1919 年にアメリカ合衆国に移住した後、他の亡命ロシア人と共に航空機メーカーを設立しました。シコルスキーの飛行船は、技術的に成功したにもかかわらず、財政的に失敗したため、ユナイテッド輸送会社 (ユナイテッド航空の前身) の援助を受け、彼はヘリコプターの分野に戻りました。1939 年、彼の VS-300 は世界初の実用ヘリコプターとなりました。
sink rate (降下率)
降下の速度です。通常、1 秒あたりのフィートで表されます。
simplified directional facility (簡易誘導設備)
非精密進入に使用される航法援助施設です。 ILS に似ていますが、ILS ほど精度が高くはありません。
skid (スキッド、外滑り)
旋回の割合がバンク角に対して大きすぎる旋回です。スキッドの場合、旋回計の一番下のボールが旋回の外側へと移動します。スキッドを修正するには、エルロンを使ってバンクを増大させるか、ラダー ペダルの圧力を減らすかまたはその両方を旋回の方向に行います。
slat (スラット)
翼の先端にある可動補助翼面です。スラットは空気の流れの中に拡張され、すきまを作って、翼の上面を滑らかに空気が流れるようにし、大きな迎え角での失速を遅らせます。
slewing (高速移動)
Flight Simulator において、航空機の方向、位置、または高度を、飛行せずにすばやく変更する方法です。
slip (スリップ、内滑り)
旋回の割合がバンク角に対して遅すぎる旋回です。スリップの場合、旋回計の一番下のボールが内側に移動します。スリップを修正するには、エルロンを使ってバンクを減少させるか、ラダー ペダルの圧力を増大させるか、またはその両方を、旋回の方向に行います。また、前向きのスリップとサイドのスリップを使って、着陸時の横風を修正し、また、対気速度を抑えながら航空機の降下率を上げることもできます。
slow flight (低速飛行)
航空機の操縦が可能な最低限の対気速度での飛行のことです。
solo (単独飛行)
1 人のパイロットだけで航空機を操縦する飛行のことです。
speed brakes (スピード ブレーキ)
最新式の航空機の 2 次制御装置で、対気速度がオーバースピードにならないようにしつつ、早く降下することができるように設計されています。スピード ブレーキは揚力に影響を与えたり、航空機のピッチ姿勢を変化させたりすることなく、抗力を発生させます。
spin (スピン、きりもみ)
航空機が失速して、激しくらせん状に旋転しながら降下する状態です。この特徴的な旋転は、片方の翼が失速したのに、もう片方の翼がある程度の揚力を生み出しているときに起こる、強いヨー モーメントの結果です。
spoilers (スポイラー)
飛行機の翼に取り付けられたパネルで、翼面の空気の流れを遮ります。スポイラーは、翼の揚力を減少させ、抗力を増加させます。スポイラーを使用することにより、ジェット飛行機はオーバースピードに陥らずに、すばやく降下することができます。また、着陸直後にも使用され、揚力を一気に捨て去ってブレーキ効率を高めます。また、高性能グライダー (セールプレーン) のパイロットは、スポイラーを使って、降下および着陸の際に降下率を制御します。
spool up (スプール アップ)
ジェット エンジンの出力を増大させることです。
spot plane (スポット)
Microsoft Flight Simulator の表示オプションの 1 つで、航空機が飛行している状態を、並んで飛行している別の航空機から眺めているように表示することができます。
squall (スコール)
最低 15 ノットからピークには 20 ノット以上に達する、1 分以上続く急な風速の増加です。突風よりも継続時間が長いのが特徴です。
squall line (スコール ライン)
前線を伴うことなしに、活発でしばしば激しい雷雨をもたらす、線状または帯状の不安定線のことです。スコール ラインは、寒冷前線前方の湿った不安定な大気でよく形成されますが、どの前線とも遠く隔たった不安定な大気でも発達することがあります。 スコール ラインは、航空機にとって最も危険な気象現象の 1 つです。通常急速に発達し、夕方に最大の強度に達します。スコール ラインは、非常に長く幅広い範囲に激しい気象をもたらすため、周囲を飛行したり通り抜けたりすることは困難であり、まるで空中に障害物が出現したようになります。
stability (aircraft) (安定性 (航空機))
一般に、物体に外力が加わったときにその物体が反応する程度のことです。航空機の安定性は、3 種類に分類されます。正の安定性 (positive stability) は、姿勢や出力の変化の後、安定した飛行状態に戻る傾向です。航空機は、一般に、正の安定性を示すように設計されています。中立の安定性 (neutral stability) を持つ航空機は、力が加わった後に新たな姿勢にとどまり、当初の状態に戻りません。 負の安定性 (negative stability) を持つ航空機は、当初の状態から逸れ、時間と共にその振れは増していきます。
また、安定性は、”静的” 安定性と “動的” 安定性に分類することもできます。静的な安定性は、平衡の状態に戻ろうとする初期の傾向です。動的な安定性は、時間に伴って振れが減衰することを示します。
stability (atmospheric) (安定度 (大気))
気団内の空気が垂直方向にどのくらい動くかの程度のことです。より正確には、空気のかたまりがその最初の高度からの移動に抗うような状態に、気温が垂直に分布した大気の状態です。
stabilizer (安定板)
「horizontal stabilizer (水平安定板)」および「vertical stabilizer (垂直安定板)」を参照してください。
stall (失速)
翼の上面において、通常の滑らかな空気の流れが乱れることによって突然揚力が失われることです。失速は、航空力学的現象であり、エンジンとは何の関係もありません。失速は、翼の迎え角が臨界迎え角と呼ばれる特定の角度に達したときに起きます。翼がいつ失速するかを決定するのは、翼と翼に向かってくる空気との角度であり、航空機の速度や、重量や、水平線に対するピッチ姿勢ではありません。実際、航空機は、どんな対気速度でも、どんな姿勢でも失速することがあります。
stall speed (失速速度)
特定の条件が重なったときに航空機が失速に至る速度です。航空機は、迎え角が臨界迎え角に達すれば必ず失速しますが、失速が起きる速度は、航空機の重量、荷重倍数、生み出される推力の量、バンク角、フラップおよび着陸装置の位置、その他の要因によっても変化します。
実際、航空機はいかなる対気速度でも失速します。これは速度にかかわらず、相対風 (航空機の航路に平行で、反対向きの風) と翼のなす角度が臨界迎え角に達したときにのみ、失速が起きるためです。
standard atmosphere (標準大気)
実際の大気の平均状態に基づいて定めた “標準状態” にあると仮定した大気です。標準大気の定義は、次のとおりです。平均海面における気温が摂氏 15°(華氏 59°)、地上気圧が 1,013.2 ヘクトパスカル (29.92 水銀柱インチ)、対流圏における気温減率が 1,000 フィートあたりおよそ摂氏 2°(華氏 3.6°) (1,000 m あたり摂氏 6.5°)、圏界面は高度約 36,000 フィート (11 km) で気温摂氏 -56.5°、成層圏 (高度約 80,000 フィート (24 km) まで) においては高度による気温の変化なし。
standard conditions (標準状態)
計算の基準として人為的に規定された標準の気圧です。気象学および航空力学において使用されます。各高度について標準の気圧と温度が定義されています。平均海面における標準状態は、29.92 水銀柱インチ (1,013 ヘクトパスカル) および華氏 59°(摂氏 15°) と定義されています。
Standard Terminal Arrival Route (STAR、標準到着方式)
IFR フライト プランに従って空港に到着する際の、効率的な経路を定めた飛行方式です。 STAR は航空交通管制を手助けするように作られています。
Standard Instrument Departure (SID、標準計器出発方式)
IFR フライト プランに従って空港を出発する際の、効率的な経路を定めた飛行方式です。SID は航空交通管制を手助けするように作られています。
standard pressure (標準気圧)
計算の基準として人為的に規定された標準の気圧です。気象学および航空力学において使用されます。あらゆる高度において標準の気圧が定義されています。平均海面では、標準気圧は 29.92 水銀柱インチ (1,013 ヘクトパスカル) です。
standard rate turn (標準旋回)
毎秒 3°、または 1.5°の旋回です。 小型機では一般に、毎秒 3°の標準旋回率を使用します。この旋回率では、2 分間で 360°旋回することになります。 大型で、高速な航空機は、一般に、毎秒 1.5°の割合で旋回し、4 分間で 360°旋回します。計器飛行方式 (IFR) で飛行しているパイロットは、標準旋回率を使用します。これにより、安定した、制御しやすい旋回ができます。標準旋回は、定針儀が故障している場合にも便利です。この場合、パイロットは標準旋回のバンク角をとり、旋回の時間を計算することによって、特定の針路に向けて正確な旋回を行うことができます。
standard temperature (標準気温)
航空機の性能、真対気速度、真高度などの計算の基準として人為的に規定された標準の気温です。航空技術者やパイロットが使用します。標準気温は、ISA (International Standard Atmosphere、国際標準大気) の定義の一部です。平均海面での標準気温は華氏 59 度 (摂氏 15°) と定義されています。乾燥した空気の標準気温は、高度が 1,000 フィート (305 m) 上がるたびに華氏約 3.5°(摂氏 2°) ずつ低下します。標準気温が華氏 32°(摂氏 0°) となる高度は約 7,500 フィート (2,300 m) です。
standardized instrument cluster (標準計器配列)
航空機の計器盤において最も一般的に使用される 6 つの飛行計器の配列の、業界で認知された標準です。これらの計器は 2 列に配置されます。上の列には、対気速度計、水平儀、および高度計があります。下の列には、旋回計、定針儀、および昇降計があります。
stationary front (停滞前線)
2 つの気団の勢力が伯仲し、動きがほとんどなく停滞している前線のことです。 境界面の風は、前線の帯とほぼ平行して流れます。通常は停滞前線のこう配は比較的緩いのですが、2 つの気団の風と密度の違いにより、こう配が急になることもあります。
statute mile (sm、法定マイル)
5,280 フィート (1,609 m) の距離です。アメリカ合衆国では、法定マイルは気象通報において視程を表すときに使用されます。速度と距離は、海里 (6,076 フィート、1,852 m) と 1 時間あたりの海里数 (ノット) で表します。
steady-state flight (定常飛行、安定状態飛行)
対立する 2 つの力 (揚力と重量、推力と抗力) が均衡している飛行状態です。航空機が一定の高度と対気速度で飛行しているとき、または一定の対気速度で飛行しながら一定の割合で上昇または降下しているとき、その航空機は安定状態飛行にあります。
steam fog (蒸気霧)
暖かい水面の上に冷たい空気が流れてきたときに発生する霧です。
stick (操縦桿)
一部の航空機に採用されている棒状の操縦装置のことです。通常、パイロットの両ひざの間にあり、前後軸と左右軸に関して航空機を制御するのに使用します。機能はヨークと同じです。
stick shaker (操縦桿振動機)
一部の航空機で、制御支柱を振動させることによって、失速しつつあることをパイロットに警告するメカニズムです。
STOL
“short takeoff and landing (短距離離着陸)” の略語で、滑走路の短い飛行場から運航可能な航空機のことです。
stop and go (ストップアンドゴー)
タッチアンドゴーに似た着陸方法ですが、航空機が完全に停止する点が異なります。
straight-and-level flight (水平直線飛行)
マスターすることが難しい操縦の 1 つです。綱渡りをするときのように、水平直線飛行では空中でふらつかないために、滑らかで小刻みな修正を行うことが必要です。水平直線飛行をマスターするには、一定の高度と一定の針路を保つ技能が必要です。
stratiform (層状雲)
水平方向に広範囲に広がる雲のことです。層状雲は大気が安定しているときに発生し、小さな水滴で構成されています。
stratocumulus (層積雲)
灰色や白色の小片または層が集まってできている、低い層状型の雲です。雲塊は互いにくっついていることも、離ればなれになっていることもあります。円形または球状をしており、頂上は比較的平らになっています。
stratosphere (成層圏)
地球の大気圏における、対流圏および圏界面よりもさらに上の層のことです。緯度と季節により変わりますが、一般には高度 5 ~ 10 マイル (8 ~ 16 km) より上の領域を指します。成層圏は気温と風が比較的一定な領域で、高度約 30 マイル (48 km) まで続き、その上の中間圏と接しています。
stratus clouds (層雲)
大気が安定しているときに生成される、雲底の高さがほぼ一様な灰色の低い層状の雲です。縁のほつれたちぎれ雲になることもあります。降水をもたらすことはほとんどありませんが、霧雨や雪片を降らせることもあります。
student pilot certificate (訓練操縦士技能証明)
アメリカ合衆国で、訓練過程にあるパイロットに対して発行される操縦士技能証明です。動力飛行機の訓練操縦士技能証明の資格を得るには、年齢 16 歳以上で、第 3 種以上の有効な航空身体検査証明を所有している必要があります。訓練操縦士技能証明の有効期間は、24 か月間です。訓練操縦士は、旅客を運送すること、航空機を操縦することによって報酬または賃金を得ること、またアメリカ合衆国外で飛行すること (アラスカとカナダの一部地域を除く) はできません。 訓練操縦士は、視程が 3 マイル (夜間は 5 マイル) 以上で、地表が常に視認できる場合にのみ、飛行することができます。また、単独飛行、クロスカントリー飛行、またはある種の管制空域の飛行をする前に、公認飛行教官から特定の承認を得なくてはなりません。 このようにして受けた承認は 90 日ごとに更新する必要があります。
S turn (S 字ターン)
尾輪式航空機 (テイルドラッガー) のパイロットが使うタキシング テクニックです。テイルドラッガーが地上に静止しているときの姿勢では、機首によって前方の視界がさえぎられます。左右にターンすることで、パイロットは前方を確認することができます。
訓練飛行中に使用されるテクニックを指すこともあります。訓練生は、均一な旋回を上達するために、道路などの地上の固定基準物を横切る S 字旋回を練習します。
sublimation (昇華)
液体になる過程を経ずに、氷が直接水蒸気に変化したり、水蒸気が直接氷に変化したりすることです。 水蒸気が直接固体になると、雪または氷の結晶ができます。
subsonic (亜音速)
音速以下の速度で、マッハ 1 未満を指します。
supercharger (過給機)
ピストン エンジンに供給される空気、または空気と燃料の混合気の密度を増加させるために利用される圧縮機です。機体が上昇すると、エンジンに流入する空気密度は低下します。過給機やターボチャージャーを装備していない場合は、エンジンの出力は徐々に落ちてきます。通常の吸気式のエンジン、つまりブースターのないエンジンは、高度 8,000 フィート (2,438 m) で効率が最大になります。航空機の高度が 18,000 フィート (5,486 m) に達すると、空気密度は平均海面 (海抜高度) における値の約半分となるので、エンジンを効率的に作動させるには過給機やターボチャージャーが必要となります。
supercooled water (過冷却水滴)
摂氏 0°(華氏 32°) よりも温度が低い水滴のことです。過冷却水滴が機体の翼や構造物などの空気にさらされている物体に当たると、その衝撃によって氷結が誘発されます。 過冷却水滴が雲の中に大量に存在する現象が見られるのは、多くの場合、気温が摂氏 0 ~ 15°のときです。気温が下がるにつれて量は減少しますが、強い上向きの気流があるときは、これよりはるかに気温の低い高高度にまで運ばれることもあります。 気温が摂氏 -40°以下で過冷却水滴が観測されたこともあります。
supersonic (超音速)
音速を超える速度のことです。マッハ 1 以上を指します。
surface inversion (地表逆転)
地表で起こる気温の逆転のことです。特に夜間、地面からの放射により、地表付近の空気が冷やされることによって起こります。
surface visibility (地上視界)
地上から目の高さで観察できる視界です。
synchrophaser (同調装置)
多発機のすべてのエンジンのプロペラ回転数を自動的に調節する装置です。各プロペラのマスター ブレードの回転中の位置が、他のプロペラのマスター ブレードの回転中の位置と相対的に揃うようにします。
プロペラの回転が同期していないと、キャビンの雑音が高くなり、洗濯機のような音がします。第二次世界大戦中、プロペラを同調させずに操縦していたパイロットたちは、”洗濯機チャーリー” というあだ名で呼ばれていました。
T
tachometer (エンジン回転計)
エンジンの回転速度を表示する計器で、1 分間あたりの回転数 (RPM) で示されます。 180 馬力以上のエンジンには、一般に、どのような対気速度でもエンジン出力を効率良く使用できるように、ブレード (羽根) の角度を変化させることのできる定速プロペラが使われています。
taildragger (テイルドラッガー、尾輪式航空機)
主輪が重心の前にあり、小型の回転する車輪か操縦可能な車輪が機体の後部を支える航空機です。三輪式着陸装置が装備されている航空機とは異なり、前輪はありません。テイルドラッガーは、航空の初期には一般的だったので、従来式着陸装置の航空機と呼ばれることがあります。地上でのテイルドラッガーのハンドルさばきは、三輪式着陸装置の航空機に比べると油断できず、特殊な訓練と技能が必要です。
tailwind (追い風)
航空機の進行方向に吹く風です。
takeoff roll (離陸滑走)
離陸の際、飛行機が滑走路上で加速する過程のことです。
taxi (タキシング)
地上で自分の動力によって、航空機を移動させることです。
temperature-dew point spread (露点差)
気温と露点の温度差のことです。この値が小さくなると、雲および霧が発生しやすくなります。地上ではこの差がきわめて大きくても、高度が高くなると気温は下がるので、露点差が小さくなり、雲が形成されることがあるということに注意してください。露点差が華氏 5°(摂氏 2.8°) 以下で、この差がだんだん小さくなるときは、霧に対して特に警戒する必要があります。
temperature layer (気温のレイヤ)
Flight Simulator では、気象オプションを設定することができます。設定できるオプションには、特定高度における気温および昼夜の気温変化などがあります。[気象の詳細設定] ダイアログ ボックスの各タブを選択してください。 4 種類の気象のレイヤを作ることができるので、密度高度および機体の性能が気温によってどのような影響を受けるのかを体験することができます。
terminal velocity dive brakes (終端速度ダイブ ブレーキ)
「spoilers (スポイラー)」を参照してください。
tetrahedron (テトラヒドロン)
軽い物質で作られ、ピラミッド型をしている、風の方角を示す大きな指示器です。
thermal (サーマル、熱上昇気流)
太陽が地球表面を熱することにより、空気が柱状に上昇することです。高性能グライダー (セールプレーン) のパイロットは上昇気流を利用して上昇したり高度を維持したりします。
threshold (滑走路末端)
着陸に使用できる滑走路面の手前側の端のことです。実際の滑走路の末端と一致することもありますが、滑走路の一部が着陸に使用できない場合には別の場所になります。滑走路末端は、有視界着陸用滑走路では 1 本の白線で、計器着陸用滑走路では、中央線の両側にそれぞれ 4 本ずつ、8 本の平行する白線でマークされています。
throttle (スロットル)
エンジンの出力を直接決定する、コックピットの制御装置のことです。スロットルは実際には、ピストン エンジンでは、キャブレターまたは給気装置に流入してくる空気の量を制御します。燃焼混合気を作り出すために、キャブレターまたは燃料計量装置により適量の燃料と空気が混合されます。スロットルを完全に開くと、流入する空気の量が最大になり、発生する出力も最大になります。スロットルを完全に閉じると、ごく微量の空気しか流入しないので、エンジンの出力も最小になります。
thrust (推力)
プロペラまたはジェット エンジンにより生じる前方へと働く力のことで、この力によって機体は大気中を前方に進みます。飛行に関する 4 つの基本的な力の 1 つで、抗力と反対方向に働く力です。
thunderstorm (雷雨)
通常は局地的な嵐で、必ず積乱雲の中で発生します。常に電光と雷鳴を伴います。
tie-down (駐機位置)
空港の駐機場で、飛行機を駐機し、ロープやチェーンで固定しておく場所のことです。飛行機は空を飛ぶように設計されているため、風が強いときに転倒したりすることのないよう、固定しておく必要があります。
tilt-rotor (チルトローター機)
水平から垂直の間で傾けることができるローターを備えた垂直離陸機です。たとえば、V-22 オスプレイがこの種類の航空機です。
torque (トルク)
回転を起こすか、または起こさせようとする力です。
touch and go (タッチアンドゴー)
着陸滑走中に航空機を完全に停止させないで、出力を上げてもう一度離陸する着陸方法です。パイロットの練習と訓練のためによく実施します。
tower (タワー、管制塔)
航空交通管制官が、空港に隣接した交通区域内の交通に指示を出す、空港の建物です。キャブと呼ばれる最上階は、通常、全面ガラス張りで 360°の視界が開けています。
tower visibility (管制塔視程)
タワー (管制塔) により判断された有効視程です。
towering cumulus (搭状積雲)
横幅よりも高さの方が長い、急速に大きくなる積雲です。
trace icing (微着氷)
種類にかかわらず、昇華による消散とほぼ同じ割合で堆積する着氷のことです。微着氷は、防氷装置または除氷装置が装備されていない航空機でも、1 時間以上着氷地帯を飛行するのでなければ、危険とはされていません。
track (航跡)
航空機が飛行中にたどる経路です。
trade winds (貿易風)
亜熱帯高気圧帯から赤道付近に向って吹き込む、一定の東寄りの卓越風です。北半球では北東、南半球では南東の風になります。
traffic (トラフィック)
自機と同一空域に入ってくる可能性がある他の航空機のことです。
traffic pattern (トラフィック パターン)
空港での離着陸のために定められた、交通の流れのことです。イギリスでは、”サーキット” と呼ばれることもあります。完全な着陸パターンは、ダウンウィンド レグ、ベース レグ、およびファイナル アプローチを飛行するというものです。離陸した航空機は一般にアップウィンド レグとクロスウィンド レグを飛行して、空港のトラフィック パターンから離脱します。
trainer (練習機)
パイロットの訓練に使う航空機です。通常は単発の軽航空機ですが、そうでない場合もあります。パイロットの訓練用に普及しているモデルには、セスナ 152、172、および 182 があります。
transmissometer (透過率計)
大気中の光の透過率を測定する計器システムです。透過率は自動または手動で、視程か滑走路視距離 (RVR) またはその両方に変換されます。
translating tendency (横流れ)
ヘリコプターで、機体がテイル ローターの推力で横にドリフトする傾向のことです。
transonic (遷音速)
音速に近い速度で、この速度では亜音速と超音速の両方の気流状態が同時に存在します。遷音速の速度は、マッハ 0.8 からマッハ 1.4 です。
transponder (トランスポンダ)
航空交通管制 (ATC) レーダーからの信号を受信し、パイロットが設定した識別コード (スクォーク) を返す、航空機用のトランシーバです。スクォーク コードは、各機体の情報を航空交通管制官のレーダー画面に表示するために、コンピュータが使用します。 最近の航空機のほとんどには、トランスポンダ コードと一緒に機体の高度を伝える高度エンコーダが装備されています。アメリカ合衆国では、航空交通管制 (ATC) を利用していて特定のコードを ATC から割り当てられている場合を除いて、有視界飛行方式 (VFR) で飛行する航空機はスクォーク コード 1200 で応答します。計器飛行方式 (IFR) で飛行する場合は、ATC により、すべての航空機にトランスポンダ コードが割り当てられます。
transverse flow effect (誘導流効果)
ヘリコプターが前進中、あるいは風を受けてホバリングしているときに、ローター ディスクの後部の揚力が減少することです。
tricycle-gear (三輪式着陸装置)
前車輪および 2 つの主車輪を持つ着陸装置です。三輪式着陸装置を持つ航空機の重心位置は主輪よりも前方にあるので、2 つの主輪と尾輪を持つ尾輪式 (テイルドラッガー) よりも地上の安定性ははるかに高くなります。
trim (トリム)
操縦翼面 (通常はエレベータ) にある可動性のタブを調整することで、操縦棹に加え続ける力を少なくすることです。 トリムが必要になるのは、機体の速度によって操縦翼面上を流れる空気の量が変化するためです。トリムがないと、パイロットは特定の速度やピッチ姿勢を維持するために、操縦輪や操縦桿に対して力をかけ続けなくてはなりません。大型の航空機には、エルロンやラダーのトリムも装備されています。
tropopause (圏界面)
対流圏と成層圏の境を形成する大気中の薄い層のことです。圏界面を境にして気温の減率が急に変化します。圏界面の高度は、赤道上空で約 65,000 フィート (19.8 km)、北極または南極の上空で約 20,000 フィート (6,096 m) と、場所により異なります。 圏界面付近では気温と風が激しく変化します。風速は一般に圏界面付近で最大になります。このような強風によって、狭い帯域のウィンド シアが発生し、危険な高高度での乱気流が発生する原因となります。
troposphere (対流圏)
地表面から平均高度 7 マイル (11 km) あたりまでの大気の層のことです。ほとんどの気象現象は対流圏で起こります。対流圏では、高度が 1,000 フィート (305 m) 上がるたびにおよそ摂氏 2°(華氏 3.6°) の割合で気温が低下します。対流圏の高度は緯度および季節により異なります。北極および南極の上空では高度 20,000 フィート (6,096 m) 前後ですが、赤道上空では 65,000 フィート (19.8 km) 前後です。また、冬よりも夏の方が対流圏の高度が上がります。対流圏とその上の最も高い層の成層圏の間には、圏界面と呼ばれる薄い層があります。
trough (気圧の谷)
気象学では、両側よりも気圧が低くなっている領域のことです。気圧の谷は、低気圧による風の湾曲が最大になる地域と重なっていることが多く、ほとんど同義と考えられています。
true airspeed (TAS、真対気速度)
大気に対する機体の実際の速度です。 機体が上昇すると、大気は薄くなります。そのため、高度が高くなるにつれて、指示対気速度は減少する傾向にあります。大気中を動く機体の実際の速さを知るために、パイロットは機体の現在の気圧高度と機体の外の気温に基づいて、TAS を計算します。航法上の問題を解決し、フライト プランを提出するために、パイロットは TAS を熟知していなくてはなりません。一般に、指示対気速度が同じであれば、高度が 1,000 フィート (305 m) 上がるたびに真対気速度は約 2% 増加します。このため、高度 10,000 フィート (3,050 m) を飛行している航空機の指示対気速度が 100 ノットであれば、その航空機は実際には 120 ノットで飛行していることになります。
true altitude (真高度)
平均海面からの航空機の実際の高度を指します。真高度は高度計に表示される高度 (指示高度) に対し、標準気温とのずれを修正したものです。ある指示高度における気温がその高度における標準気温よりも高い場合、通常の圧力よりも高い圧力が機体の高度計に感知され、実際に飛行している高度よりも低い高度が表示されます。ある高度における気温が標準気温よりも低い場合、通常より低い圧力が高度計に感知され、実際に飛行しているよりも高い高度が表示されます。標準気温とのずれは、通常は高度計にわずかな誤差を生じさせるだけですが、山の多い地形上を飛行する際に視認できる目印がなかったり、標準気温と気温に大幅な温度差がある場合には、パイロットは障害物がないことを確認するために機体の真高度をチェックしなければなりません。
true north (真北)
地球の地理的北極にまっすぐに向いた針路または航路です。地球の磁北極は地理的な北極からずれているため、航空図上に描かれた航路は、通常真北を示す経度線を基準にしています。航法上の問題を解決するため、パイロットは、真方位や真針路を、航空機のコンパスを参考にして飛行できる磁方位や磁針路に変換します。真北と磁北の角度の差を、”磁差” と呼びます。磁差の実際の値は、機体が地球上のどこにいるかによって決まります。多くの気象通報や予報で使われる風向は、真北を基準にしています。
turbine (タービン)
ジェット エンジンまたはターボプロップ エンジンの、入ってきた空気を圧縮するファンの部分です。
turbine inlet temperature (TIT、タービン温度)
空気が、タービン エンジンのタービン吸気口のガイド羽根か、ターボチャージャー エンジンの最初の段階に来たときの温度です。TIT はターボ エンジン内部の最高温度で、エンジン出力を制限する要因です。
turbocharger (ターボチャージャー)
ピストン エンジンについている装置で、高高度におけるエンジン出力を維持するためにエンジンに流入する空気を圧縮するものです。エンジンから出る排気ガスにより、ターボチャージャーのタービンが高速で回転します。タービンと同じシャフトに取り付けられたコンプレッサーは、吸気マニフォルドに流入する空気を圧縮して、外界の空気の密度が高度に伴って低下する分、エンジン出力を “ブースト” します。 ターボチャージャーを使用すると、エンジンに流入する空気の温度が上昇するので、パイロットはエンジンの温度を注意深く監視しなければなりません。
turbofan (ターボファン)
ジェット エンジンの一種です。ターボファン エンジンでは、流入する空気の大部分は、大きなファンによって加速されますが、燃焼室を通過しません。エンジンに入るほとんどすべての空気が燃焼室を通過するターボジェット エンジンは、ほとんどがターボファン エンジンに代わりました。ターボファン エンジンは、ターボジェットよりもずっと効率的で、はるかに静かに作動します。
turbojet (ターボジェット)
ジェット エンジンの一種です。ターボジェット エンジンでは、エンジンに流入する空気の大部分が、いくつかの圧縮タービンを通過して、燃焼室に入ります。ターボジェット エンジンでは、エンジンの推力の大部分が排気流によって得られます。 ターボジェット エンジンのほとんどが、より静かで効率的なターボファン エンジンに代わりました。
turboprop (ターボプロップ)
プロペラを駆動して推力を発生させるジェット エンジンです。 ターボプロップ機は、ターボジェット機に比べて騒音が低く燃焼する燃料の量も少ないのですが、効率的に飛行できるのは時速約 640 キロ (400 マイル) までです。 プロップジェットとも呼ばれます。
turn coordinator (旋回計)
6 つの主要飛行計器の 1 つで、旋回率、および機体が内滑りや外滑りをしていないか、つりあいのとれた旋回をしているかといった旋回の状態を表示します。最近の軽飛行機のほとんどで、同じ機能を持つ “指針とボール” に代わって、旋回計が採用されています。
TWEB
“transcribed weather broadcast (録音気象放送)” の略語です。アメリカ合衆国のフライト サービス ステーション (FSS) が作成する気象通報と予報の録音メッセージで、多くの航法機関 (特に VOR) が放送しています。航行中のパイロットは、TWEB 放送を聴いて最新の気象情報を知ることができます。
type certificate (型式証明)
ある航空機やエンジンの設計が、航空機の認可および試験を統轄する法規に規定されている、すべての基準を満たしていることを証明する公文書です。アメリカ合衆国では、FAA により、普通、実用、輸送、曲技、実験、期限付、制限付、仮の型式証明が発行されています。
type rating (型式等級)
アメリカ合衆国において、重量機、ターボジェット機、回転翼機などを操縦するときに操縦士技能証明に加えて必要な、機種ごとの認可です。最大離陸重量が 12,500 ポンド (5,670 kg) を超えるすべての航空機、およびすべてのターボジェット機 (最大離陸重量にかかわらず) には、型式等級が必要とされています。機長としてヘリコプターに乗務するのに定期運送用操縦士技能証明が必要な場合は、型式等級も必要です。
U-Z
U
ultralight (超軽量動力機)
娯楽用に設計された軽量飛行機です。イギリスでは “マイクロライト” と呼ばれることもあります。アメリカ合衆国では、超軽量動力機は FAA による認可の対象ではないので、飛行するにあたって操縦士技能証明は必要ありません。アメリカ合衆国の法規 (FAR Part 103) によれば、超軽量動力機と認められるのは空虚重量が 254 ポンド (115 kg) 以下で、エンジンが付いている場合はさらに搭載可能燃料が 5 ガロン (18.9 リットル) 以下、最大出力での水平飛行時の最高速度が 55 ノット、動力をオフにした際の失速速度が 24 ノット以下のものです。
uncontrolled airspace (非管制空域)
航空交通管制 (ATC) 業務が行われておらず、またどんな気象条件でも、飛行の際に ATC の許可を必要としない空域のことです。
uncoordinated flight (非調和飛行)
旋回、プロペラの作用および後流、または多発機における動力の不均衡によって生じた、ヨーの力が原因で起こる内滑りまたは外滑り飛行のことです。旋回計の傾斜計 (ボール) により、ヨーの際の力のつりあいが表示されます。ボールが旋回に対して内側に動く場合は、機体は内滑り (スリップ) しています。ボールが旋回に対して外側に動く場合は、機体が外滑り (スキッド) しています。
undercast (アンダーキャスト)
その雲の層より上から見た、連続した雲の層のことです。
under the hood (フード装着)
「hood (フード)」を参照してください。
UNICOM
パイロットに助言を提供するために空港に設置された民間無線局です。UNICOM は交通管制には使えません。
updraft (上昇流)
上方への局地的な大気の流れのことです。
upslope fog (滑昇霧)
昇り斜面にぶつかった空気が上方へ向かって流れ、初めの露点またはそれ以下に冷却される際に形成される霧です。滑昇風が止むと、霧は消散します。放射霧とは異なり、滑昇霧は曇った空の下で形成されることがあり、非常に濃厚で、高高度まで広がることがあります。
upwind (アップウィンド)
標準トラフィック パターンで、離陸時の滑走路に一直線に合ったレグです。航空機は、クロスウィンド レグへの 90°旋回を行うまではアップウィンド レグを飛行していることになります。
useful load (有効搭載量)
航空機の最大許容重量から自重を引いた値です。有効搭載量には、燃料、オイル、乗務員、乗客と手荷物、およびその他の荷物の重量も含まれます。
UTC (Universal Coordinated Time、協定世界時)
航法に利用されている公式時間です。グリニッジ標準時または国際標準時 (GMT) と呼ばれることもあります。UTC は 24 時間制で、たとえば午後 6 時は 1800 となります。 出発および到着時刻、航空管制承認、気象通報および予報の時刻、その他の航空上の時間に関する情報は、すべて UTC で表されます。
V
variometer (バリオメーター)
上昇気流の中で飛行しているときに、上昇力の強さを知るのに便利な計器です。航空機の昇降率を示す動力飛行機の昇降計とは異なり、バリオメーターはグライダーが移動するときの上昇気流の速度を補正して表示します。
vector (ベクター)
管制官からパイロットに、ナビゲーションやトラフィック回避の目的で指示される針路です。
vertical axis (垂直軸)
航空機の中心を貫く垂直な仮想線です。垂直軸を中心とした回転は “ヨー” といい、ラダーによって制御します。
vertical speed indicator (VSI、昇降計)
6 つの基本飛行計器のうちの 1 つで、これにより機体の上昇率、降下率が通常は 1 分あたりのフィートで表示されます。RCI (上昇速度計)、または VVI (Vertical Velocity Indicator、昇降速度指示計) と呼ばれることもあります。ほとんどの大型機には、この計器をより精巧にした “IVSI (instantaneous vertical speed indicator、瞬間昇降計)” が装備されており、高度の変化に対して即座に反応します。
vertical stabilizer (垂直安定板)
航空機の垂直尾翼のことです。”フィン” と呼ばれることもあり、ほとんどの航空機に取り付けられています。垂直安定板は、ラダーと共に垂直軸 (ヨー軸) 周りの動きを制御し、方向を安定させます。
vertigo (空間識失調)
さまざまな神経器官により、脳に誤った情報が伝えられてしまい、一時的に空間に関して混乱を起こした状態のことで、”空間的方向感覚の失調” ともいいます。 空間識失調が起きるのは、一般に、雲や暗さのためにパイロットが地上またはその他の参考物が見えないときです。 旋回などの操縦の結果、内耳にある三半規管などの神経器官を合わせた前庭器官が、機体の方向や動きに関して相反する信号を送ることが原因です。これらの感覚を克服するための目に見える参考物がないと、パイロットはすぐに方向感覚を失い、機体が水平直線飛行をしているのか、旋回、上昇、降下しているのかを認識できなくなります。空間識失調を回避または克服するには、飛行計器を使って機体の姿勢を確認し、制御を維持しなければなりません。
very high frequency (VHF、超短波)
民間航空において主要な無線航法および通信に利用されている無線周波数帯です。音声通信には 118.0 MHz ~ 136.975 MHz の周波数帯が割り当てられ、VOR には 108,0 MHz ~ 177,95 MHz の周波数帯が割り当てられています。
very high frequency omnidirectional radio range (VOR、超短波全方向式無線標識)
360 本のラジアルの方向に信号を発信する地上無線標識のことです。航空路を定義するのに使われているラジアルもありますが、パイロットはラジアルのいずれかをトラッキングすることにより、地面に対して特定の経路を飛行することができます。VORは VHF 帯の 108.0 MHz から 177.95 MHz 周波数帯を利用しています。今日では衛星による航法システムの利用が急速に拡大されていますが、VOR は今も主要な電子航法システムとして、利用されています。
VFR sectional charts (VFR 区分航空図)
有視界飛行方式 (VFR) で飛行するパイロット向けに発行されている航法図です。航法援助施設、ランドマーク、ヴィクター航空路、地形高度、および VFR 飛行に関連するその他の重要情報が記載されています。
Victor airways (ヴィクター航空路、VOR 航路)
低高度 (18,000 フィート未満) 用の航法無線信号によって示される航空路です。空のハイウェイと呼ばれる場合もあります。高高度用の航空路には、ジェット航空路が使用されます。
view-limiting device (視野制限装置)
「hood (フード)」を参照してください。
virga (尾流雲)
雲から落下した水滴または氷晶が、地面に到達する前に蒸発して、しま模様や筋のような形を呈するもののことです。
virtual airline (バーチャル エアライン)
フライト シミュレータのパイロットが自分達のために Web 上に作成したエアラインです。バーチャル エアラインは、バーチャル パイロットの採用、訓練、担当路線の割り当てなどの活動を通じて商用航空の世界をシミュレーションしています。近年、バーチャル エアラインに対する関心が高まっており、運航が相当綿密なエアラインもいくつかあります。
visibility (視程)
日中は明かりのついていない目立つ物体を、夜間は明かりのついている目立つ物体を目視確認できることです。 視程は距離で表されます。距離単位は、陸上マイル、百フィート、メートルのいずれかです。大気状態により視程距離は変わります。
visual approach slope indicator (VASI、視認進入角指示灯)
ある滑走路にアプローチするために好ましいグライド スロープと航空機の位置関係を示す照明システムです。
visual flight rules (VFR、有視界飛行方式)
パイロットが目視によって航行し、障害物や他の航空機を回避できる視程と雲高のときに、飛行を管理する “空の交通法規” のことです。アメリカ合衆国では、一般に、視程が 3 マイル (5 km) 以上あり、上の雲から 500 フィート (152 m) 以上、下の雲から 1,000 フィート (304 m) 以上離れた安全な高度でパイロットが運航でき、航空機から水平方向に 2,000 フィート (608 m) 以内に雲がないときに VFR 飛行が認められています。VFR の具体的な要件は、空域の種類、時間帯、および地形の高さによって異なります。
visual meteorological conditions (VMC、有視界気象状態)
有視界飛行方式 (VFR) による飛行が可能な気象状態のことです。アメリカ合衆国の管制空域においては、VMC は概して雲高が 1,000 フィート (305 m) 以上、および視程が 3 マイル (5 km) 以上であることを意味します。
VOR approach (VOR アプローチ)
VOR をイニシャル アプローチ フィックスとする非精密計器進入です。
VOR hold (VOR ホールド、待機)
VOR 局上でのホールディング パターンです。
VOR intercept (VOR インターセプト)
VOR 局に周波数を合わせ、現在位置を確認し、VOR 局に向かって旋回することです。
vortices (渦)
揚力を発生させる主翼および補助翼によって発生する、空気が回転する流れのことです。一般には、翼端では、翼下面の高圧の空気が翼上面の気圧の低い領域部分に向かって、らせん状に上昇するために、渦が発生します。この渦は、揚力の副産物である誘導抗力の主要原因となります。 大型で重い航空機により生じる渦は “ウェイク タービュランス” といい、特に離着陸の際などは小型機にとって非常に危険なものです。
V-speeds (V 速度)
特定の飛行条件での速度を示すために使用されます。
- V1 (takeoff decision speed: 離陸決定速度) – 離陸中止 (RTO) になっても、航空機を滑走路上で停止することができない速度です。
- V2 (minimum takeoff safety speed: 安全離陸速度) – 離陸直後に片方のエンジンが故障しても安全に飛行できる最低速度です。
- VA (design maneuvering speed: 設計運動速度) – 航空機に過度の荷重をかけることなく、操縦舵を最大舵角にできる最大速度です。
- VAPP (approach climb speed: アプローチ速度) – アプローチ姿勢で使用される対気速度です。
- VFE (maximum flap-extended speed: 最大フラップ下げ速度) – フラップを下げた状態で飛行できる最大速度です。
- VLE (maximum landing gear-extended speed: 最大着陸装置下げ速度) – 着陸装置を下げた状態で飛行できる最大速度です。
- VLO (maximum landing-gear operating speed: 最大着陸装置操作速度) – 着陸装置の出し入れの操作を行うことができる最大速度です。
- VMC (minimum control speed: 最小操縦速度) – 2 基のエンジンのうちの 1 基が停止し、他の 1 基の出力が最大のときに、航空機を制御できる最小速度です。
- VMO/MMO (maximum operating limit speed: 最大運用限界速度) – いかなる飛行条件でも超えてはならない速度です。 VMO は KIAS (ノット) で表します。MMO はマッハ数で表します。
- VNE (Never-exceed speed: 超過禁止速度) – 対気速度計の赤い線の速度です。
- VN (maximum structural cruising speed: 最大巡航速度) – 乱気流の中での飛行で許される最大対気速度です。対気速度計の黄色い弧の下限です。
- VR (rotation speed: ローテーション速度) – 離陸滑走中にパイロットが機首を引き起こして滑走路を離れる速度です。
- VREF (approach speed: 着陸基準速度) – この速度は、機体重量や各種条件に基づいて決まります。
- VS (stalling speed: 失速速度) – 航空機を制御できる最低安定飛行速度です。
- VSO (stalling speed: 失速速度) – 着陸体勢での最低安定飛行速度です。
- VTT (target threshold speed: 目標着陸進入速度) – アプローチ時、滑走路進入端を通過するときに維持すべき速度です。
- VX (best angle of climb speed: 最良上昇角速度) – 航空機の高度が、最短水平距離で最も上昇する速度です。
- VY (best rate of climb speed: 最良上昇率速度) – 航空機の高度が、最短時間で最も上昇する速度です。
VTOL
“vertical takeoff and landing (垂直離着陸)” の略語で、上方へ向ってまっすぐに離陸し、下方へ向ってまっすぐに着陸することのできる滑走路を必要としない飛行機を表します。最も成功した VTOL 技術の応用例に、推力方向可変エンジンを使った、イギリスの “Harrier” (ハリアー) があります。
W
Wagstaff, Patty (パティ ワグスタッフ)
1951 ~。 アメリカ合衆国の曲技飛行士。1993 年のインターナショナル エアロバティック クラブ チャンピオンであり、U.S. ナショナル エアロバティック チャンピオンに 3 度輝いています。U.S. エアロバティック チームの一員で、曲技飛行コーチ、航空競技審判員、そして映画のスタント パイロットでもあります。
wake turbulence (ウェイク タービュランス)
飛行中の航空機によって生成される乱気流です。特に、大型航空機の翼端の後方には強力な渦が発生します。
warm front (温暖前線)
暖気が冷気を押しのけるようにして進む前線で、閉塞前線以外のものです。
waypoint (ウェイポイント)
飛行前に決めた、飛行経路に沿った空間の航法基準点です。ウェイポイントは、RNAV や GPS などの航法装置に電子的に記憶させておくことができます。
weather areas (気象エリア)
Flight Simulator において、同様の気象特徴を示す範囲のことです。Flight Simulator では、グローバル天候エリアのほかに、2 つのローカル天候エリアを作成することができます。ローカル天候エリアは、規模を定義し、各範囲の雲、視程、気温、風、大気圧などの特徴を指定できます。
weathercock (風見鶏)
風が吹く方向に向こうとすることです。
weathervane effect (風見効果)
航空機が、重心位置を軸にして転向し、風上の方向を向く傾向のことです。
weight (重量)
飛行に関する 4 つの基本的な力の 1 つです。揚力と相反する力で、正確には下方に働くすべての力の和であり、常に地球の中心に向かって作用します。航空工学者は、機体の重量すべてが重心と呼ばれる地点に集中していると見なして大半の計算をし、設計を行います。
wet wing (ウェット ウィング)
燃料を、翼外板のすぐ内側に直接格納する翼のことです。これとは対照的なのが、翼内部のゴム製の袋に燃料を入れる翼です。
Whitcomb, Richard (リチャード ホイットコム)
1921 ~。アメリカ合衆国の技師。NACA (National Advisory Committee for Aeronautics、連邦航空諮問委員会) の研究室で、遷音速において機体 (胴体) と翼の接合部分をくびれさせることによって抗力を減少させる “エリアルール (断面積法則)” を発見しました。コンベア YF-102 の機体 (胴体) の画期的な新設計に際してのこの “コーク ボトル効果” の考案により、1955 年に航空界の栄誉であるコリアー トロフィーを授与されました。
Whittle, Frank (フランク ホイットル)
1907 ~ 1996。航空機用ターボジェット エンジンを発明した、イギリスの技術者で、イギリス陸軍の将校です。ホイットルはジェット推進の理論を 1928 年に発表しましたが、イギリス航空省がそれに関心を示したのは 1938 年のことでした。 1941 年には実験用のジェット機を開発しましたが、最初の軍用ジェット機グロスター ミーティアの使用が始まったのは 1944 年のことになります。
wilco (ウィルコ)
無線通信で用いる “will comply (了解)” の略語です。
wind layer (風のレイヤ)
Flight Simulator で、ユーザーが指定する気象オプションの 1 つです。風速、風の方向、突発的な風の要素 (ウィンド シア)、乱気流などを指定できます。これらのオプションを設定するには、[気象の詳細設定] ダイアログ ボックスの [風] タブをクリックします。風のレイヤは気象台ごとに作成できます。
wind shear (ウィンド シア)
風の向きおよび速度が突然大きく変化する現象で、多くの場合マイクロバーストと呼ばれる激しい下降流や低高度での温度の逆転に関連して起こります。特に離着陸時のウィンド シアは非常に危険です。急激な対気速度の変動から、航空機が地面にめりこんでしまうような降下率になりかねません。
wind tunnel (風洞)
航空機や、他の乗り物または建造物に対する空気の流れの影響を調べるための装置です。飛行の状態の模擬実験では、航空機の模型を風洞に備え付け、空気の流れにさらすと、模型に作用している揚力、抗力、圧力、およびその他の要素に関するデータがセンサーにより集められます。
wing loading (翼面荷重)
航空機の重量を翼の面積で割ったものです。 たとえば、航空機の重量が 4,000 ポンド (1,814 kg) で翼面積が 400 平方フィートならば、翼面荷重は 10 ポンド/平方フィートとなります。
winglets (ウィングレット)
主翼の末端を垂直方向に伸ばしたものです。 ウィングレットにより、翼の有効縦横比を高め、揚力の副産物として生じる翼端渦の強度を弱めることで、誘導抗力を減少させます。
wingspan (翼幅)
両翼端の間の長さです。
wingtip vortex (翼端渦)
翼により揚力が生じる際に航空機の翼端で発生する、激しい渦のことです。翼端では、翼下面の高圧の空気が翼上面の低気圧部分に向って、らせん状に上がっています。大型で重い航空機により生じる強力な渦は、特に離着陸の際などは、小型機にとって非常に危険なものとなります。たとえば、翼端渦に突入する小型機は、渦による機体の回転がエルロンによる回転能力を上回るため、逆さまになってしまうことがあります。 “ウェイク タービュランス” と呼ばれることもあります。
Wright brothers (ライト兄弟)
飛行機の開拓者であるアメリカ人。ウィルバー ライト (1867 ~ 1912) とオービル ライト (1871 ~ 1948) の兄弟は、空気よりも重い航空機による初めての動力飛行に成功しました。2 つの翼を持つ凧とグライダーを使って実験を開始し、1900 年にキティーホークで最初のテスト飛行を行いました。1901 年には、アメリカ合衆国で初めての風洞を作り、200 以上もの翼面モデルをテストしました。エンジンを製作して自分たちのフライヤー号に組み込み、そして 1903 年 12 月 17 日、歴史的な飛行を成し遂げました。
X
Y
Yaw (ヨー)
機首が左または右に向く際などの、航空機の垂直軸を中心とした回転のことです。ロールおよびピッチと同様に、ヨーは機体の基本的な 3 つの運動の 1 つです。ヨーの制御には、垂直安定板とラダーを使用します。
Yeager, Chuck (チャック イェーガー)
1923 ~。アメリカ合衆国の空軍将校で、戦闘機パイロットおよびテスト パイロット。初めて音速以上の速さで飛行 (1947 年) した人です。1968 年に准将に昇進し、殊勲章、名誉負傷章、自由勲章をはじめとする数々の勲章を受章しました。イェーガーは、飛行よりわずか 2 日前に起きた乗馬の事故で肋骨が 2 本折れていたのにもかかわらず、自身の最も有名な飛行を成し遂げています。
Yoke (ヨーク)
「control yoke (操縦輪、コントロール ヨーク)」を参照してください。
Z
zeppelin (ツェッペリン)
内部に硬い支柱を持った飛行船です。上昇に使用するヘリウムや水素は、大きなガス袋に格納されていました。最大の飛行船であるツェッペリンは、第一次世界大戦中に爆撃機として使用されましたが、わずかな攻撃成果しか上げることができず、大半の機体が事故や敵軍の砲火によって失われました。1937 年に起きたヒンデンブルク号の事故により、この硬式飛行船の民間旅客機としての使命は終わりました。
Zeppelin, Count Ferdinand von (フェルディナント フォン ツェッペリン伯爵)
1838 ~ 1917。ドイツの飛行士、発明家、軍司令官。アメリカ南北戦争中に北軍と共に観測気球に乗りました。1898 年には、ドイツ国内に飛行船工場を創設し、最初の硬式飛行船を建造しました。1910 年には、ツェッペリン飛行船によってドイツ各地を結ぶ遊覧飛行が行われるようになり、1912 年にはドイツ海軍が最初の軍用ツェッペリン飛行船を注文しました。
Zulu time (グリニッジ標準時)
「Greenwich Mean Time (GMT、国際標準時)」を参照してください。